猫又通信

縁側で昼寝中。。。

今日のマリナーズ(現地3月30日)

2005年03月31日 23時34分31秒 | 戯言1(サブマリナーズ浮上せよ!)
今日のマリナーズは、ホームのピオリアでロイヤルズ戦でした。

詳しい内容はこちら→Anderson bests Moyer in lefty duel
日本語記事はこちら→【MLB】イチロー3の1で19試合連続安打、長谷川は1回無失点

結果は3-5でマリナーズが負けています。

今日は、開幕投手が予定されているモイヤー投手が投げるということで注目していたのですが、内容的には悪くなかったようです。
モイヤー投手は、5回5安打2四球3三振2失点。まあまあですね。早い回に失点したのだけは頂けませんが。。2点なら許容範囲です。開幕日も悪くてもこの程度でいって欲しいですね。

今日は2、3番手のソーントン投手(1回2三振0失点)と、長谷川投手(1回1安打1三振0失点)が安定していたのでホッとしています。
4、5番手のヒメネス投手(1回2安打1失点1被本塁打で負け投手)と、シェリル投手(1回3安打1四球1三振2失点)がいけなかったんですが、、。相変わらず、最後まで完璧に(とまでは言わないからある程度の安定がほしい)いかない投手陣です。頭痛い。。。

打撃陣のほうは今日は低調。相手ピッチャーが良かったのかと見たら、またもや相手の先発は、アンダーソン投手でした(爆)
彼には、3月25日にもやられてるんですよ~。
あの時は、4回をヒット1本で1点も取れずじまいでした。今日は、5回をヒット3本(ちっとは進歩してるのか?)、でまたもや無得点に抑えられてます。
問題なのは、アンダーソン投手は、左ピッチャーだってことです。マリナーズの今季の打線は、中軸が右打者ばかりなのに、、左投手にこんなにあっさりと抑えられてていいんでしょうか? それも去年は、6勝12敗で防御率5.64のピッチャーに。。
シーズンが、心配になってきますよ。

今日のイチロー選手は、3打席3打数1安打(中前打)1得点です。(打点より得点があるほうが嬉しいですね)
今日の得点もベルトレイ君が返してくれた(適時二塁打)みたいですね。よしよし♪


オープン戦も残すところは、あと3試合で、スケジュールは次のようになっています。
時間はすべて現地時間です。

●3月31日:午前11時 パドレス戦(ピオリア) ホームゲーム
●4月 1日:午後7時  カブス戦 (ラスベガス) アウェイゲーム
●4月 2日:午後1時  カブス戦 (ラスベガス) ホームゲーム

2日の試合はスカパーで放送予定があるみたいですね。(うぅ、見たいなあ。)
今日の先発がモイヤー投手だったということは、明日からの3試合で先発2~4番手に予定されている投手が次々と登板してくると思われますので、今後を占う意味でも要注目です。



今日は、審判に迫力で詰め寄るハーグローブ監督の写真をお送りします。
こういうシーン、これから先もたくさん見そうな気がします(汗)



Seattle Mariners manager Mike Hargrove argues with homeplate umpire Alfonzo Marquez in the third inning against the Kansas City Royals Wednesday, March 30, 2005, in Peoria, Ariz. Hargrove was arguing a play that took place at second base and was ejected by Marquez.
(AP Photo/Lenny Ignelzi)

う~ん、、迫力。ハーグローブ監督って横幅が凄いので圧迫感が・・・。(前から思ってたんだが、ハーグローブ監督のジャージのパンツってイチロー選手なら2人は入りそうですよね(笑))



今日のマリナーズ(現地3月29日)

2005年03月31日 00時52分55秒 | 戯言1(サブマリナーズ浮上せよ!)
昨日は、体調が良くないのと、イチロー選手が休んでいるのをいいことにサボってしまいました(汗)
今日もパス、しようかなと思いましたが、2日連続はまずいので、簡単にまとめてみます(笑)

