伝説では、雪のお姫が世間に未練があるかぎり、雪女一族は永遠に消えません。白い魔女の強い怨念は、愛から生じた悲劇をずっと繰り返して、終わりがありません。運命の呪詛を背負って、雪女一族が哀しみの淋しい旅を続けています。
ただ半世紀で、雪女一族の人数は誕生時期の千分の一にも足りなくなりました。碧影一族の狩りを避けるために、残存した雪女は北へ遷移しながら一族の生きる道を探していました。不断の移転を経て、ついに海を渡って蝦夷の地に辿り着きました。北の大地の寒気は、雪女一族に生気を与えると共に、温暖な地方で育った碧影一族の追い撃ちを阻みました。
雪女一族が世間に禍害をもたらすことを知って、安倍家の当主は、巫女のような悲劇が再び起こらないために、式神の術でお茶の精霊に人の形を授けて、生まれ付き霊力を持つ碧影一族を作りました。誕生の日から、碧影一族が誓いました。巫女の遺志を引き継ぎ、白い魔女が源の禍害を根絶する日まで、代々人類を守る使命を伝承します。