プネ-でのお仕事が終わりました。本日、NFAI(National Film Archive of India/国立映画資料館)に行って代金を払い、持参したUSBに私のファイルを落とし込んでもらって、約600枚のスチールが手に入りました。その過程で、昨日はモノクロのコピーしかアップできなかった申請用の証書が登場したので、写真を撮りました。
いかにも、お役所の書類、という感じでしょ? これが作れたのも、お二人の女性弁護士のおかげです。お世話になったチェートナーさんとラクシュミーさん、そしてチェートナーさんを紹介してくれたCさん、ありがとうございました。取得できたスチールは、昨日も書いたように満足のいくものばかりではありません。例えば、1954年に日本で上映されたヒンディー語映画の『アーン』(1952)の場合はこれ。トリミングすれば使えるかも、と思い、こんなスチールも加えました。
Courtesy NFAI
このほか、前に書いたようなロビーカードや映画のリーフレット、ポスターの写真も多いです。もしかしたら、回顧上映が日本でもできるかも、と思って取った、シュリデヴィ主演作『チャーンドニー』(1989)のポスター画像2つを付けておきます。
Courtesy NFAI
でも、古い映画の画像はよく揃っていて、というか、現存するフィルムからいっぱい画像が焼いてあって、この際、紙焼き画像を持っているものも取り直してきました。下は、パールシー演劇から映画に移行したことが証明できるのでは、と思って取った1938年の作品『Bharat Mata(インドの母)』のスチールです。
Courtesy NFAI
2、3年先に南アジアの文学に関するシリーズ本が出版される予定で、その中の1冊「映画から語る文学(仮題)」に使えるようなスチールを、というのも今回のミッションだったのですが、半分ぐらいは集められたと思います。
なかったのは最近の作品で、アールティーさんに尋ねたところ、資料はすでに収集してあるのだとか。でも、それをデジタル化するためには予算が必要で、そういう予算は5~10年毎についてくるのが常であるため、新しい作品はその時まで眠ったままになるそうです。誰か、大金持ちが寄付して、毎年デジタル化ができるようになればいいのに。画像資料は映画製作会社から提供を受けるのではなく、それ専門の業者がいてそこから購入するそうで、だからポスターとかロビーカード、パンフレット(インドでは内輪の試写の時に配られるだけで、一般の観客は手に入れることはできない)が主になるのですね。宣材として使われるデジタル画像を収蔵できたら、いろんな意味で便利だと思うのですが、まあ、それぞれにやり方、考え方が違うので、仕方ありません。
今日は仕事を終えた後、この間もご挨拶したNFAIの所長、Prakash Magdum(プラカーシュ・マグドゥム)さんに会いました。ご自分で「私は官僚なんでね」と言ってらっしゃいましたが、友人のナスリーン・ムンニー・カビールとも親しいようなので、映画にも理解の深い人のようです。NFAIの公式ツイッターのようになっている、マグドゥムさんのサイトです。
実は今日から、NFAIも協賛団体になっている女性映画祭(Woman's Film Festival)がNFAIのホールを使って開催されるので、その壇上に上がるため下にいらしていたのですが、この女性映画祭は、昨年のプネ-行き記事の中でご紹介したプラチさんらが中心になって組織しているものなのでした。午後5時からオープニング・セレモニーがあり、たくさんのゲストが壇上に並んで、ランプ点灯式や記念品贈呈、スピーチなどが次々と続きます。
一番のメインゲストは、女優のニーナー・クルカルニーさんで、真ん中の黄色いサリーの人がそうです。ヒンディー語とマラーティー語映画で活躍している女優さん、とのことでしたが、私は彼女の出演作を思い出せず、失礼してしまいました。
プラチさんも今日はサリー姿で、最後の方でご挨拶。当然と言えば当然なのですが、ほぼすべてがマラーティー語で進行し、内容が理解できなかったのと、会場の冷房がきつくてこのままでは風邪を引く予感がしたのとで、セレモニーが終わる段階で失礼してしまいました。
興味のある方はこちらをチェックしてみて下さいね。上映作品は以前の欧米作品が多いようですが、シュリデヴィ追悼上映として、タミル語の『三日月』も上映されるようです。あと、日本でも公開されたマラヤーラム語映画『チャーリー』(2015)も入っていますね。会場は7割ぐらいの入りで、男女半々という感じでした。
