なんとなく話が途切れて、手持ち無沙汰な俺は自分のカバンの底からケータイを引っ張り出した。
奥底に入れてあったので台風による水害も無く、電源を確認しメールチェックしてみた。
……やっぱりメールは来ていない。
そのままヒロさんの番号をリダイヤルしてみたら…
『───この電話は現在使われておりません……』
繋がらなかった。
本当に繋がらなかった。
無意識のうちに何度もリダイヤルしたけど、ケータイからは無機質な女性の声が流れてくるだけだった。
ショックだった。
本当に『別な世界』に紛れ込んでしまったのだと、突き付けられた気がした。
ヒロさんとは別な世界に───それ以上は考えたくなかった。
「大丈夫か? 顔色悪いぞ…」
ヒロキさんが心配そうに声をかけてくれた。
ヒロさんと同じ声、顔なのに違う人。
本当なら、今すぐにでも抱きしめてキスしたいのに、この人には出来ない。
だって、ヒロさんじゃ無いから……。
「大丈夫…です」
「そっか、ならいいんだけど…やっぱ心配だよな…」
「はい…」
「オレも秋彦から聞いてなきゃ、不安で仕方ねぇよ」
「え?」
「秋彦って言っても解らないか…。
今回の事、幼馴染の小説家から大まかな事を聞いたんだ。 さっきの電話でな」
「ああ、『藤堂さん』ですか?」
「うん。 いつも相談に乗ってもらったりしているんだ。
だが、今回の事は秋彦が原因らしいぞ」
「原因って?」
「信じなくてもいいから、ざっと説明だけするぞ?
今、秋彦が書いている小説が『パラレルワールド』物らしくて
俺たちがそのモデルになっているらしいんだ。
で、今から秋彦が来るから、何とかなりそうだぞ!」
「藤堂さんが来たら、どうして何とかなるんですか?」
「小説の内容を書き加えて『平衡世界』をクロスさせる事が出来るらしい。
その時にお前は元の世界へ、野分はこっちの世界へ移動出来るそうだ」
「そんな事が出来るんですか!?」
「出来るってか、それを信じるしか無いだろ?
出来なきゃ、お前はこっちの世界で『風間 野分』として暮らせるか?
オレには無理だ。
お前が野分とそっくりでも、オレの野分は『風間 野分』しかいないんだ」
「俺だって『ヒロさん』はヒロさんしかいません!
中條さんがどんなにヒロさんそっくりでも、です!」
ちょっと涙ぐんでる中條さんを見て、思わず中條さんの両肩を掴んで抱きしめそうになった……。
───決してやましい気持ちは無い。
ただ、ちょっぴり『元の世界』のヒロさんと重なってしまったんだ。
今頃、怒りながらも心配してくれてるであろう、大切な人と……。
*****************************************
930の日です。
こんにちは、お久しぶりです。生きてます。
そしてまた来年まで引っ張ります。←
去年の拍手に「出来たら年内でも続けてください」と言うのがありまして
嬉しかったんですが、諸事情で続けられませんでした;
すみません。
今年はもう少し前向きになってみようと思います。
今更だけど、メッセージってすごい原動力になるんだなと思いました。
奥底に入れてあったので台風による水害も無く、電源を確認しメールチェックしてみた。
……やっぱりメールは来ていない。
そのままヒロさんの番号をリダイヤルしてみたら…
『───この電話は現在使われておりません……』
繋がらなかった。
本当に繋がらなかった。
無意識のうちに何度もリダイヤルしたけど、ケータイからは無機質な女性の声が流れてくるだけだった。
ショックだった。
本当に『別な世界』に紛れ込んでしまったのだと、突き付けられた気がした。
ヒロさんとは別な世界に───それ以上は考えたくなかった。
「大丈夫か? 顔色悪いぞ…」
ヒロキさんが心配そうに声をかけてくれた。
ヒロさんと同じ声、顔なのに違う人。
本当なら、今すぐにでも抱きしめてキスしたいのに、この人には出来ない。
だって、ヒロさんじゃ無いから……。
「大丈夫…です」
「そっか、ならいいんだけど…やっぱ心配だよな…」
「はい…」
「オレも秋彦から聞いてなきゃ、不安で仕方ねぇよ」
「え?」
「秋彦って言っても解らないか…。
今回の事、幼馴染の小説家から大まかな事を聞いたんだ。 さっきの電話でな」
「ああ、『藤堂さん』ですか?」
「うん。 いつも相談に乗ってもらったりしているんだ。
だが、今回の事は秋彦が原因らしいぞ」
「原因って?」
「信じなくてもいいから、ざっと説明だけするぞ?
今、秋彦が書いている小説が『パラレルワールド』物らしくて
俺たちがそのモデルになっているらしいんだ。
で、今から秋彦が来るから、何とかなりそうだぞ!」
「藤堂さんが来たら、どうして何とかなるんですか?」
「小説の内容を書き加えて『平衡世界』をクロスさせる事が出来るらしい。
その時にお前は元の世界へ、野分はこっちの世界へ移動出来るそうだ」
「そんな事が出来るんですか!?」
「出来るってか、それを信じるしか無いだろ?
出来なきゃ、お前はこっちの世界で『風間 野分』として暮らせるか?
オレには無理だ。
お前が野分とそっくりでも、オレの野分は『風間 野分』しかいないんだ」
「俺だって『ヒロさん』はヒロさんしかいません!
中條さんがどんなにヒロさんそっくりでも、です!」
ちょっと涙ぐんでる中條さんを見て、思わず中條さんの両肩を掴んで抱きしめそうになった……。
───決してやましい気持ちは無い。
ただ、ちょっぴり『元の世界』のヒロさんと重なってしまったんだ。
今頃、怒りながらも心配してくれてるであろう、大切な人と……。
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930の日です。
こんにちは、お久しぶりです。生きてます。
そしてまた来年まで引っ張ります。←
去年の拍手に「出来たら年内でも続けてください」と言うのがありまして
嬉しかったんですが、諸事情で続けられませんでした;
すみません。
今年はもう少し前向きになってみようと思います。
今更だけど、メッセージってすごい原動力になるんだなと思いました。