今日のマリナーズは、アウェイでのアスレチックス戦です。
西地区のライバルチームですので、しっかりと叩いておきたいところですが、、、結果は、逆に思う存分叩かれてます(泣)

詳しい内容はこちら→A's double up Mariners

ヒット11本で5点しか取れず、同じく11本のヒットで10点をあげた相手チームにダブルスコアで負けてしまいました。

ベルトレイ君に第2号ソロホームラン、セクソン選手は3打数2安打、同じくブーン選手も3打数2安打1打点、ウィン選手、Gutierrez選手も2安打ずつと、中軸をはじめヒットは出ていたんですが、いまいち繋がりが悪かったようですね。今日は好調のイバニーが休みだったので、そのせいも(中軸と下位がつながらない)あるようです。

打撃陣は不調という訳でなく、繋がらなかっただけなので改善策はあるし、まあ、いいでしょう。(ということにして置きましょう(笑))

今日の負けは、一にも二にも先発のシーリー投手、2番手のローランド-スミス投手の不調でした。シーリー投手、4回2/3、7安打3四球1三振8失点。ローランド-スミス投手、1回1/3、3安打4四球1三振2失点。
この2人にはコントロールというものが無いようです。。。(T_T)
3、4番手のネルソン君とプッツ君は久々に(おい?)四球も失点もなしでピシッと占めてくれたのが唯一の救いです。(頼む~、この投球をあと2試合つづけてくれ)

イチロー選手は、今日は4打席4打数1安打(中前適時打)1打点でございます。
第1打席、遊直。(相手ショートのファインプレー、、だったらしい)
第2打席、投直。(相手先発のブラントン投手が腹で止めたとかあったけど、大丈夫なんかな?)
ま、不運でした、ということで、明日に期待しましょう。
本人には、別の見解もあるようですが、、、。

【MLB】イチロー、タイムリー放って18試合連続安打
イチローは試合後、最初の2打席でいい当たりを連発しながらアウトになったことについて、「(詰まってヒットになるより、いい当たりのアウトに満足するかは)どうやって詰まらせてヒットにしたか、ヒットになったかによって違う。ただシーズン中であれば結果(を重視する)」とコメント。



今日は、シアトル期待のルーキー、リード選手の写真が見つかったので貼り付けて終わります。


HARLEY SOLTES / THE SEATTLE TIMES
Nothing seems to faze Jeremy Reed, including sky-high expectations for the 23-year-old center fielder who came to Seattle in the Freddy Garcia trade.

リード君のこのSTの成績は、22試合で打率3割5分3厘24安打17打点12得点1本塁打。(素晴らしい♪)



イチロー選手の4割達成の可能性(おまけの関連記事コレクション)

2005年03月30日 22時59分45秒 | 戯言1(サブマリナーズ浮上せよ!)
えー、前回書いた妄想記事(笑)のおまけとして、『イチロー選手の4割達成の可能性』について、あちこちにあれこれと書かれた最近の記事を集めてみました。


まずは、マリナーズ公式HPの記事から。
Suzuki could be first .400 hitter since Ted Williams
By Jim Street / MLB.com

概訳の日本語記事はこちら。
イチローは打率4割超えるか かつての挑戦者が言及(major.jp)

"I am very, very impressed with the guy," Brett said. "I would definitely give him the nod over anyone in baseball. He sprays the ball all over the place and runs like a deer. It would be tough to hit .400, because of the way the bullpens are set up, but I wouldn't be all that surprised if he did it."

野球殿堂入りしているジョージ・ブレット氏が、”イチロー選手が4割を打っても驚かない”と言ってますね。(私も驚きませんが(笑))

記事の中では、デイリースポーツのコバヤシ・ノブユキ記者がコメントを寄せています。
Nobuyaki Kobayashi, a reporter for the Daily Sports of Tokyo, has covered Ichiro for the past four years and said he expects "something special" this season.
"As a leadoff guy, if he wants to hit .400, he needs about 282 hits," Kobayashi said. "He makes me think it's not that (unrealistic) a number. He talked to us about a 'feeling' he had in the batter's box the middle of last season. He changed his stance a little bit and since then, he has been amazing.
"He already has that feeling this year, and that's why I think there is a possibility. He wants to be a better hitter. As long as he thinks about that, he has potential to be a better hitter. If he stopped thinking about that, that's it. As long as he feels that way, that's why it's very exciting to watch him."

