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Kent Shiraishi Photo Blog

北海道美瑛町の大自然や身近な写真を、
海外へ配信するArtistの呟き。

思い出の一枚 part 3 「青い池」

2014年08月23日 | 思い出の一枚
思い出の一枚 part 3 「青い池」
誰にでも思い出の一枚とよべる写真があるはずです。

北海道美瑛町 2013年10月16日
僕がここに住んだ13年間で最も早い初雪が降りました。
その当時「青い池」では、
細かな雪が降り風が強かったんですが、
待つこと2時間…風が止みました。
降雪によって淡いコントラストになり、
水彩画の様な写真が撮れました。
撮影時は僕一人です。
この情景を独り占めしていました。
(#^.^#)
これだけ世界で有名になっている池なのに、
素晴らしい瞬間を誰も撮りに来ないのです。
あまりに雪が多かったので、
夏タイヤの方は来たくても来れなかったのでしょう。
しかし明日はもうこの色は無くなると思います。
このまま雪が多分ずっと降り続くでしょうから、
そうしますとウイスキーの水割りの様に色が薄くなり、
もう少しグレー色に変わってしまいます。
だから僕は初雪に拘るのです。

今回はNikon D800Eを2台使用して撮影しました。
レンズ交換する時間が無いからです。
基本的にはF16まで絞り、
シャッタースピードは1/4~1/6秒の間で撮影。
もちろん全て手持ちです。
池の周囲にある柵を上手に使って撮影しています。
「青い池」の撮影では、
特別な目的以外、僕は三脚は使いません。
柵が邪魔で三脚を使用すると良い構図を作りづらいのと、
瞬発力に欠けて移動に時間がかかりチャンスを逃す危険性が高いからです。
もちろん3m×2mの巨大パネルにしても全く問題ない様に、
細心の注意を払って撮影しています。
またフィルターは一切使いません。
PLなど全く必要ないどころか、
逆に使用すると色ムラが起きる可能性があります。

当日は雨の様な湿った雪で、しかも風が強く、
その場にいた他の皆さんは、強風の中、
三脚を立てて撮影していました。
僕の場合は風が止むのを待ちます。
経験上そうなる事が分かっていたからです。
もちろんただじっと待っている訳ではありません。
周囲約200mの池をくまなく歩き、
簡単にロケハンで撮影して今回の撮影イメージを固めます。
結果5ヶ所ほど撮影ポイントと構図や撮影方法を決めました。
風が止んでいるおそらく何十秒から数分までの間に、
重要なポイントから順番に急いで撮影していく計画です。

既に頭の中には「完成作品」が出来上がっています。
風景写真のプロはシャッターを切る前に作品のイメージは完全に出来ています。
そこがアマチュア写真家との大きな違いです。
あとはただ「その瞬間」を待つだけ。
美味しいコーヒーとヘッドフォンで音楽を楽しみながら、
やがて来る撮影チャンスを待ちます。
・・・・・
僕が待っている間に、真横で撮影していた関西人のオッチャンがいました。
がっちりしたジッツオの三脚を立てて、
ご本人はNikon D4のファインダーを覗き、
隣の奥さんが右手で自分、
左手でカメラの上に傘をさしていました。
気温は約1℃です。
奥さんはホントに寒そうでした。
僕は温かい珈琲飲んで音楽聴きながら撮影ポイントを確認し、
動き回っていましたから寒くはないですが、
ただじっと立っていたら寒くて凍えそうです。
・・・・・
ちょうど僕がご主人の横に戻ってきた時の事です。
「兄さん、三脚も使わないであちこち撮ってるの?」
いきなりそう声をかけられました。
感じは悪くないオッチャンでしたので、
「ハイ、そうです。」
そうニコニコして答えましたら、
「今撮った写真手ブレしてないかい?」
そう訊いてきました。

