「10月5日(土)」
「自転車屋の生き物歳時記」
「ケラ」
友人からケラについて
リクエストがあったのでケラ
小学生の時に
1、2回捕まえた程度で
街中にはあまりいないですね。
田畑の近くには
結構いたりするのかな?
ケラ(螻蛄)は、
バッタ目(直翅目)・キリギリス亜目・コオロギ上科
・ケラ科(Gryllotalpidae)に分類される昆虫の総称。
コオロギ類の中には
地下にトンネルを掘って住居とするものが
いくつか知られているが、
ケラは採餌行動も地中で行うなど、
その中でも特に地中での生活に特化したグループである。
日本には
その中の一種ケラ Gryllotalpa orientalis Burmeister, 1839
(G. fossor Scudder, 1869 とも)が分布し、
単にケラと言った時にはこの種を指すことが多いが、
世界中の熱帯・温帯に多くの種類が分布している。
日本では
おけらという俗称で呼ばれることも多い。
「虫けら」とは
虫全般を指すのであって、
ここでいうケラとは関係ない。
成虫の体長は30mmほどだが、
大型種では体長50mmほどに達するものもいる。
全身が褐色で、
金色の短い毛がビロードのように密生する。
他のキリギリス亜目昆虫と比べて触角や脚が短い。
頭部と前胸部は卵型で、
後胸部・腹部は前胸部より幅が狭い。
尾端には触角と同じくらいの長さの尾毛が2本ある。
成虫には翅がある。
長さは種類や個体によって異なるが、
おおむね前翅は短く、後翅は長い。
他のコオロギ類と同様
オスの前翅の翅脈は複雑で、
鳴くための発音器官があり、
メスの翅脈は前後に平行に伸びた単純なものである。
ただしケラ類はメスもわずかに発音できる。
草原や田、畑などの土中に巣穴を掘って地中生活する。
巣穴は大まかには
ねぐらとなる地面に深く掘られた縦穴と、
そこから伸びる、地表直下を縦横に走る
餌を探すための横穴からなる。
乾燥した硬い地面よりも、
水を多く含んだ柔らかい泥地や湿地に多く、
そうした環境の地表には
しばしば先述の横穴が盛り上がって走っているのが
認められる。
成虫幼虫ともに食性は雑食性で、
植物の根や種子、他の小昆虫、ミミズなど
さまざまな動植物質を食べ、ときに共食いも行う。
収斂進化の類例に挙がるモグラと同様、
運動量、代謝量が膨大であるため、
水分不足、飢餓に大変弱い。
水分が得られないと一晩程度で死んでしまう。
園芸植物の根や、ジャガイモ等の地中性の農作物、
更に芝の根をも食い荒らしたりする為、害虫とされる。
土をただ起こしても見つけにくいが、
田植え前の代掻き(しろかき)の際などは
土を起こした際に水上に浮かんでくるので見つけやすい。
水上では全身の短毛が水を弾いてよく水に浮き、
脚で水面を掻いてかなりの速度で泳ぐ。
地中生活するうえに前翅が短いため
飛ばないようにも見えるが、
長く発達した後翅を広げてよく飛び、
夜には灯火に飛来する。
若齢幼虫は多くのコオロギ類同様よく跳ねるが、
成長するとむしろよく走り、
飛翔の予備動作として跳ねるぐらいである。
行動可能範囲をまとめると、
地中を掘り進み、水上を泳ぎ、空を飛び、地上を歩くと、
様々な環境に対応しており、
昆虫界のみならず、生物全体から見ても、
対応範囲が非常に広い生物である。
オスは初夏によく鳴き、
巣穴を共鳴室として使って、地中からにもかかわらず、
十数メーター離れていても聞こえるほどの
大きな鳴き声を周囲に響かせる。
鳴き声は「ジー……」とも「ビー……」とも聞こえる
くぐもった感じの連続音。
地中から聞こえるため、
日本では古来「ミミズの鳴き声」と信じられてきた。
メスも鳴くという。
卵は巣穴の奥に泥で繭状の容器をつくって
その中に固めて産みつけ密閉し、
親がそばに留まって保護する。
孵化する幼虫は小さいことと翅がないこと、
よく跳ねること以外は成虫とよく似ており、
しばらく集団生活した後に親の巣穴を離れて
分散すると成虫と同様の生活をする。
天敵は
鳥類、カエル、イタチ、タヌキ、モグラなどである。
ことにムクドリはケラの多くいる環境では
ケラをよく摂食していることが知られている。
鳥が好んで食べることから、
江戸時代は江戸城大奥で
愛玩用に飼育されている小鳥の餌として、
江戸近郊の農村にケラの採集と納入が課せられていた。
幼虫・成虫に産卵し捕食寄生する寄生バチや、
麻酔して産卵するアカオビケラトリバチをはじめとする
ケラトリバチ科の狩蜂がいる他、
ミイデラゴミムシの幼虫はケラの卵塊を食べて成長する。
また、
マレーシアではケラに寄生するヤドリバエも確認された。
農薬の使用、開発による湿地の消失、
水田の減少など環境の変化が重なり、
ケラ類は日本を含めた世界各地で数を減らしているが、
21世紀の東京近郊でも湖沼、河川を控えた光源には
秋口によく新成虫のメスが多数飛来する。
野生環境では
土中で土壌生物や生きた植物の根を食べている本種だが、
飼育下ではクワガタムシ用の
高タンパクゼリーをよく食べ、
その場合生き餌や生鮮食品を必ずしも必要としない。
園芸用のミズゴケ属に加水したものを
飼育容器に厚く敷き詰めることで
マット兼シェルターとして使うことができる。
ケラ科は
Gryllotalpa 属、Neocurtilla 属
、Scapteriscus 属の3属に分けられるが、
どれも外見はよく似ている。
Gryllotalpa 属は
地中海沿岸地方からアジア、
オーストラリアにかけての熱帯・温帯域に分布し、
Neocurtilla 属と Scapteriscus 属は
南北アメリカ大陸に分布する。
日本にはその中の一種
ケラ Gryllotalpa orientalis Burmeister, 1839が分布するが、
G. fossor Scudder, 1869 とする文献もある。
食用や民間療法の薬などに使う地域もあるが、
日本では先述の江戸城大奥での
愛玩動物用の飼料としての利用を除いては
特に利用はされず、
むしろ農作物の地下部分を食害する
害虫とみなされてきた。
所持金がない状態を「おけら」、
遊泳、疾走、跳躍、飛翔、鳴き声、穴掘りなど
多芸だがどれも一流の能力でないとみなして
器用貧乏な様を「おけらの七つ芸」、
あるいは「けら芸」というなど、
いずれもあまり良い意味に使われない。
トビケラ、カワゲラといった
いくつかの水生昆虫が、
ケラの同類とみなされたことによる
と思われる名称で呼ばれている。
子供のおもちゃとしては、
掌に握り込むと前足で指の間などを
かき分けようとするのを喜ぶ、というものがある。
これを両手を広げる動作に結びつけて
はやし立てる遊びもあるようで、
アニメ「ぼのぼの」のなかで扱っている。
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