マリナーズのドン・ベイラー打撃コーチは、4月を3割5分くらいで乗り切れば、その可能性が非常に高くなると言っています。(私もそう思う(笑))
Mariners hitting coach Don Baylor said it would be important for Ichiro to get off to a good start in April, ending the month with an average in the .350 range. "If he has an outstanding April, I think there is a great possibility of doing it and I absolutely hope he does it," he said.


次はESPNのサイトから。
Ichiro leading Cactus league with a .531 average (Associated Press)
Can he become the first .400 hitter since Ted Williams batted .406 in 1941? Maybe he can challenge Joe DiMaggio's record 56-game hitting streak set that year. Suzuki was jokingly asked if he can hit in all 162 games.
"If that happens, I'll quit baseball," he said
through a translator, returning serve with a playful laugh.

AP通信の配信記事でして、内容的には次のシアトルポスト・インテリジェンサーの記事とほぼ同じです。

New batting stance provides Ichiro all the right moves
Spring streak brings questions of .400, DiMaggio's record

これは日本語翻訳記事があります。

イチロー、"打撃スタンス変更" は大正解

昨夏から今春にかけてのイチローの飛びぬけたパフォーマンスにつられて、質問もとんでもない内容になってきた。今ではジョー・ディマジオが持つ連続試合安打56という記録に届くかどうかまで取りざたされている(イチローのメジャー入り後の最高記録は23試合)。
今年は毎試合ヒットを打つつもりかという質問に、イチローは笑いながらこう答えた。
「もし162試合全部でヒットを打てたら、僕は野球をやめますよ」
「1試合4本塁打とかはありえますよね」とイチロー。「1つの試合中に起こることですから。でも56試合となるとそうはいかない。僕はその半分にも届いたことがありませんからね。56試合連続してヒットを打つのは、間違いなく打率4割よりも難しいですよ。
「あらゆる記録の中で一番すごい記録ですね」


スポーツナビ・サイトのコラム記事から。
“4割概論”――4割打者誕生の可能性に迫る(木本大志の『ICHIRO STYLE』 VOL.2 )

例のイチロー選手ファンで有名な慶応大学の向井万起男先生が週刊誌のコラムである本を紹介してらっしゃる事について書かれています。

『フルハウス 生命の全容――四割打者の絶滅と進化の逆説』スティーブン・ジェイ・グールド著

4割打者が半世紀以上も出ていない状況を、多くの人はどうとらえているのか? 一般的に言われていることと、本に挙げられている理由を簡単に列記すると、
・投手の分業化が進み、打者は1試合に何人もの違う投手との対戦を迫られる
・球種が増え、投手の投球術がかつてとは比べられないほど上がった。つまり、打者のレベルが投手の向上スピードに追いつけない
・かつての選手は、今の選手よりも真剣に野球に取り組んでいた
・過酷な移動
・デーゲームに比べてボールが見にくいとされるナイトゲームの増加

面白い内容の本ですね。でも常識から一歩も出てないです。それでは、イチロー選手には付いて行けません(爆)


月刊SLUGGER・5月号から。
イチロー 夢の4割の可能性

このサイトでは、本の記事の紹介のみで内容までは書かれていませんので、少し雑誌から転記してみます。

「イチロー4割への5ヶ条」
1.シーズンを通して健康を保ち、なおかつスランプに陥ることなく好調を維持する事。4月の打率を最低でも3割に乗せる。
2.よく知らない投手も打つ事。(昨季2割台に抑えられた5チームのうち4チームはNL)
3.四球を選び、打数を減らすこと。(1900年以降の4割打者では、ビル・テリーの633打数が最多)
4.幸運であること。
5.マリナーズの低迷?
(注)
(注)イチロー選手がもっとも能力を発揮するのは、シンプルにボールを見て打つというアプローチのときであって、状況に応じたバッティングを要求された場合、その能力は落ちる(打率が落ちる)、また、ランナーのいる場面での打席が多くなると内野安打が減る、というのが理由らしいです。