実は構図とポイントを決めるために簡易的にテスト撮影しているだけですから、
もちろんブレています。自分で分かって撮っていますから。
そこで、
「え!、あ~そうですね。ブレてると思いますよ。」
そう答えましたら・・・
「兄さん!悪い事は言わへんから、三脚使いな!」
「そんな良いカメラ2台も使っとるんやから…。」
「三脚使わんとあかんで!」
そう注意されました。
(#^.^#)
まあ感じのよさそうなオッチャンで、
きっと僕が素人に見えたんでしょう。
まあもっともいつもそう見えるようにしてるんですが…ヘヘヘ。

「僕三脚持ってないんです…。」そうウソをつきました。
すると、
「シャッタースピードはいくつ?」
そう訊かれたので、
「え~そうですね、今は1/6秒ですね!」
そう答えると、
「1/6秒!!!!!ほんまかいな!私は1/60秒でも三脚使っとるんやで!!」
「あかんあかん!三脚使わんとあかんよ!」
またそう注意されました。
(#^.^#)
さらには、
「ここはね、この街に住んでるプロ写真家で、何て言ったか名前は忘れたけどな、
その写真家が撮った作品がアップルの壁紙にもなって有名になっとるんよ。
それでこんな奇麗な景色やろ、運良く雪まで降ってな。
こんなチャンスもらって手ブレ写真ぎょうさん撮ったらあかんわ…。」

僕はニコニコしながら答えました。
「次のチャンスにそのアドバイス活かします!」
そうしたら・・・
「皆そう言うけどな、次のチャンスは無いんだわ!」
「プロなら皆そう言うで…。」
「そういうもんだ兄さん!まあ頑張ってな…」
そう語っているうちに、隣の奥さんの精神も限界になったらしく、
「あんたもう行くで、寒くてかなわんわ…。」
ということで二人は帰りました。

・・・そしてそれからわずか10分後、
風はピタリと止みました。
その時間は約2分間。
僕は撮りたかった5カ所のうち4カ所で撮影出来ました。
またすぐに風が吹いて来て雪も激しくなりました。
周りを見ると誰もいません。
この5年間、「初雪」の日、
僕が撮影している時は誰もいませんでした。

僕と他の方とは完成作品のイメージが違うのでしょう。
皆さんそれぞれの作品イメージがあるはずで、
個人の美意識の違いでもあります。
またそれはセンスです。
教わって出来る事ではありません。
カップに残ったコーヒーをゆっくり飲みほし、
誰もいない池を見ていると、
思わず独り言が出ました。
「オッチャンの言う通りや、次のチャンスは無い!」
「今この瞬間ここに居るのがプロフェッショナルだ!」


Green Pond & First Snow 「緑池と初雪」

この時の撮影は2時間待って2分間。
音楽を聴きながら満喫しました!
最高!!!!!
そして今現在、
この写真は世界中で紹介されています。
青い池だけでなく、
美しい緑の池を世界に紹介した、
思い出深い一枚です。

フランス
Blue Pond Hokkaido Japon par Kent Shiraishi : Merveilleuse Nature Turquoise
オーストラリア
Why This Magical Lake Changes Colour With The Weather
スペイン
The Wow
香港
Photoblog.hk
米国
Beautiful Blue Pond in Japan Turns Spectacularly Green
タイトルも素晴らしいです。
「日本の美しい青い池が見事な緑色に変わる!」
世界中にこの池の色が変わる様子を伝えたかったので感無量です。
(#^.^#)
追伸
少なくともこのブログを読まれる様な皆様は、
三脚など使わずに日常撮影できる様、修行して下さい。
今日本中の有名観光地(寺や花畑)で『三脚禁止』になりつつあります。
これは心無い(意識の低い)プロやアマチュア写真家によって、
多くの一般観光客が迷惑しているからです。
一流の写真家なら、あるいはそれを目指す皆さんなら、
日本の写真家の模範になる様な美意識を持ち、実際に行動して頂きたいです。
「写真家はマナーが悪い!」
そう言われない様、我々が発言と行動で示す必要があります。
僕はいつもの様にそれを有言実行します。


ケント白石
北海道を世界に売り込む侍写真家
Professional & SAMURAI Photographer Kent Shiraishi
ケント白石 写真家の宿「てふてふ」
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