雪の子ノンノ

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~雪の子外伝~第四話

2012-02-24 | 雪の子外伝

明治2年5月11日、新政府軍の箱館総攻撃が始まり、男が部隊の指揮を執って応戦のために出撃しました。運命の弾丸が男の体を貫きました。その瞬間、史料の中に記載されなかった一幕がありました。戦場は突然降り始めた大雪に覆われました。茫々とした白い景色の中に、少女は約束どおりに、男のところに来ました。


~雪の子外伝~第三話

2012-02-17 | 雪の子外伝

その日からの毎晩、少女は男の部屋に来て、最後の戦いを準備する彼を静かに見ていて、まるで白い死神が収穫を待っていたようです。約束をした二人が二度と言葉を交わすことはありませんでしたが、静寂な空気の中に微かな柔らかさが漂っていました。毎朝、少女はまた、熟睡中の男を静かに離れました。


~雪の子外伝~第二話

2012-02-10 | 雪の子外伝

見知らぬ少女は水色の髪と透き徹るほど白い皮膚、そして世間と掛け離れた美貌を持っていて、男に仙台から出発した航行の中で聞いた伝説を思い出させました。男が落ち着いて少女に来意を確認して、少女の答えが男の運命を予言しました。実際に、男はすでに自分の結末を覚悟しましたが、己の選択を貫くと決意しました。それも少女が正体を現わしても忌まない原因です。


~雪の子外伝~第一話

2012-02-03 | 雪の子外伝

明治2年4月末、前方の戦線で寡勢ながら敵軍を撃退することに成功して、半月ほど陣地を死守した旧幕府軍は、もう一方の戦線が敵に突破されて退路を絶たれる危険があって、止むを得ず根拠地である五稜郭へ撤退しました。駐屯地に戻ってここで最後の防衛戦を準備する指揮官は、自分の部屋に待っている見知らぬ白衣の少女と出逢いました。