私の方は、今日の昼間マラーティー語映画『Amhi Doghi(私たち2人)』を近所の小さなシネコンで見てきました。小さい時に母を亡くし、弁護士の父や使用人に大事に育てられたサーヴィトリー(プリヤー・バパト)が、高校生になって父が連れてきた再婚相手アムラー(ムクター・バルヴェー)に反発しつつも、最後には姉妹のように暮らしていく、という物語です。女性のプラティマー・ジョーシー監督作品なので期待したのですが、脚本があまり緻密ではなく、特に後半サーヴィトリーが社会人になってからの展開がいまひとつで、底の浅い作品になってしまった感じです。しかしながらムクター・バルヴェーの演技はすばらしく、教育も受けていない女性なのに、しっかりと自分を持っている人物を押さえた演技で演じていて、引き込まれました。ミッションも終了したので、明日からはもっといろいろ映画が見られます。
そうそう、あとはホテルの不満を書こうと思っていたのですが、なぜか今日は肩すかしで、上の写真のラミー・グランド・ホテルは平穏無事でした。ここは新しくできたホテルのようで、5つ星ホテルにも劣らないしつらえです。
しかしながら、スタッフの皆さんが何かというと「Have a nice stay !」と繰り返したり、朝食のビュッフェでも「お味はいかがですか?」とフィードバックのチェックが何度も入ったりと、ほおっておいてほしい私としては、うるさくてかなわないホテルなのでした。
さらに部屋のデザインでは「あかんがな~」が目立ち、スタッフの仕事ぶりも昨日ちょっと書いたようでずさんで、スタッフ訓練で教えてもらったのは声かけだけ? と言いたくなるのでした。部屋のデザインのまずさは、まず、窓に紗のカーテンがついていないため、昼間なのに厚いカーテンをあけられないこと。全面ガラスなので、通りの向こうから丸見えです。よほど、紗のベッドカバーでも買ってきてつるそうか、と思いました。
続いて、衣装タンスとその横にあるスーツケース・ラックには、スライドのドアが付いているのが「ブッブー!」です。一見賢そうに見えるのですが、最初にスーツケースから中身を衣装タンスに移そうとすると、このスライド・ドアではすごく不便で、結局スーツケースをベッドの上に広げて衣装ダンスに入れていく、ということになりました。鏡のついているのがスライド・ドアで、今は衣装タンスが閉まっている形です。
あとは、やたらとスイッチが多いこと。インドの場合、どのホテルでもコンセントのOn/Offのためのスイッチがすぐそばに付いているのが普通なのですが、このホテルではちょっと離れたところに付いていたりするため、「どれがコンセントのスイッチだ!?」と湯沸かしポットが使えるまでひと騒動。すぐ脇に付けてあるコンセントもあるので、よけいに混乱します。デザイナーさん、こんなことしちゃ駄目よ。
あと、上の写真に写っているパソコンを置いているデスクの椅子が低く、お掃除スタッフに「高くするにはどうすればいいの?」と聞いたらフィックスされている、とのこと。幸い枕が4個あるので、そのうち1つをその時も置いていたのですが、スタッフが「もう1個乗せるといいのでは?」と言ってくれ、それから枕を2つ重ねた上におしりを置いて、この記事も書いています(それでもまだ低くて肩が凝る)。このお掃除スタッフ君はなかなか気が利いていて、今日も昼に一時戻ってメールを打とうとしたらちょうどお掃除中だったのですが、「マダム、どうぞ」とすぐ椅子に枕2つ置いてくれて、思わずチップをあげてしまいました。
こういう気の利いたスタッフにもたまに出くわすのですが、上のように朝食時のレストランにはたくさんのスタッフがいて、次々と「マダム、コーヒーは?」「あとでね」、5分後別のスタッフが「コーヒーをお持ちしましょうか?」「食後でいいのよ」、さらにビュッフェで食べ物を取って戻ったら、「コーヒーですか紅茶ですか?」「だ~か~ら~、食べ終わったらオーダーする、って言ったでしょ!」ということになります。ところが、今朝はこの悪口を書こうとしているのがわかったのか(笑)、スタッフの人数も少ない上、皆さんとても静か。まあ、明日はどうなっているかわかりませんが、洗濯を間違えて縮んだカミーズも必死でアイロンをあてて伸ばしてくれたのが約束通り戻ってきたので、アゴダのサイトには悪口を書かないでおきましょう。一流ホテルになるのって、本当に大変ですね。