アジア映画巡礼

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『PS-Ⅰ 黄金の河』に溺れる幸せ②鍵を握る超美女ナンディニ

2024-04-09 | インド映画

『PS-Ⅰ 黄金の河』の魅力というか魔力はかなり強力です。この前、こちらでご紹介した主人公5人がそれぞれに魔力を持っているのですが、中でも一目見てほとんどの観客が恋に落ちてしまうであろう存在が、アイシュワリヤー・ラーイ演じる美女ナンディニです。先日、宣伝担当の方から美女の画像をたくさんご提供いただきましたので、今日はそれを使って、彼女の魔力の一端をご紹介しましょう。

『PS-Ⅰ 黄金の河』は、10世紀の南インドに展開したチョーラ王朝の物語です。本作ではまず、スンダラ王(プラカーシュ・ラージ)に2人の息子と1人の娘がいることが紹介されます。上から、アーディタ王子(ヴィクラム)、クンダヴァイ王女(トリシャー・クリシュナン)、アルンモリ王子(ジェヤム・ラヴィ)となるのですが、アーディタ王子はチョーラ国の南にあったパーンディヤ国を打ち負かし、王の首をはねたことでパーンディヤ国の残党から狙われる身となります。一方アルンモリ王子は、パーンディヤ国と盟友関係にあったスリランカのシンハラ王国を攻めるべく、船団を率いて南に向かっていました。続いてアーディタ王子は北へ向かい、ラーシュトラクータ王国を攻めます。ですが今回も勝利したアーディタ王子は、なぜかラーシュトラクータ国王コッティガの首をはねず、彼を追放するにとどめます。そして、王子たち2人と親しい剣士デーヴァン(カールティ)を呼び、「カダンブル城へ行け。密談が行われるから、内容を父上と王女に知らせろ」と命じます。このカダンブル城へ行く途中でデーヴァンが見るのが、輿に乗って進む美女ナンディニ(アイシワリヤー・ラーイ)でした。ナンディニは「チョーラ王国の守護神」と言われるパルヴェート侯の若き妻でした。

© Madras Talkies ©Lyca Productions

カダンブル城では、パルヴェート侯らが密談をしていました。彼らは24年前にチョーラ国の王が急死した時、甥のスンダラが王位に就く後押しをしたのですが、前王の遺児マドゥランダカ王子が成長したのちも、スンダラ王が王位を譲らないのを不満に思っていました。「スンダラ王は長男アーディタを勝手に皇太子にした」「我々にはひと言の相談もなく、立太子礼を行いおって」「王が相談したのは皇太后と王女クンダヴァイだけだぞ」そしてパルヴェート侯が「我らにはひと言もなく、女にだけ相談か」と言うと、中の1人が「あなたこそ、若い奥方の言いなりでは」と皮肉を言い、「口を慎め」と叱られることに。そこにマドゥランダカ王子が現れ、一同は王子が正当な王位継承者であるとして、忠誠を誓います。その秘密会議を覗いていたデーヴァンは王と王女に早く知らせねば、と思いますが、スパイに間違えられたり、パルヴェート侯夫人のナンディニと対面する羽目になったりと、なかなか王のもとへ行き着けません。しかし、ナンディニと会ったことで、デーヴァンは彼女もまた何か企みを持っていることに気づくのでした...。

© Madras Talkies ©Lyca Productions

アイシュワリヤー・ラーイはヒンディー語映画ファンにもお馴染みだと思います。1973年11月1日生まれの彼女はすでに50歳なのですが、とてもそうは見えません。出身はカルナータカ州のマンガロールで、母語はトゥル語です。父親の仕事の関係でムンバイで暮らすようになり、大学時代からモデルの仕事をしていた彼女は1992年のCM出演で注目され、1994年にはミス・ワールドの世界大会で優勝します。こうして映画界入りするのですが、日本では初めて映画に出た『ザ・デュオ』(1997)が映画祭上映されたあと、主演作『ジーンズ 世界は2人のために』(1998)が公開されますが、どちらもタミル語映画でした。続いてヒンディー語映画『ミモラ 心のままに』(1999)が2002年に公開されたものの、サルマーン・カーンの画像処理をめぐって日本人ファンが不満を表明し、残念ながらヒットには至りませんでした。アイシュワリヤー・ラーイが日本で多くの人に認識されたのは、2012年公開のラジニカーント主演作『ロボット』(2010)からですが、その頃には彼女は『Guru(導師)』(2007)や『Raavan(ラーヴァン)』(2010)で共演したアビシェーク・バッチャン(アミターブ・バッチャンの息子)と結婚し、半ば引退状態になっていたので、来日とかももちろんなし。結局日本では、シャー・ルク・カーン、マードゥリー・ディークシトと共演した『デーウダース』(2002)は映画祭上映されましたが、最高傑作の一つである『Dhoom 2(騒ぎ2)』(2006)は上映されずじまいになっています。今回、ひさしぶりにアイシュワリヤー・ラーイの顔を拝んで、大満足の方もいるのではないかと思います。

© Madras Talkies ©Lyca Productions

この『PS-Ⅰ 黄金の河』では、一番存在感が大きいのがアイシュワリヤー・ラーイ演じるナンディニで、映画の後半で、さらにアイシュワリヤー・ラーイの存在感を大きくする出来事も登場します。ぜひ事前に公式サイトに目を通していただき、映像的にも素晴らしいこの物語=ナンディニの物語を楽しんでいただければと思います。最後に映画のデータと予告編を付けておきます。『PS-Ⅰ 黄金の河』である程度ナンディニの過去が描写されますが、実は『PS-Ⅱ 大いなる船出』ではさらに謎が解き明かされる仕掛けになっています。『PS-Ⅱ 大いなる船出』は6月14日(金)から公開です。こちらもお楽しみに。

© Madras Talkies ©Lyca Productions

『PS-Ⅰ 黄金の河』 公式サイト  
 2022年/インド/タミル語/167分/原題:Ponniyin Selvan Part One பொன்னியின் செல்வன் 1 /字幕:大西美保・監修:小尾淳・協力:安宅直子
 監督:マニラトナム
 出演:ヴィクラム、アイシワリヤー・ラーイ、ジェヤム・ラヴィ、カールティ、トリシャー・クリシュナン
 配給:SPACEBOX
5月17日(金)全国順次公開ロードショー

映画『PS1 黄金の河』予告編

 

 


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