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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

TIFF/DAY 2~『あの頃、君を追いかけた』ほか

2011-10-23 | アジア映画全般

今日はあちこちの国の映画を追いかけました。台湾映画『あの頃、君を追いかけた』、インドネシア映画『鏡は嘘をつかない』、そして中国映画『ここ、よそ』です。

昨日もそうですが、お読みになって「あれ、そんな映画の上映、今日あったの?」と思われた方がおられたはず。実は私はプレスパスというものを申請していて、プレス向けのID上映を見せていただいているんですね。TOHOシネマズでは1階の奥の方、プレミアスクリーンの前で何やらごそごそやっているのがプレス上映です。<アジアの風>部門のプレス上映はもっぱらシネマート六本木で行われているのですが、今日はチケットを買っていた『鏡は嘘をつかない』がTOHOシネマズの方なので、六本木の通りをビユーッと通り抜けること2回。ID上映の時間が合わなくて見られない作品は、チケット購入して一般上映で見る予定なので、今後も六本木マラソンは何度かやる羽目になりそうです。

というわけで今日の3本です。

『あの頃、君を追いかけた』 (那些年、我イ門一起追的女孩/You Are the Apple of My Eye)

 プロモ映像  予告編  TV特番(俳優たちが素顔でインタビューに答えてます)

 2011年/台湾/カラー/110分
 監督:九把刀(ギデンズ)
 主演:柯震東(コー・チェントン)、陳妍希(ミシェル・チェン)


台湾映画は、こういう青春物が本当に上手いですねー。これはもう、1980年代あたりから続く伝統と言えるかも知れません。中学(高中=高校も含む)を舞台にした台湾映画は、『老師、有問題』 (1988)あたりから、最近の『モンガに散る』 (2010)まで、秀作、快作がいっぱい揃っています。『あの頃、君を追いかけた』 もその1本と言えそうで、最初から3分の2ぐらいを占める高校時代のエピソードがそれはもう秀逸。ちょっと顔が赤らむ過激な描写も含めて、楽しい高校生活に見ているこちらも気分が高揚します。

俳優たちもみんなキャラが立っていて、特に主演の2人がこの上なく魅力的。少々チャン・グンソク入ってる男子学生コートンことコー・チントン(柯景騰)役のコー・チェントン(ややこしい!)、彼らのマドンナである優等生シェン・チアイー(沈佳儀)役のミシェル・チェンの2人は、その恋をずーっと見ていたい気分にさせてくれます。有名作家でもあるギデンス監督、演出方法や映像処理のやり方も巧みで、舌を巻きました。台湾での大ヒットがうなずける作品です。日本でも公開されるといいですねー。高校生諸君に見てもらいたいな~。

  『鏡は嘘をつかない』 ( Laut Bercermin/ The Mirror Never Lies)

 2011年/インドネシア/カラー/100分
 監督:カミーラ・アンディニ
 主演:ギタ・ノファリスタ、アティカー・ハシホラン

 

  

弱冠25歳のカミーラ・アンディニ監督(写真上)は、『枕の上の葉』『オペラ・ジャワ』などで知られるガリン・ヌグロホ監督の娘さん。上映終了後のQ&Aでも、「お父さんからどんな影響を?」という質問が出ていました。「影響は受けていると思いますが、何しろ生まれた時から一緒なので...」とちょっと苦笑いのカミーラ・アンディニ監督でしたが、この作品はスキューバ・ダイビング好きの彼女が、スラウェシ島南東端にあるリゾート地ワカトビに通ううちに構想がまとまったのだとか。ワカトビに住む海洋民族バジョ族の人々が描かれています。

主人公の少女パキスは海で遭難した父の死を信じられず、父の言いつけを忠実に実行することで父が帰ってくる、と信じて、鏡による占いを繰り返しています。クラスメートの少年ルモは彼女を見守るのですが、パキスは家に下宿することになったイルカ研究者の青年に惹かれていきます。その研究者は、未亡人であるパキスの母に惹かれていき...。

パキスの母は、夫亡き後の自分をよろうように、顔に白粉状のものを厚く塗っています。見ていて、ビルマのタナカーみたいなものかな、と思ったのですが、あとで質問が出て、米の粉を溶いた物だとわかりました。用途はやはり日除けだそうですが、パキスの母はそれを顔一面に厚く塗ることで、他の男性から身を守る仮面的役割をさせている、ということのようです。

この映画は、ワカトビの人々が全面的に協力してできた作品だそうで、エグゼクティブ・プロデューサーでもある県知事のフグワ氏(写真左端)が監督と共にQ&Aに登場、監督の答えを補ったりしていました。母親役と研究者役以外はすべて素人だそうですが、主演の子供たち、パキス、ルモ、そして、ルモと仲のいいエコ役の3人は、とても印象的な演技を見せています。パキスの好きなルモが、「告白したいんだけど、俺は歌が下手だからお前に頼みたい」とエコにサポートを依頼するシーンで、エコが思い入れたっぷりに愛の歌を歌うところは場内大笑い。そんな楽しい映画でもあります。

ワカトビは珊瑚が850種も生息する美しい場所だそうで、フグワ知事は「ぜひいらして下さい」とアピールしておられました。映画の中でも珊瑚礁がよく登場しますし、海中から海面の船底や人を撮ったシーンは本当にきれいです。最後にはびっくりするような動物も登場しますし、司会者の松下由美さんが「ナチュラルTIFF部門での上映でもよかったですね」と言っていたのも納得の作品でした。

 『ここ、よそ』 (這里、那里/Here, There)

 2011年/中国/カラー/93分
 監督:盧晟(ルー・シェン)
 主演:リュイ・ユィライ、ホアン・ルー

中国の内蒙古自治区、ハイラル近くの山中と、上海、それにパリを結ぶ三元放送ならぬ三元映画。山中でトナカイを飼う男とその妻、息子(小学校高学年?)のエピソード、男の弟が勤める上海の料理店で、店主や弟の元彼女らとの間に起きる事件、そして、料理店店主の息子が留学中のパリで、息子と大家の老中国人との間に生じる絆、といった、それぞれつながりがありそうでないお話が進行していきます。どのエピソードでも、世代の違う人と人の間に生まれる摩擦と理解とが描かれており、場所は違っていても人の心の有り様は同じなんだなあ、という感慨を抱かせられました。静かですが、監督の力量が感じられる作品でした。

この中で、料理店で働く青年を演じた役者さんがどこかで見た顔だと思い、帰っていろいろ調べたら、『孔雀 我が家の風景』 (2005)で素っ頓狂な姉に迷惑する弟を演じた呂玉來(この時のルビは「ルゥ・ユウライ」)でした。こういう発見も嬉しいですね。

【本日の拾い物】

今日は何もブツを拾ってこなかったので、六本木のTIFF風景などを拾ってみました。

お馴染み、六本木通りから見える大看板と、ヒルズの植え込みに翻る映画祭の旗です。

 地下鉄六本木駅、ヒルズへの出口通路には、例年のように映画のポスターがずらり。では、明日もまた、ジャッキーとアンディに挨拶しながらTIFFに通うことにしましょう。明日は、北千住方面から出勤です....。 

 

 


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