アジア映画巡礼

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インド映画『マスター 先生が来る!』のパンフはきっと役に立つ!!

2022-11-29 | インド映画

タミル語映画『マスター 先生が来る!』が上映中ですが、12月1日(木)まで、という上映館がありますのでご注意下さい(上映館情報はこちら)。すでにご覧になった方も多いと思いますが、劇場でこの映画のパンフレットをお求めになりましたでしょうか? お買いにならなかった方は今からでも遅くない、劇場に再度足を運んでぜひお求め下さい。今後のインド映画を見ていく上で、ものすごく参考になるパンフレットなのです。お値段は800円。明日の夕食を豪華イタリアンから牛丼にランクダウンしても、お買いになる価値があります。

もともと、SPACEBOXが配給して公開される作品は、え? ちょっとあわただしい公開なのにこんな立派なパンフがあるの? と思ってしまう作品が多かったのですが、『マスター 先生が来る!』のパンフはその極めつけと言ってもいい出来です。「イントロダクション」「ストーリー」「キャスト&スタッフ紹介」「プロダクション・ノート」と続くのはどのパンフでもほぼ一緒ですが、その後に「タミル語映画界スター名鑑」が付いているのですね。これが、これまで見たタミル語映画を整理するのに非常に役立ち、これから見るであろうタミル語映画に関しても必携となる予感を抱かせてくれるスグレモノなのです。やはり男性スター中心になってしまうのですが、スターを世代別に分け、それぞれの持つ個性を短い言葉で端的に紹介しています。惜しむらくは、個々人の生年月日があればもっと明確に活躍期間が認識できたと思うのですが、少ないスペースではしょうがないですね。あと、『響け!情熱のムリダンガム』の主演俳優、G.V.プラカーシュ・クマールも入れておいてほしかったのですが、まだヒット実績が少ないので落とされたのかも知れません。

©️B4U Motion Pictures, ©️Seven Screen Studio, ©️X.B. Film Creators

それから、「プロダクション・ノート」も内容豊富で、ここもすごく勉強になりました。本国の製作会社から送られてきた英語の文章を訳しただけ、というパンフとは一線を画す、この映画を見る上での注目ポイントが山盛りしてあります。これを読むと、絶対もう1回見たくなること請け合いです。しかし、以前の映画にオマージュが捧げられた諸シーンは、その古い映画の数々を見ていないので、もう1回見てもわからないですねえ...。昔、シャー・ルク・カーン主演のヒンディー語映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』(2007)公開時のパンフレットに、あそこに引用されている昔のインド映画や映画人についてトリビアを書きまくったことを思い出しますが、タミル語映画の作り手と観客もそういうのが大好きみたいです。執筆者は南インド映画研究家の安宅直子さんのようですが、文章力も抜群で、読み応えがあります。

©️B4U Motion Pictures, ©️Seven Screen Studio, ©️X.B. Film Creators

それから、文章だけでなくて、作品の画像が豊富すぎるほど豊富に使ってあるのもこのパンフを「永久保存版」にしたい理由です。”大将”ヴィジャイの写真がもちろん多いのですが、ヴィジャイとほぼ同等の主演級扱いとなっているもう一人のヴィジャイ、“タミル民の宝”ヴィジャイ・セードゥパティの画像もたくさん掲載されています(なぜこの二つ名が付いたのかについても、ちゃんと解説してあります)。中には、いや、その写真はいかがなものか、という画像もあります(●首モロ見え写真や、フェッティッシュな手だけの写真とか)が、他にもアルジュン・ダースから少年院の少年たちまで、見ていると映画の世界に引き込まれるような画像揃いです。で、ここでもう一つ文句を言うなら、大学時代に学生会長選挙のシーンがあるのですが、あのシーン、特に男女の候補者の画像も入れておいていただきたかった、と思います。女子学生のサヴィタを演じたのが、ヴィジャイ・セードゥパティの主演作『’96』(2018)で、トリシャー演ずるヒロインの中学生時代をやったゴウリ・G・キシャンだったからです。この人、もっと人気者になると思ったのですが、背があまり伸びなかったのでヒロイン役のオファーが来ないのかしらん。演技力でがんばってほしい女優さんの一人です。

©️B4U Motion Pictures, ©️Seven Screen Studio, ©️X.B. Film Creators

とまあ文句も二、三あるものの、このパンフレットは皆様の今後のインド映画鑑賞に必ずやお役に立つはずです。来年、タミル語映画の大ヒット作で、本作の監督ローケーシュ・カナガラージによる『Vikram(ヴィクラム)』(2022)や、『Vikram』と今年のタミル語映画興収第1位を争っているマニラトナム監督作『Ponniyin Selvan:1(カーヴェーリ川の息子:1)』が日本公開されたりすると、この資料が絶対参考になる......とは思えど、両方の作品とも配給権料がバカ高いのでちょっと無理ですかねー。来年、1月20日(金)公開の『エンドロールのつづき』に続く日本公開作は何なのか、『マスター 先生が来る!』のパンフを読み返しながら楽しみにして待っていましょう。

 


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