今朝、生協の仕事で出かけたため日々のルーティン・チェックをやらないでいたら、すごいものを見逃していました。なな、なんと、アミターブ・バッチャン様からのメッセージがぁぁぁぁぁ! アミターブ・ジーの映画はこれまで結構日本で公開されているのですが、誰も恐れ多くてメッセージを依頼しようともしなかった、というのが本当のところでは、と思います。『カルキ 2898-AD』の配給会社ツインも、以前アミターブ・ジーが出演した『ブラフマーストラ』(2022)を公開していますが、あの時は確か誰からもメッセージが来なかったように思います。まさに、「これは事件です!」的な、アミターブ・ジーのメッセージです。ご覧下さい。
アミターブ・バッチャンから日本のファンへ❤️ | Kalki 2898 AD は日本で正常に動作しています |プラバース | Amitabh Bachchan | カルキ 西暦 2898 年
1942年10月11日生まれなので、御年82歳。全然老人っぽくないですねー。下の写真は、1980年1月6日(日)に撮ったアミターブ・ジーの写真です。場所はムンバイ(当時はボンベイ)の自宅の庭。45年前のこのお顔と比べると、確かに老けてはいますが、生命力というかチャーミングさというか、アミターブ・ジーの魅力は全然衰えていません。
この時は、東京外国語大学に外国人客員教授としていらしていた文学者インドゥ・ジャインさんにアミターブ・ジーのお父様、文学者のハリワンシュラーイ・バッチャン・ジーを紹介してもらい、まずアミターブ・ジーのお宅にお父様を訪ねていき、親しくなってから「では、6日(日)にはアミターブ・ジー(息子なのに、「~ジー=~さん」を付けて呼んでいらした)一家が帰ってくるから、もう一度いらっしゃい」ということで、再度うかがったのでした。この時の話はあちこちに書いているのですが、インタビューした内容は一番最初に書いた「ハルブーザ」No.132(1983年3月15日発行)にしか書かなかったと思うので、ちょっと書いておきます。
アミターブ・ジー(A)「あなたはどうしてインド映画に興味を持つようになったのですか?」
Cinetama(C)「インドは貧富の差の大きい国ですけれど、もしどんな人にも平等に与えられる物があるとしたら、それは映画の楽しみだと思ったのです。貧しい人たちは映画の中に自分の夢を託して見ています。ですから、インド映画とその観客を見れば、インド社会がわかると思ったのです」
A 「なるほど」
C 「こういう国でみんなのヒーローになっているのをどう感じておられますか?」
A 「気に入っていますよ」
C「あなたの演じる役には、騒々しく大暴れする役と静かな役とがありますが、どちらがお好きですか?」
A 「どちらも好きです。与えられた役柄を私は演じるだけです」
C 「あなたはヒンドゥー教徒ですが、ムスリム(イスラーム教徒)の役も演じていますよね。ムスリムを演じる時、躊躇したりはしないのですか?」
A 「全然しませんよ」(なぜそんなことを聞くのか、とでも言いたそうな、実に不思議そうなお顔でした)
C 「お写真を撮ってもいいですか?」
A 「それなら、陽の中がいいですね。庭に出ましょう」(私がコニカの35ミリカメラを取り出すと、アミターブ・ジーの顔が輝き、私に断ってから手に取っていろいろカメラをチェックする)
A 「私も日本のカメラを持っているんですよ、ニコンですけど。これはコニカですね。コニカも1台持っていますが、オートフォーカスの小さいカメラです」
というわけで、庭で撮らせてもらった写真が、上の写真なのでした。お父様のバッチャン・ジーとのツーショットも撮らせていただきました。
アミターブ・ジーの奥様は、ご存じの通り女優のジャヤー・バッチャン、旧姓ではジャヤー・バードゥリーです。この後出てきて、我々3人の写真を撮ったり、ご自身も加わって撮らせて下さったりしたのでした。アミターブ・ジーは1969年の『Saat Hindustani(7人のインド人)』という、ポルトガルからゴアを解放する戦いの映画でデビューします。そして、1971年のラージェーシュ・カンナー主演作『Anand(アーナンド)』の医師役で名を知られるようになり、以後、ジャヤー・バードゥリーとの共演作で少しずつ名を上げてきます。そして、1973年の共演作『Zanjeer(鎖)』でブレイクします。この時の脚本は、サリーム=ジャーヴェード、つまりサルマーン・カーンの父サリーム・カーンとジャーヴェード・アクタルのコンビで、以後、彼らの脚本による『Deewar(壁)』(1975)と『炎』(1975)とにより、アミターブ・ジーは一気にトップスターに躍り出、その後の10数年は「ワン・マン・インダストリー」と呼ばれるほど、アミターブ・ジーが活躍することになります。その後、国会議員になったり、女優レーカーとのスキャンダルがささやかれたりと、いろんなことがあったのですが、21世紀に入ると父親役、あるいは祖父役や老人役でまたまた存在感が大きくなってきて、それが今日も続いているわけです。すごい俳優さんですねー。
『カルキ~』のアシュヴァッターマンの6000何歳という重みを出せるのは、この人しかいないわけで、ナーグ・アシュウィン監督が「アシュヴァッターマンはアミターブ・バッチャンしかいない、一択だった」と語っているのもむべなるかな、だったのでした。『カルキ~』のアミターブ・ジーをまだ目撃していない人は、劇場に急ぎましょう! 最後に予告編も付けておきます。公式サイトは、こちらです。
『カルキ 2898-AD』予告篇