この雑誌は、毎年この時期にいくつかの予想記事を掲載しているんですが、これはそのひとつ。
4割を達成するには、上の5つの条件が必要で、、最後に結論として、”4割達成は無理”としています。

ま、無理でも可能でもどっちでも良いんですが、上の条件がアホらしくて・・・。
納得できるのは、1と4くらいかな。
2に関しては、去年のデータしか使ってません。一昨年のインターリーグでのデータをしらないんでしょうか?
3については、もう言うまでもないですね(笑)

プロの記者が書いた記事にあれこれ言うのは失礼でしょうが、私は実のところ、この雑誌のデータ解析部分については全く信用していません(爆)
まあねぇ、前回の予想記事が外れているって事もありますが、毎年この時季に載ってる各チームのシーズン・プレビューがね、、ちょっと、おいおい?ってな内容がね、あちこち載ってるんですよ。何処から、どの時点で収集した情報なのかはわかりませんが、素人に毛に生えた程度のファン(←私だ(笑))にさえ呆れられるような情報は載せないで欲しいです。
(840円もするんですよ、この雑誌。嫌になります。)



目に付いた記事を幾つかまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
最後に、勝手に総括しますと、なかには面白い箇所もありますが、イチロー選手に(も、イチロー選手のファンにも)、現時点で付いて来れてる記事はひとつもありません(笑)(ま、こんなもんでしょうね。)



今日のマリナーズ(現地3月27日)

2005年03月29日 01時17分21秒 | 戯言1(サブマリナーズ浮上せよ!)
今日のマリナーズは、ホームのピオリアでホワイトソックス戦でした。

詳しい内容はこちら→Ichiro, Mariners pound White Sox
さらに詳しいのはこちら→Mariners 15, White Sox 9
日本語記事はこちら→【MLB】止まらないイチロー、ついに球団記録を更新! 井口も3打点

結果は、15-9でマリナーズが打ち勝っていますが、、、
一言でいうと、ひでぇー試合です。(あまり、記事を書く意欲が湧きまへん(爆))

ヒット13本(ホームランなし)で15得点は結構でしたが、内容的にあまり嬉しくないです。。
(相手ホワイトソックスは、ヒット13本(ホームラン2本)で9点しかとっていませんが、これは投手陣が出した四死球の数の差でしょう。)
期待のヘルナンデス君は、また崩壊したし。(若いせいなのか、先発となるとアドレナリンが出過ぎるのだろうか(爆)やはり、しばらくはリリーフで使ってみる方が良いのかも・・)

お互いの打撃が好調で乱打戦になったというよりは、お互いの先発投手をはじめとする投手陣の乱調で、締まりなく大量得点が入ったというべきでしょう。
何せ、両チームあわせて四死球が16個(うち死球5個)。死球の内訳は、相手先発のコントレラス投手が2個(イチロー選手、ウィルソン捕手)、スミス投手1個(サンティアゴ選手)、マリナーズの先発のヘルナンデス君まで1個(デービス捕手)、Buglovsky 投手1個(バーク選手)とぶつけまくっています。
お互いの先発の出した死球はまだしも、リリーフ陣の死球は、報復合戦かとも思います(その可能性はかなり高いと思う(爆))が、、これじゃあまともな試合になっていません。
この試合には、元ダイエーの養父鉄投手がホワイトソックスの3番手で投げているのですが、
養父初メジャーマウンドでイチローと対戦
1回を3安打2三振2四球に暴投2個で2失点。「きょうはフォークボールで空振りも取れたし、緊張はしなかった」とコメントしていますが、緊張しないでこの結果、、いいのか、これで。本人がいいならいいが、、暴投は止めて欲しい。。(オープン戦でケガしたくないし。)

