インド映画『RRR』への期待が、日々高まっています。本日は、S.S.ラージャマウリ監督と主演のNTR Jr.、そしてラーム・チャランの来日が発表されて、インド映画ファンはもう興奮MAXかも。10月21日(金)と22日(土)には舞台挨拶も予定されており、先行予約も明日正午から始まるそうです。詳しくは公式ツイッターとローチケ公式サイトをご覧下さいね。こんな3人の来日で日本がどうなるのかが心配です(まさに大型台風なみの存在感の3人ですからねー)が、まだ3週間あるので間際になったら考えようと思います(実にインド的な対処方法)。というわけで今日も、『RRR』の世界の解説をちょっとだけさせて下さい。
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『RRR』 公式サイト
2021年/インド/テルグ語、英語、ほか/原題:RRR(アールアールアール)
監督・脚本:S.S.ラージャマウリ
原案:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード
音楽:M.M.キーラヴァ―二
出演:NTR Jr.、ラーム・チャラン
配給:ツイン
※10月21日(金)より全国公開
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今回のお話は、ビームことコムラム・ビーム(NTR Jr.)の出身部族ゴーンド族についてです。本作の冒頭、オープニングタイトルが終わると、深い山地が映し出されて「アーディラーバードの森の中」というテロップが出ます。アーディラーバードは実際にある地名で、テランガーナ州は三角おむすびみたいな形をしているのですが、そのてっぺん部分がアーディラーバード地区です。名前の由来は「アーディル(人名)+アーバード(~のいる所)」で、15世紀末の統治者ユースフ・アーディル・シャーに由来するとか。と、現在の名前は中世由来なんですが、このあたりに多く住むゴーンド族はドラヴィダ人がやってくる前からいて、言葉はあとでやってきたドラヴィダ民族の言葉の影響を受け、今のゴーンディ語になったようです。ゴーンド族にはいろんな系統があるようで、先住民族の集合体と考えた方がいいようです。
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そのゴーンド族は芸術的センスにすぐれ、ミティラー画などと共にトライバル・アートの芸術家をたくさん生み出しています。日本でもよく知られているのは、チェンナイの出版社タラ・ブックスが出版する絵本の挿絵にゴーンド族の画家の絵がよく使われていることで、2017年11月~2018年1月に板橋区立美術館で行われた展覧会「世界を変える美しい本-インド・タラブックスの挑戦-」では、ゴーンド族の絵をたくさん見ることができました。その時のレポートはこちらです。その時に出版された本「タラブックス」(玄光社/下)の表紙等にも、ゴーンド族の絵が使われています。素敵な絵でしょう? この本を紹介したAmazon沼で、もっといろいろな絵を見ることができます。どれがゴーンド族の画家の絵かわかりにくいかも知れませんが、よかったら見てみて下さい。
私の想像ですが、ラージャマウリ監督は主人公の1人をゴーンド族出身の反英運動活動家に設定した時、このタラブックスの本を思い出したのでは、と思います。絵を描くのに長けている芸術家の集まりである部族、というところから、少女がタトゥー・アートのような絵を見事に描く、というアイディアに繋がり、だからイギリス人総督の妻に気に入られて、はした金を払っただけで連れ去られてしまった、という物語の発端が浮かんできたのではないでしょうか。もともとラージャマウリ監督はタトゥー・アート的なものが好きらしく、『バーフバリ 伝説誕生』(2015)でも、シヴドゥが女戦士アヴァンティカの肌に見事な模様を描く、というシーンが出てきました。水の中でそれはないよ~、とか思いながら、その模様がシヴドゥ自身の体にある模様とつながると、おお素敵、と思った方は多かったのではないかと思います。というようなことを頭に入れて、ゴーンド族の少女マッリが連れ去られてから村に帰るまでの物語を、『RRR』でご覧になって下さいね。
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最後に、今日新しくアップされたラージャマウリ監督のメッセージを付けておきます。監督は二度目の来日なので、初来日の上のお二人には余裕でいろいろガイドしてあげるのかも知れませんね。来日を楽しんでもらえるよう、とりあえずは劇場を満員にするのに協力しましょう! 新宿ピカデリーでは、「ナートゥ」ダンスを一部でも披露してもらえると嬉しいですねー(チネチッタは舞台はないけど可能かも)。それも願っておきましょう。
『RRR』S.S.ラージャマウリ監督スペシャルコメント