納涼茂山狂言祭2009＠国立能楽堂8/30

先日の国立のコンサートで燃え尽きてしまったのか、今週はどうも体調が悪く、やるべきことは色々あるのに何も手を付ける気が起こりません。

やっぱり雨の中のライブは体に相当負担がかかっていたみたいです。週末は無理をせず、ゆっくり体を休めるつもりです。

今週はコンサートのことで頭がいっぱいで、UPするのを忘れていましたが、嵐コンがあった30日、コンサートの前に国立能楽堂で久々に狂言を見てきました。

場所は国立能楽堂。奇しくも場所は嵐コンと同じ千駄ヶ谷です。

着物を着た上品な女性方が集まる能楽堂で、一人カジュアルな格好でうちわをのぞかせた大きなカバンを持っている自分は、相当浮いていたかもですが、まぁ気にしないってことで。

見たのはご贔屓にしている茂山家の納涼狂言。

２日間あるうちの最終日、人間国宝茂山千作おじいちゃまが出る回を見てきました。

蚊相撲、栗焼、茶壷、どれも初めての演目だったのでわかるかな？ってちょっと心配でしたが、最初に千作さんの弟さん千之丞氏のお話でわかりやすい解説をしていただけたので、どれも楽しく観ることができました。

千之丞氏は今年８７歳？、千作氏は９０歳と、この年齢でもお２人ともしっかりと舞台に立ち続けているというのは本当に驚きです。

ただお２人とも元気と言っても正座をすると立てないほど足腰が弱くなってしまっているようなので、これからは無理をしないペースでいいので、できるだけ長く素晴らしい芸をファンに見せ続けていただければなって思います。

秋の茂山狂言会では大曲「花子」をもっぴーと茂氏でやるそうなのですが、10月は旅行前で観に行けないのが残念。行きたかったなぁ・・・。


「納涼茂山狂言祭2009」第2日　8月30日（日）14：00開演

★お話：茂山 千之丞

★「蚊相撲」

大名　　　茂山 あきら
太郎冠者　茂山 千三郎
蚊の精　　茂山 童司

後見　　　鈴木 実

★素狂言「栗焼」

太郎冠者　　茂山 千作
主　　　　　茂山 茂

後見　　　　島田 洋海

★「茶壺」

田舎者　　茂山 正邦
すっぱ　　茂山 千五郎
目代　　　茂山 千之丞

後見　　　増田 浩紀


＜蚊相撲＞

大名は相撲取りを雇うことにし、太郎冠者に探しに行かせます。
そこへ、都で相撲取りになりすまして人間の血を吸ってやろうと考えている江州守山の蚊の精が通りかかり、太郎冠者はその精を連れて帰ってきてしまいます。

大名は新参者の腕をみようと自ら相撲の相手となるのですが、蚊に刺されて目を回してしまいます。ついに新参者の正体を悟った大名と太郎冠者は取組む際に蚊の針を抜き、風をあおいで、蚊をこらしめます。

蚊の精と相撲を取ってしまうという、いかにも狂言らしい奇想天外なアイディアのつまった夏の定番曲。

童司くんの蚊の精がとってもおちゃめで、可愛らしい動きがツボでした。


素狂言＜栗　焼＞

素狂言とはセリフのみで、狂言のストーリーを伝える手法。
足腰の弱い千作おじいちゃまが舞台に出るために編み出したのだそう。

太郎冠者は、貰い物の40個の栗を焼くように主人から命じられます。
切れ目を入れ忘れてはぜさせたり、焦がしそうになったりと失敗もしますが、なんとか全部焼き終わり、皮を剥きます。

ところがあまりにも見事な栗なので、つい手が出てしまいとうとう全部食べてしまいます。

素狂言初めて見ましたが、さすが千作おじいちゃま、衣装や大きな動きがなくても、表情豊かな台詞と、手の動きで美味しそうな栗を焼く様子が目に浮かぶようで、とっても面白かったです。
素狂言ってちょっと落語見たいです。

孫の茂氏の主も凛々しくて素敵でした。

＜茶　壷＞
千五郎、正邦親子共演。

茶壺を背負った男が酒に酔って道で寝込んでしまいます。
そこへ通りかかったすっぱ（詐欺師）は、その茶壺を自分のものにしようと、背負い紐に片腕を通して男と背中合わせに寝ます。やがて男が目を覚まして茶壺の取り合いとなり、目代（代官）が裁きに入りますが、最終的にどちらのものかわからないため、目代は自分のものにしてしまうというラスト。

歌舞伎の栗焼は千之丞氏によると三津五郎がたまにやったりするそう。
その場合はラストが逃げるすっぱを追いかけるんだったかな？
狂言のラストのほうが現代っぽいって三津五郎氏は言っているそう。
機会があったら歌舞伎の茶壺も見てみたいなぁ。

茶壺が自分の物であるという説明が出来るはずもないすっぱが、懸命に田舎者の真似をして、一拍遅れて演じる様子がとっても面白かったです。