昨日は、国立小劇場にて、「文楽」を観てきました。
テレビではたまに目にすることはありましたが、生で観るのは人生初です。
歌舞伎の義太夫狂言は人形浄瑠璃を基にしているので、演目もなじみのあるものが多いということもあり、一度観てみたいなって思っていました。
選んだ演目は近松門左衛門の晩年の傑作と言われる「女殺油地獄」。
わがまま放題に育った河内屋与兵衛が遊興の限りを尽した末に揉め事を起こし、ついには金策のために豊島屋の女房・お吉を殺害してしまう…
なんともおぞましい話ですが、この芝居はその油まみれの惨殺シーンが一番の見どころとなっていて、歌舞伎でもしばしば上演される人気演目となっています。
ちなみに、大阪松竹座2月は愛之助さんが主人公の与兵衛を演じています。
チケットを取る際、人形が良く見えた方がいいなぁと思って今回は一等席を取ってみたのですが(5列目下手寄り)正解でした。
人形は小さいとも大きいとも言えないのですが、さすがに10列以上後ろの席だと細かい動きがちゃんと見れないんじゃないかと思います。
それでも劇場は平日なのに大入り満員の状況で、最近文楽が人気があるという噂は本当だったんだって納得しました。
年齢層は高いけど、若い人も多くて、あと綺麗な着物姿の人もいっぱいいて華やかな雰囲気でした。
文楽は歌舞伎と同じように男性によって演じられ、太夫、三味線、人形遣いで成り立つ三位一体の演芸と言われています。
一つの人形を3人で操っており、主遣いが首と右手、左使いが左手、足遣いが足を操作しています。
主遣いの方はお顔を出していて、左遣いと、足遣いの人が黒衣姿となっています。
徳庵堤の場では登場人物が多いため、黒衣が10人近くいたのにはなんだかシュールだけど、面白い。
この3人の息がぴったり合ってないと、人形は上手く動かないのですからすっごく大変なんだろうと思います。
動かさなければただの人形なのに、人形遣いが操り、魂を吹きこむことによって、とたんに表情豊かになり人間っぽくなるから不思議です。
顔をちょっと傾けたり、肩を揺らすだけでどういう心情なのかすごく分かるんです。
そして注目の殺しのシーン、人形だから血が出るわけでも、油がまかれることはないのですが、そんな演出がなくても十分与兵衛の狂気が伝わってきて、背中がゾクゾクしました。
太夫の太い声、三味線の音色がまた緊張感を高めます。
髪を振り乱し逃げ惑うお吉、油で体に足を取られながらも脇差を振りかざす与兵衛、実際に人間が演じているわけではないのに人間以上の恐ろしさ、生々しさがあって、とにかく凄い。
油で滑るところ、ホントに滑ってるみたいで、滑り方がもう絶妙なんです。
人形とは思えない迫力のシーンに圧倒されてしまいました。
と言うより人形だからこそ、色んな想像力をかき立てられてより恐ろしく見えるのかもしれないんですけどね。
何て言ったらいいかわからないけど、ぐいぐい惹きつけられて、とにかく文楽って面白いと思いました。
歌舞伎とは一味違った神秘的な所とかたまりません。
人形に魂が宿るって言うけど、本当にそうだと実感しました。
そういえば、与兵衛という人物ですが、金持ちの放蕩息子で、金銭感覚まるでなし、見栄っ張りで遊ぶ金欲しさにわけのわからない理屈をこねて、世話になったお吉を惨殺してしまうという、現代の非行少年の事件にも通じる面があって余計に残酷さが伝わってきました。
今回劇場のことで一点不満だったのが字幕の位置が高すぎってことです
。
最初の一幕目ではあまりに高い位置にあるから気付かなくって、2幕目から前の人が上ばっかり見てるなと思ったら字幕でした(^_^;)
字幕見てると人形が全く見れないし、首痛いしで、意味ないような気がしたんですが、どうなんでしょう?
でも今回とても面白かったので、また機会があったら観に行ってみようと思いました!