イチロー選手は、今日はフル出場で(このST初かな?)、6打席5打数2安打(左中間適時二塁打、一塁内野安打)1死球(コントレラスのばかやろー!)3打点2得点1盗塁(私見ですが、この盗塁はアウトくさかったと思う)と大暴れでした。。(←昨日休みだったからねぇ(笑))3打席目に打った打球は、二塁の井口選手を強襲しエラーとなって出塁しています。(あれはヒットでもいいと思うんだが・・残念)守備でもいい守備を見せていたようです。1打席目の死球は、痛そうでしたが、その後盗塁しているし、記事にはそれに関しては何も書いてないので大丈夫とは思います。またこの前のときみたいに、翌日になってから腫れたりするかもしれないので、その辺は少し心配ですが。

今日の試合のヒットで、オープン戦の連続試合安打のチーム新記録(16試合連続)となったらしいですが、16なんぞとケチなことは言わず、オープン戦全試合安打を達成してもらいたいものです。
オープン戦はあと6試合。残り全試合は出場しないとしても、4~5試合で打てばいいので無理じゃないと思います(^-^)

ホワイトソックスの井口選手は、4打席3打数1安打1犠飛3打点1盗塁1失策となっています。
井口、イチローと初対戦!好結果残す

井口選手は、このSTここまで順調のようで先が楽しみですが、打順が2番てのはどうなんでしょうね。
私見ですが、1番を予定されているポセドニック選手は、足は速いが、打率も出塁率も良くない選手です。彼よりは、井口選手が1番を打った方が得点が増えるんじゃないかと思うんですけどね。


今日は、イチロー選手と井口選手のツーショットで締めたいと思います。





ホワイトソックス戦の1回、二盗に成功したマリナーズのイチロー(左)と話すホワイトソックスの井口=27日、ピオリア〔共同〕



シスラーからイチローへ 時空を超えた一通の手紙 (1)

2005年03月28日 03時44分58秒 | 戯言1(サブマリナーズ浮上せよ!)

<お断り>
これは、3月7日の月曜日の夜にTBSテレビのNews23(マンデープラスという特集コーナー)で放送された番組をテキストに書き起こしたものです。ブログでこういうことをやって著作権上問題ないのかどうか勉強不足で判りません。映像をテキストにするわけだし、営利目的でもないので見逃していただけることを図々しくも祈っております。(もし問題があるようでしたら、ご指摘頂けますとありがたいです。よろしくお願いします。)
もしこの放送の内容が、今後雑誌などに掲載された場合は(内容にもよりますが)この記事は削除しようと考えていますので、あらかじめその旨ご承知おき下さいますようお願い申し上げます。

放送からもう3週間近く過ぎてしまい、賞味期限切れのネタかもしれません。ですが、自分の頭の中をまとめるためと伝えられたことをどうにか消化するためにも、書き記してみようと思います。宜しければしばらくお付き合いください。

(注記)地の文はナレーション。地の文での括弧つきは場面の説明となっています。



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●『シスラーからイチローへ 時空を超えた一通の手紙』(1)



(場面は、2004年10月1日、シアトル。テキサス戦が行われているセーフコフィールド。バッターボックスに向かうイチロー選手。満員の観客はスタンディング・オベーション。)

あの日、イチローが超えたのは、ジョージ・シスラーの記録だった。84年前の記録と、風化しかけていたシスラーの名前が現代に甦る。スタンドに招かれていたシスラーの家族は、後にイチローに一通の手紙を託した。

(シスラーの手紙が映る。何枚かのタイプされた紙。それには、シスラーの家族からの手書きのイチローへのメッセージが添付されている)

それは、シスラーが彼の息子の為に書き残していたものだった。
そこには、シスラーのバッティングへの考えが詰め込まれていた。
今から90年前、アメリカ中西部の町セントルイスにやってきたジョージ・シスラー。ゴージャスと形容された守備、ヒットを量産したバッティング、次々と塁を陥れた足。ベーブ・ルースと同じ時代にありながら、当時完璧なプレーヤーと言われていたのがシスラーだった。
彼がセントルイスで生涯を閉じたのが1973年春。
奇しくも同じ年の秋、日本でイチローが誕生する。
二人を結ぶ運命の糸はこの時から絡み始めた。--

