明日いよいよ、インドのマラヤーラム語映画『グレート・インディアン・キッチン』が公開されます。どんなグルメ映画かしらん、と思って見に行ったら、見事にうっちゃりを喰らわされた私ですが、すでにあちこちで話題になっているので、皆さんうすうすこの映画の中身に気がついていらっしゃることでしょう。ではまずは、映画のデータとストーリーからどうぞ。
『グレート・インディアン・キッチン』 公式サイト
2021/インド/マラヤーラム語/100分/原題:The Great Indian Kitchen
監督:ジョー・ベービ
主演:ニミシャ・サジャヤン、スラージ・ヴェニャーラムード、T.スレーシュ・バーブ
配給:SPACEBOX
※1月21日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
©Mankind Cinemas ©Symmetry Cinemas ©Cinema Cooks
映画のオープニングは、たくさんの女性たちに混じってインド古典舞踊を踊っている主人公(ニミシャ・サジャヤン)のシーンです。とても嬉しそうに、活き活きと踊っている彼女。続いて、モダンな彼女の自宅に、お見合い相手の男性(スラージ・ヴェニャーラムード)がつきそいの男性と共にやってきます。この家の主人、つまり彼女の父親は長らくバーレーンのマナマに住んでいたようで、出稼ぎで富を築き、故郷のケーララ州に戻ってきて立派な家に住んでいる、ということのようです。やがて二人は結婚し、男性の伝統的な屋敷で暮らすようになります。男性には年取った両親がいますが、自宅が伝統的なように、家での人間関係も伝統的で、姑1人がくるくると毎日立ち働いています。家長である舅は長椅子に座って新聞を読んだり、ベッドに横になってスマホを見たり。何せ、朝も姑に歯ブラシを長椅子まで持ってこさせて、それでようやく歯磨きと洗面をする、というのですから、おんぶにだっこの男性です。
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それを目にしている息子も、新婚の妻にはやさしくしますが、彼女の仕事を手伝うどころか、朝ご飯も食べ散らかしたまま席を立つような男性です。姑と彼女は一日中くるくると立ち働き、三食をすべて手作りで準備し、と、大変な毎日を送っていました。それでも、姑がいてくれるうちはよかったのですが、姑が出産を控えた娘のところに泊まり込みで手伝いに行ってしまうと、すべての家事は嫁である彼女1人にかかってきてしまいます。手作りにしないと文句を言われ、さらには生理になると穢れた存在として扱われ...。古い台所は下水が詰まって困った状態になりつつあったのですが、それと同じように彼女の体内にも鬱憤が蓄積し、悪臭を放ち始めます...。
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冒頭、料理のシーンが出てくると、おいしいそう、とか思っていたものが、だんだんとまるで料理が拷問のように見えてくる、何とも罪作りな映画です。日常生活の場がホラーになっていく感覚とでも言えばいいでしょうか、実に上手な脚本で、見ている側も主人公に共振するように追い詰められていきます。いやいやこれはもう、実際に見ていただくしか、この映画の怖さを実感していただけないでしょう。ジョー・ベービ監督のメッセージが入った予告編を付けておきますので、ぜひスクリーンで、このトンデモ男性(一部、女性もいます)どもと対峙して下さい。私が見た時は、立ち上がってかかとでこいつらを踏みつけてやりたい、と思ってしまったのですが、さて、あなたは? ぜひ、ご覧になってのご感想をお寄せ下さいね。
映画『グレート・インディアン・キッチン』監督コメント 【1.21公開】