あと、歌舞伎で仁左衛門さんの与兵衛もいつか見てみたいです。
近松門左衛門=作
女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)
徳庵堤の段
河内屋内の段
豊島屋油店の段
(主な出演者)
竹 本 住大夫
竹 本 綱大夫
鶴 澤 寛 治
鶴 澤 清 治
吉 田 簑 助
吉 田 文 雀
ほか
テレビではたまに目にすることはありましたが、生で観るのは人生初です。
歌舞伎の義太夫狂言は人形浄瑠璃を基にしているので、演目もなじみのあるものが多いということもあり、一度観てみたいなって思っていました。
選んだ演目は近松門左衛門の晩年の傑作と言われる「女殺油地獄」。
わがまま放題に育った河内屋与兵衛が遊興の限りを尽した末に揉め事を起こし、ついには金策のために豊島屋の女房・お吉を殺害してしまう…
なんともおぞましい話ですが、この芝居はその油まみれの惨殺シーンが一番の見どころとなっていて、歌舞伎でもしばしば上演される人気演目となっています。
ちなみに、大阪松竹座2月は愛之助さんが主人公の与兵衛を演じています。
チケットを取る際、人形が良く見えた方がいいなぁと思って今回は一等席を取ってみたのですが(5列目下手寄り)正解でした。
人形は小さいとも大きいとも言えないのですが、さすがに10列以上後ろの席だと細かい動きがちゃんと見れないんじゃないかと思います。
それでも劇場は平日なのに大入り満員の状況で、最近文楽が人気があるという噂は本当だったんだって納得しました。
年齢層は高いけど、若い人も多くて、あと綺麗な着物姿の人もいっぱいいて華やかな雰囲気でした。
文楽は歌舞伎と同じように男性によって演じられ、太夫、三味線、人形遣いで成り立つ三位一体の演芸と言われています。
一つの人形を3人で操っており、主遣いが首と右手、左使いが左手、足遣いが足を操作しています。
主遣いの方はお顔を出していて、左遣いと、足遣いの人が黒衣姿となっています。
徳庵堤の場では登場人物が多いため、黒衣が10人近くいたのにはなんだかシュールだけど、面白い。
この3人の息がぴったり合ってないと、人形は上手く動かないのですからすっごく大変なんだろうと思います。
動かさなければただの人形なのに、人形遣いが操り、魂を吹きこむことによって、とたんに表情豊かになり人間っぽくなるから不思議です。
顔をちょっと傾けたり、肩を揺らすだけでどういう心情なのかすごく分かるんです。
そして注目の殺しのシーン、人形だから血が出るわけでも、油がまかれることはないのですが、そんな演出がなくても十分与兵衛の狂気が伝わってきて、背中がゾクゾクしました。
太夫の太い声、三味線の音色がまた緊張感を高めます。
髪を振り乱し逃げ惑うお吉、油で体に足を取られながらも脇差を振りかざす与兵衛、実際に人間が演じているわけではないのに人間以上の恐ろしさ、生々しさがあって、とにかく凄い。
油で滑るところ、ホントに滑ってるみたいで、滑り方がもう絶妙なんです。
人形とは思えない迫力のシーンに圧倒されてしまいました。
と言うより人形だからこそ、色んな想像力をかき立てられてより恐ろしく見えるのかもしれないんですけどね。
何て言ったらいいかわからないけど、ぐいぐい惹きつけられて、とにかく文楽って面白いと思いました。
歌舞伎とは一味違った神秘的な所とかたまりません。
人形に魂が宿るって言うけど、本当にそうだと実感しました。
そういえば、与兵衛という人物ですが、金持ちの放蕩息子で、金銭感覚まるでなし、見栄っ張りで遊ぶ金欲しさにわけのわからない理屈をこねて、世話になったお吉を惨殺してしまうという、現代の非行少年の事件にも通じる面があって余計に残酷さが伝わってきました。
今回劇場のことで一点不満だったのが字幕の位置が高すぎってことです
。
最初の一幕目ではあまりに高い位置にあるから気付かなくって、2幕目から前の人が上ばっかり見てるなと思ったら字幕でした(^_^;)
字幕見てると人形が全く見れないし、首痛いしで、意味ないような気がしたんですが、どうなんでしょう?
でも今回とても面白かったので、また機会があったら観に行ってみようと思いました!
あと、歌舞伎で仁左衛門さんの与兵衛もいつか見てみたいです。
近松門左衛門=作
女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)
徳庵堤の段
河内屋内の段
豊島屋油店の段
(主な出演者)
竹 本 住大夫
竹 本 綱大夫
鶴 澤 寛 治
鶴 澤 清 治
吉 田 簑 助
吉 田 文 雀
ほか