まだまだ原稿書きの深い森にいるCinetamaですが、今日はお気に入り(になるはず)の映画2本の予告編が正式アップされて、ちょっと元気が甦りました。YouTubeのインド映画予告編に関しては、未公開作のものは「勝手に予告編」や「ファンが作りました予告編」が異常に多くて、しょっちゅう騙されます。大手製作会社や配給会社の名前でアップされない限り、まず「パチもん」と思っていいのがインド映画の予告編です。いろんな作品からクリップを盗ってきてつなぎ合わせるワザはまさにプロ級で、そんなことやっている時間があったら編集テクを正式に学んで映画業界で仕事すれば? と思ってしまうほど。以前は皆さん良識があって、「Fan made」とかをどこかに書き込んでいたのですが、最近は巧妙なネーミングでアップしてくるのでつい騙され、開いてから「おー、それは『スーリヤワンシー』の絵じゃないの、またパチもんか~い!」と画面を閉じることが続いています。今日見つけたのは大丈夫、のはずなんですが、まず見ていただきましょう。
最初は一昨年、2021年の興収トップとなった『Pushpa: The Rise-Part 1(プシュパ:立身篇ー第1部)』(2021)のエンドマークからずっと楽しみに待っていた『Pushpa: The Rule-Part 2(プシュパ:支配編ー第2部)』の予告編をどうぞ。アッル・アルジュン演じるプシュパが、紅サンダルウッドの切り出しで大儲けし、大物にのし上がったのが「立身篇」ですが、ラスト近くでファハド・ファーシル演じる警部に目を付けられ、ちょっとした対決もどきを演じて、「あとは続編で!」というところで終わったのでした。あのトランクス姿は忘れられませんが、さて、その後の展開は?
Pushpa 2 Trailer | Pushpa 2 - The Rule 🔥 | Hindi | Allu Arjun | Sukumar | Rashmika | Fahadh Faasil
ん~~~と、まだ正式予告編ではないみたいですね。T-Series社はそういえば、数ヶ月前にも「Where is Pushpa?」と題する、最後にちょろっとプシュパが出てきて例のあごひをこすりポーズをする動画をアップしたんだったっけ。『Pushpa 2』の公開が今年中には実現せず、2024年になる見込み、という報道も出たので、観客を引きつけておくために小出しに情報を見せておく作戦なのかも知れません。今回の「予告編」では、これまで出てこなかったヴィジャイ・セードゥパティの名前が出て来たことが収穫でしょうか。ファハド・ファーシルの前にヴィジャイ・セードゥパティの名前が出てくるので、重要な役なのかしら? 正直言うと、アッル・アルジュンとファハド・ファーシルの対決をじっくりと見せてくれた方が、私は嬉しいんですけどね。予告編を見て気がつかれたように、監督はスクマール。そうです、『ランガスタラム』(2018)の次にスクマール監督が手がけたのが、『Pushpa 1』なんですね。「田舎シリーズ」が続いている、と言ってもいいかも知れません。
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「従兄弟なんだよ、僕たち。アッル=コニデラ家系のツートップスさ」
気を取り直して次へ行きましょう。
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次は9月7日(木)に公開が予定されているシャー・ルク・カーン主演作『Jawan(兵士)』です。左が当初リリースされたポスターでしたが、これを見たシャー・ルク・カーンの末っ子アブラームは、「パパ、ミイラみたい」と言ったとか。これが発表された頃はまだ『Pathaan(パターン)』の公開前だったので、4年間主演作品の公開がなかったシャー・ルクは半分ミイラになっていたようなものでしたね。子供は正直ですが、それをあっさりとマスコミに話してしまうシャー・ルクもなかなかのもの。さすが、「キング・カーン」です。『Pathaan』のスーパーヒットで、今や「シャー・ルク・カーンの『Jawan』をボイコットせよ」なんていう声はどこからも聞こえてこない北インド。勝てば官軍、『Jawan』もヒットしてほしいものですが、こちらの監督はヴィジャイ主演作『ビギル 勝利のホイッスル』(2019)などを監督したタミル語映画界のヒットメーカー、アトリ監督。ちょうど今、インディアンムービーウィーク(IMW)でこの映画のほか、アトリ監督作『マジック』(2017)も上映されていますので、シャー様ファンの方は今後のために見ておきましょう。で、『Jawan(ジャワーン)』の予告編はこちらです。
JAWAN - Official Trailer | Shah Rukh Khan | Vijay Sethupathi | Nayanthara, Deepika Padukone Updates
とアップしてみたのですが、これはプロの編集じゃありませんね...。「T-series」のマークに騙されたかも。プロが作る予告編というのは、例えばこんな感じです。
Pathaan | Official Teaser | Shah Rukh Khan | Deepika Padukone | John Abraham | Siddharth Anand
もー、仕事の合間にYouTubeで元気になったつもりだったのに、よけいに気分が盛り下がる原稿書きの森の中でした。
最後にオマケをひとつ。Cinetama個人の紹介案件なので、関心のない方はスキップして下さいね。光文社のサイトに「古典新訳文庫/コラム」というサイトがあって、現在「字幕マジックの女たち 映像×多言語×翻訳」というインタビューが連載されています。これまで、吉川美奈子さん(ドイツ語)、比嘉世津子さん(スペイン語)、福留友子さん(韓国語)、吉岡芳子さん(イタリア語)、そして樋口裕子さん(中国語)が登場なさったのですが、現在6人目として私が登場しています――とは言っても、今日アップされたNo.1は、親の話や高校ぐらいまでの話で、とても「インド」や「ヒンディー語」までには行き着かない自分史です(なに、これ~?の写真もいっぱい^^)。インタビュアーがライターでもある大橋由香子さんなのですが、とっても乗せ上手で、ついつい幼い頃の思い出をぺらぺらしゃべってしまった次第です。しかし、70年~60年ぐらい前の記憶なので記憶間違いも多く、あとで原稿にして下さった時に戸籍謄本とかを調べまくって赤字をいっぱい入れることになって、大橋さんにはご迷惑をかけてしまいました(すみません💦)。インド要素は次ぐらいから出てくると思いますので、憶えていたら1ヶ月後にチェックしてみて下さいね。でも、他の方のインタビューはそれぞれに面白く、友人でもある樋口さんや、韓国映画の翻訳者としてお名前をよく見ている福留さんのものは内容がよくわかり、洋画の字幕でお名前を知っている吉川さんのびっくり東西ドイツ話には仰天したりと、いずれも読み応えがあります。字幕や翻訳、女性の生き方に関心のある方は、ご覧になってみて下さい。