♪♪ 私の お寺ライフ ♪♪

 ブログアップして8年目に突入。相変わりませんが、私の「如是我聞」をお送りします。南無阿弥陀仏

慶聞抄 12月号

2016-11-21 13:38:39 | 随想
慶(きょう)聞(もん)抄(しょう)
  2016(平成28)年12月号
(NO・37) 了雲寺 釈幸華

 伝灯奉告法要 
 
親鸞聖人から数えて25代、専如門主=大谷光淳さん(37歳)に、本願寺の住職が継職されたことを奉告・披露する法要がただ今執り行われています。私事ながら、もう4年前になります、住職になるため教師教修で一緒だった仲間数人で11月の半ば、この法要にお参りしてきました。
阿弥陀堂と御影堂を中継で一体化した、厳かにも華やかな「奉讃伝灯作法」でした。引き続いての「つどい」では、ご門主ご一家がま近に登場され、司会者のインタビューにお答えになる場面もありました。5歳の敬(たかし)さんの、北米からの参拝者に向けて「ナイスミーチュー」の可愛らしさに場内が和みました。しかし、拍手しながらも、私は常に胸の痛みを感じていたのです。

世襲制について

ご開山・親鸞聖人が信心正因、お念仏一つで救われるみ教えを身をもって示されたので、浄土真宗各派のお寺には初めから家族が住んでいます。(他宗は明治になってから。)法主家の長男子への継承を基本とする血脈相続は、第3代覚如上人(この方、よく出てきます。)が実質的創始者とされています。歴史的な流れとしてそれはそうだったのでしょうが、これを今日でも引き継いでいるところに、戦後民主主義教育を受けてきた身としては抵抗があります。
「本山典令」は本願寺派の基本法規ですが、第3章「住職の法灯伝承第17条にこうあります。「住職は世襲であって、宗祖の系統たる大谷宗家の家系に属する者が、次の順序によって、これを伝承する。一、住職の嫡出の長男子 二、住職の嫡出の長男子の長男子・・以下略」戦前のものではありません、これは、平成23年発布、翌年施行です。

日本の文化と伝統の多くが世襲制で保たれ今日に至っています。歌舞伎、舞踊、お茶、お花・・小さい頃からそれこそ薫陶を受けるわけで、人材育成のシステムとしてこれ以上のものはありません。しかし、もし本人の気持ちが他にあったとしたら・・。
天皇の「生前退位」問題で、有識者の一人が反対意見の中でこんなことを言っていました。退位を認めると天皇になることを拒否することもできてしまうと。生まれながらに決められていて、一生自分の意志では変えられない。そんなことを非人間的というんじゃないのですかね。
 
うちの報恩講さんが無事お勤めなった明くる日、お嫁ちゃんが誘ってくれたブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」をオリックス劇場で鑑賞しました。中味を知らないまま観たのですが歌と踊りの迫力は勿論のこと、テーマをはっきり打ち出したシンディ・ローパーの作品に出会えて良かったと思いました。
靴作りの工場を父親から継ぐよう期待された息子と、キンキー、つまり女装趣味の性的少数者の男が、共に親の期待に応えられない息子同士として出会い、歌うのです。その場面で、私は泣きそうになりました。弟のことを思い出したからです。彼は中学校の憲法学習で「職業選択の自由」を習って救われたとのちに言いました。
親の期待は、その通りにできない子にとっては重荷です。それは、親の側にも最後までわだかまりを残し、正常な親子関係を損ないます。
ミュージカルと宗教の共通点に気がつきました。共にこの世、人間の社会を率直に問い返すことです。世襲制は、門閥と性差別を固定化します。浄土真宗の根幹がダブルスタンダード(二重規範)であっていいのでしょうか?  合掌
 出勤風景


*お寺カフェ、 12月/無し、1月/未定
コメント
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