アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

第32回東京国際映画祭:DAY 1

2019-10-29 | アジア映画全般

私の東京国際映画祭が今日から始まりました。今回は、インド映画が1本も入っていない(トホホ)うえ、3日ほど前に風邪を引きかけた(トホホホホ)ので、ちょっと低調に推移すると思いますが、いつものように毎日レポートしてみたいと思います。というわけでどんより気分で結構な雨の中(これもトホホだぁ)出かけたのですが、そんな腰が引けてる状態をぶっ飛ばすような出来事が本日早くも出来しました。では、見た映画を順番にご紹介しましょう。

『エウォル~風にのせて』
 2019年/韓国/韓国語/100分/原題:애월
 監督:バク・チョル
 出演:イ・チョニ、キム・ヘナ、パク・チョルミン

 

©BlacKnight Films Co., Ltd.

 舞台は済州島(チェジュド)。海沿いのカフェで働くソウォルのところに、出演していたソウルのライブハウスが閉鎖されたため、行き場をなくしたギタリストのチョルがふらっと現れます。ソウォルはもともとそのバンドのギタリストの恋人だったのですが、彼と済州島に来た時に彼がバイクごと崖から転落して亡くなり、以来ここに住み着いて働いているのでした。カフェの店長やその友人の船長と漁師、鍼灸院の院長がソウォルのことを心配して見守っており、特に院長は彼女に気があるようですが、ソウォルはまったくその気なし。そんなところにチョルが現れたものですから、何やら気まずい空気も漂います。しかし、ソウォルとチョルが怪しい関係ではないとわかれば、気のいい島の人たちは彼を受け入れ、漁師のまねごともさせてくれます。そんなわけで、チョルはぐずぐずと済州島に居続けることになりますが...。

う~ん、何が言いたいのやら、という作品で、主人公たちを演じたイ・チョニ(星野源にちょい似)とキム・ヘナ(松嶋菜々子に同じく)の魅力で最後まで見られるものの、ベタな笑いを取りに行ったりするシーンもいくつかあり、映画祭でやる作品にしては...という感じでした。 


『ファストフード店の住人たち』
 2019年/香港/広東語/114分/原題:夢路人
 監督:ウォン・シンファン [黃慶勳]
 出演:アーロン・クォック、ミリアム・ヨン、アレックス・マン

 

©Entertaining Power Co. Limited, Media Asia Film Production Limited ALL RIGHTS RESERVED

本日のハイライト、否が応でも目が覚める豪華ゲストが来日した作品です。ストーリー紹介の前に、豪華ゲストの舞台挨拶の写真をまずどうぞ。


そうなんです、あとのQ&Aで石坂健治プログラミングディレクターも言っていましたが、まさかの豪華ゲストの来日です。本作主演の郭富城(アーロン・クォック)と楊千[女華](ミリアム・ヨン)が黃慶勳(ウォン・シンファン)監督と揃って来日、ワールドプレミアとなる本作を会場で一緒に鑑賞したうえ、上映終了後には3人でQ&Aに登壇してくれました。Q&Aは別に報告をお届けしますので、まずはお二人のアップ写真を付けたあと、作品の紹介をしておきます。


香港の下町にある24時間営業のファストフード店。ここにはいろんな人が、一晩を過ごすためにたむろしています。博(ボック/アーロン・クォック)は、かつては金融界の大物としてもてはやされていたのですが、公金横領で逮捕され、出所後は母(パウ・ヘイチン)や妹の待つ家には帰らず、ホームレス生活をしています。彼が公園の公衆トイレを使ったりして、清潔なホームレスとして暮らすすべを伝授するのは、家族との折り合いが悪く家出してきた若者深仔(サムチャイ)でした。ほかにも、正式な婚姻届が出せないうちに夫が死亡したため、無戸籍となった小学生の娘を抱えて一生懸命働く女性(劉雅瑟)や、妻が亡くなったことを認められず、店でひたすら妻を待つ老人(アレックス・マン)、路上で絵や拾った物を売っている初老の男(チョン・ダッミン)らが常連です。ボックには昔なじみの場末の歌手ジェーン(ミリアム・ヨン)がおり、何かにつけて二人は顔を合わせていました。そのほかボックは、いろんな人に就職の斡旋や金儲けのテクニック伝授をして稼がせてくれるので、みんなから慕われていました。ところがそんなある日、どうにも体調が悪いボックが医者に行ってみると、末期の肺がんと診断されてしまいます...。

最初、香港の高層集合住宅で、妊娠中の兄嫁とケンカしてそこを飛び出す深仔のエピソードが描かれ、その後に、舞台挨拶に登場したアーロン・クォックとは別人のような、ひげ面のやさぐれたアーロンが登場して、観客を驚かせます。アーロンだけでなく、ミリアム・ヨン、チョン・ダッミン、アレックス・マンも普段とはまったく別の顔の人物に扮して、存在感を示してくれました。また、中国の女優劉雅瑟が、けなげな女性を見事に演じきって、物語の核になっています。香港にはどこにも転がっていそうなお話ですが、少し夢を持たせながらも厳しい現実をしっかりと描いていて、見応えがありました。会場には某配給会社の社長もいらしていましたが、さて、日本公開にまで行くでしょうか?


『チェリー・レイン7番地』
 2019年/香港、中国/北京語、広東語/125分/原題:繼園臺七號
 監督:ヨン・ファン [楊凡]
 出演(アニメーション/声の出演):シルヴィア・チャン、ヴィッキー・チャオ、アレックス・ラム

 

@Farsunfilmcompanylimited

著名なカメラマンであり、『美少年の恋』(1998)など映画もたくさん撮っている楊凡監督のアニメなので期待していたのですが、かなり期待外れでした。もっとも、『ファストフード店の住人たち』上映とQ&Aが長引いて、開始後30分ぐらいに入ったので、最初から見ていたらどうだったのか不明ですが。1967年の香港暴動の頃、台湾から移り住んだユー夫人(声:シルヴィア・チャン)の家に、高校生の娘(声:ヴィッキー・チャオ)の家庭教師として雇われた香港大の学生ジーミン(声:アレックス・ラム)は、ユー夫人と付き合ううちに様々に心乱されていきます...。絵はすごく美しく、特に登場人物たちの表情はなまめかしくて魅力的なのですが、アニメとして動いたとたん、ぎくしゃくしてしまいます。アニメとしての絵の面白さがほとんどなく、見ているのが苦痛になるぐらいでした。部屋に置いてある小物などは細かくこだわって描いてあるのですが、肝心のストーリーもいまひとつよくわからず、アニメ映画としては楽しめない作品でした。声優も豪華(上記のほかにも、アン・ホイ、フルーツ・チャン、ティエン・チュアンチュアン、ダニエル・ウー、スティーブン・フォンらも出演)なのに、もったいないですね...。


というわけで、初日のハイライト、『ファストフード店の住人たち』のQ&A記事は、アーロンの写真など眺めながら、しばらくお待ち下さい。(これで54歳-10月26日になったばかり-だなんて、信じられない!)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アジア映画満載の「のむコレ... | トップ | 第32回東京国際映画祭:DAY 1... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア映画全般」カテゴリの最新記事