慶聞抄(きょうもんしょう)
2025(令和7)年 7月号(No.140) 了雲寺 釈幸華 |
明神谷にて・・奈良と三重の県境
戦争の実相
坊守・釈明和のお仕事がない朝は、二人でお逮夜参りに出かけます。前の日にお知らせしているので、たいてい座布団を2枚用意して待っていてくださいます。正直に言うと、斜め後ろからの視線を感じるので、一人の時より幾分丁寧な所作になります。お茶のお作法ほどではありませんが、おひかり、お香、おりん、お経本と、流れるような手の動きであるようにと心がけています。(苦笑)
ある日、「讃仏偈」「重誓偈」と進んで、お念仏6回したところで、もうお経本をいただいてしまいました。アレレ・・回向句・願以此功徳・・は? 初めての出来事にびっくり。明和に「お母さんも忘れることもあるんですね」と言われてしまいました。
しっかりしているようで、体と脳の衰えは着実に進んでいます。最近、一番ダメージを受けたのが、スマホのブラックアウト事件。遠くに引っ越した**ステーションに汗だくで駆け込んだら、ただの充電不足とのことでした。帰りの自転車のペダルの重かったこと・・
朝ドラ、「あんぱん」は、戦時下の「銃後」の様子が描かれていて観るのも辛いです。「お国のために」と言われると、言いたいことも言われず我慢を強いられます。崇(たかし)も兵隊に取られて中国にやられました。食糧の補給路が断たれ、乾パンも底をつき、タンポポの根っこも食べつくして、とうとう農家のお婆さんに食べ物を出せと銃剣を向けました。お婆さんが差し出した茹で卵の殻をむく間も惜しみ、バリバリ貪る姿・・。
これが「アンパンマン」誕生の原点! 空腹は嫌だ! 戦争の実相は、恐怖と欠乏!(日本軍が実際、かの国で行ったことはこの程度のものではなかったでしょう。華北、特に中国共産党が抗日根拠地としていた地域では、残虐を極めたと言われています。焼き尽くし、殺し尽くし、奪い尽くす、中国の人は「三光作戦」と呼びました。)
イスラエルがガザに、また6月に入ってイランに攻撃し始めました。これに歴代大統領の中で最もイスラエル寄りのトランプのアメリカがどう絡んでくるのか、世界全体がどうなっていくのか、予断を許しません。
ナラティブ=物語。人も国も物語を必要とします。イスラエルは「自衛のため」、ロシアは「キエフ・ルーシという共通の祖国」、アメリカは「昔は偉大だった」と。自画像はいつも独りよがりで、不都合なものには目を閉じます。この点も人と国は同じ。
日本は敗戦から80年、いろんな場面で来し方が語られる夏。最近聞いたのが、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」。本人は生前この映像化は断っていたのが、2009年からNHKで足掛け3年にわたって放送されました。誤解されたら危険だから。それをくみ取って遺族と話し合い、NHKは原作にないシーンを2か所、挿入したのだそうです。崇が卵を貪る類の、戦争の実相を。
日露戦争も帝政ロシアの当時の政情が日本に有利に働いただけ。ポーツマス条約に不満の人々が日比谷焼き討ち事件を起こしましたが、戦争の実相を政府がちゃんと伝えていたら、そうはならなかったでしょう。もっと言えば、そのあとの昭和の戦争もなかったかもしれない。
願以此功徳 平等施一切
同発菩提心 往生安楽国
・・願わくば この功徳をもって 全ての人や生き物に分け与え ともに仏の悟りを目指す心を起こし 極楽浄土に往生せん
合掌
釈明和の
明かる~く和む今月の一言
暑い日が続いていますね。
日傘をさして日陰を探して歩く毎日です。
皆さんも、くれぐれも熱中症、脱水症に気をつけてくださいね。
さて、最近の私は、かねてから興味のあった「終活アドバイザー」の資格の勉強を始めました。
終活とは、人生の終わりに向けて、残された家族の困りごとが少なくなるように、また、自分自身の人生をより充実させるために、身の回りの整理、葬儀やお墓の準備、財産管理、介護や医療に関する希望などを事前に準備する活動のことです。
人間は、必ず最後の日を迎えます。
どんな人でも致死率は10
皆さんは、明日が人生最後の日だったとしたら、残された1日をどう過ごすでしょうか?
最後くらいパァーッと行きたいから、高級クラブでジャパンをおろして、
🎵ア、ソ〜レ、ソ〜レ🎵
ってする方もいらっしゃるでしょうし、
一度はやりたかったルパン三世の峰不二子のように、札束のバスタブに浸かってみる方もいらっしゃると思います。(いるか⁉)
はたまた、何にもしない、昨日と同じように過ごすという方もおられますよね。
最後の日に思うことは何でしょうか?
毎日、夫婦喧嘩ばっかり出来て良かったな❤️子供に口うるさく言って、嫌われてよかったな❤️ とは、思いませんよね。最後に味わいたい気持ちはどんなでしょう。
そして、次の日はお葬式。そのお葬式には、誰が参列しているでしょうか?そして、どんな話をしているでしょうか。
あの人は、〇〇だったね。その〇〇は、何だったら、嬉しいでしょうか??
そんな来たるべき日を思い浮かべて、自分が大切にしたいものをもう一度、確認してみてくださいね。
今からでも間に合います。
それが、終活です。
終活は最後の日のためにあるのではなく、今生きる自分のためにあるのです。
合掌 🙏
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