竹林亭白房

一之輔「天狗裁き」@真打ち共演(栃木県)★落語

□本日落語一席。
◆春風亭一之輔「天狗裁き」(NHKラジオ第一『真打ち競演』)。
栃木県芳賀町民会館、令和6(2024)年5月11日収録※6月1日OA。
一之輔の「天狗裁き」は三四席聴いている。基本の型に添っていながら、所々にオリジナルのクスグリやギャグを織りまぜた構成になっている。なんだかとても新しい「天狗裁き」を聴いた気分にさせながら、実のところ、ふつうの「天狗裁き」だったと終ってから気づかされるというようなそんな仕上がりである。

従来型の基本ラインと唯一逸脱していると言えるかもしれないのは、最後の天狗に夢の語りを強要される件(くだり)。ここで、長屋の男は、初めて夢を見たという。それは、道を歩いていたら、とつぜん猫が出てきたニャアと鳴いたというようなものである。そして、天狗は、「なんだつまらん」と言うと、男は、「おまえが語れというから話したんだ」と逆ギレする。

これは以前の一之輔の高座でも確か演っていた。そして、そのときは男が苦し紛れというか、「(夢を)見ていない」と言うことがめんどうになって、猫の夢を見たなどと適当なことを言ったものと理解していた。いや、たぶん多くの客はそう思うだろう。
しかし、今回あらためて聴いていると、一之輔は猫の夢が嘘だとか適当に言ったみたいなことはまったく言ってない。
してみると、もしかして、男が見た夢というのは、本当に猫の夢だったと考えるとおもしろいのではないかという気になってきた。

つまり、女房や長屋の隣人や大家や奉行らに、本当に見た夢は猫がニャアと言ったなどと語ると、みんながっかりするのではないかと、そして、みんな誰もが天狗が言ったように「つまらん」と言うんじゃないか、それだったら、端から夢など見ていないと言ったほうがましだという、こんな解釈だったらもしかして斬新かもしれない。
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