雪の子ノンノ

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~雪の子外伝~序

2012-01-27 | 雪の子外伝

毎年の春、函館市の五稜郭の桜が満開になります。魅力的な景色に人々は、かつて約一世紀半前にここが殺戮の戦場であったことを信じがたいです。一人の男がここで、人生最後の時間を過ごしました。彼の側にいたのは、名前もない雪女の一人です。


白樺の森

2012-01-13 | 雪女の一族

北海道の白樺の森は、雪女の一族が選んだ永眠の地で、雪女の墓場とも呼ばれます。雪女には死ねるような肉体がありませんが、死んでしまう心があります。孤独と悲しみは最終的に雪女一人一人の生気を消します。そうして、雪の精霊が自然と大地へ帰ります。千年にわたって哀傷の嘆息が白樺の森の中に漂いつつ、樹液ごとに雪女一族の涙が凝集されています。


ハマナスの慰撫

2012-01-06 | ふるさとの思い出

約一年半前に、お母さんがノンノを離れました。一族を存続させるために、雪女が独立してターゲットを探さなければなりません。小さいときも、ノンノに孤独に慣れさせるために、お母さんが離れたことは幾つあります。その度に、ノンノが悲しんで泣き出しましたが、幸いなことに、ハマナスが側にいてくれたのです。しかし、ノンノのもっとも恐れる日がやはり来ました。でも、今回ノンノは泣き出しませんでした。小さいときから可愛がってくれてきたお母さんのほうが自分よりもっと悲しむのを、ノンノが知っていますから。