Chaotic-Love

【純情エゴイスト】が 好きな 遊び人
猫屋敷 かりん の 趣味 Blog です。

【 ダブル・タイフーン ~螺旋夜曲~ 】 act.4

2013年09月30日 | 【 * novel * 】
なんとなく話が途切れて、手持ち無沙汰な俺は自分のカバンの底からケータイを引っ張り出した。
奥底に入れてあったので台風による水害も無く、電源を確認しメールチェックしてみた。
……やっぱりメールは来ていない。
そのままヒロさんの番号をリダイヤルしてみたら…

『───この電話は現在使われておりません……』

繋がらなかった。

本当に繋がらなかった。
無意識のうちに何度もリダイヤルしたけど、ケータイからは無機質な女性の声が流れてくるだけだった。

ショックだった。
本当に『別な世界』に紛れ込んでしまったのだと、突き付けられた気がした。
ヒロさんとは別な世界に───それ以上は考えたくなかった。

「大丈夫か? 顔色悪いぞ…」

ヒロキさんが心配そうに声をかけてくれた。
ヒロさんと同じ声、顔なのに違う人。
本当なら、今すぐにでも抱きしめてキスしたいのに、この人には出来ない。

だって、ヒロさんじゃ無いから……。

「大丈夫…です」

「そっか、ならいいんだけど…やっぱ心配だよな…」

「はい…」

「オレも秋彦から聞いてなきゃ、不安で仕方ねぇよ」

「え?」

「秋彦って言っても解らないか…。 
 今回の事、幼馴染の小説家から大まかな事を聞いたんだ。 さっきの電話でな」

「ああ、『藤堂さん』ですか?」

「うん。 いつも相談に乗ってもらったりしているんだ。 
 だが、今回の事は秋彦が原因らしいぞ」

「原因って?」

「信じなくてもいいから、ざっと説明だけするぞ?
 今、秋彦が書いている小説が『パラレルワールド』物らしくて
 俺たちがそのモデルになっているらしいんだ。
 で、今から秋彦が来るから、何とかなりそうだぞ!」

「藤堂さんが来たら、どうして何とかなるんですか?」

「小説の内容を書き加えて『平衡世界』をクロスさせる事が出来るらしい。
 その時にお前は元の世界へ、野分はこっちの世界へ移動出来るそうだ」

「そんな事が出来るんですか!?」

「出来るってか、それを信じるしか無いだろ?
 出来なきゃ、お前はこっちの世界で『風間 野分』として暮らせるか?
 オレには無理だ。 
 お前が野分とそっくりでも、オレの野分は『風間 野分』しかいないんだ」

「俺だって『ヒロさん』はヒロさんしかいません!
 中條さんがどんなにヒロさんそっくりでも、です!」

ちょっと涙ぐんでる中條さんを見て、思わず中條さんの両肩を掴んで抱きしめそうになった……。

───決してやましい気持ちは無い。

ただ、ちょっぴり『元の世界』のヒロさんと重なってしまったんだ。
今頃、怒りながらも心配してくれてるであろう、大切な人と……。



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930の日です。
こんにちは、お久しぶりです。生きてます。

そしてまた来年まで引っ張ります。←

去年の拍手に「出来たら年内でも続けてください」と言うのがありまして
嬉しかったんですが、諸事情で続けられませんでした;
すみません。
今年はもう少し前向きになってみようと思います。

今更だけど、メッセージってすごい原動力になるんだなと思いました。


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