(場面が切り替わってどこかの室内。インタビューを受けるイチロー選手。)

イチロー選手 「急に距離が近くなったわけじゃないですか。生きてたらいくつになるんだろうね、、わかんないけど。1920年にプレーしたシスラーと僕との距離ってものすごく遠かったわけじゃないですか。それがあの数字に係わったことで、なんか家族みたいな感じになったわけですよね。」

(場面切り替え。インタビューされるフランシスさんが映る。)

フランシス・ドラックルマンさん(シスラー氏の長女) 「イチローが私のところにやって来て、『記録を破って申し訳ありません。でも、同時にとても嬉しいんです』(笑)と謙虚に言ったの。私の父も紳士的な人だったわ。だから、父も喜んでいるはずよ。」


(場面が変わる。2004年7月1日、シアトル。明るい初夏の日差しの下、セーフコで試合前のバッティング練習中のイチロー選手。)

去年の夏、不思議なことが起きた。
試合前の練習中、イチローがある試みを思い付いたのである。
それは一瞬のひらめきだった。
早速、試合で試してみた。
(テキサス戦の試合中、打席に立つイチローが映る)
ほんのわずか右足を引いてみる。イチローの体が以外な反応を示した。右足を引いて背筋を伸ばしたら、、自然にバットが寝た。すると、バットのヘッドが遅れて出てくるようになった。そうなればボールをひきつけることができ、ミスショットが劇的に減る。
これをイチローは、”バットを早く線に入れられるからだ”そう説明した。

(前述のインタビューされるイチロー選手の場面に変わる)

イチロー選手 「”線に入る”ってのは、この時点で(と、スイングを始めた構えをしてみせる)入っていくわけじゃないですか。もう、この時点で入っていく(とバットがまだ後ろにある状態の形をとってみせる)、後ろにある時点で入っていく。
だから、、ヒットを打つかどうかっていうことは、決してここで決まるわけじゃないんですよね。インパクトで決まるわけではない。もう、この時点で(とバットがまだ後ろにある状態の形を見せながら)決まっているんです。
無敵だと思いましたね(笑)」

驚くべきは、あのシスラーもバットを線に入れるバッティングをしていたという事だった。
7月以降、イチローは驚異的なペースでヒットを打ち続ける。257本という数字が徐々に現実味をおび始めた。
不思議だったのは、イチローがひらめいた日、彼がはじめてセントルイスを訪れたということだ。今もシスラーが眠る町、セントルイス。あれは、シスラーの声だったのかも知れない。。
(場面切り替わり、シスラーの手紙が映る)
シスラーの手紙には、こんな言葉が残されていた。

シスラーの手紙 『(バッティング)の本質は、タイミング、バランス、バット・コントロールです。パワーはホームランのためだけではなく、強いライナーを打つことにも活かせるはずです。』

(インタビューされるイチロー選手が映る)

イチロー選手 「発想がちょっと違ってきている悲しさが今あるんじゃないですかね。シスラーの手紙の中にもあったように、”バランス、バット・コントロール、タイミング”この三つが揃った時に、”パワーが生まれる”って彼は言いたかったんでしょう。」

(再び、フランシスさんが映る)

フランシスさん 「父がいたとしたら、きっと、”イチローは素晴らしい人物だ。記録を破ったのが彼で良かった”と言っているに違いないわ。だから、彼に手紙を託したのよ。」

(シスラーの写真が映る)

84年の時を超えてイチローに届いたシスラーの声。

(シスラーの手紙を読んでいるイチロー選手が映る)

イチローに262本のヒットをもたらしたあのひらめき、シスラーにはきっと、イチローに伝えてもらいたいことが有ったのだ。

(過ってのホームグランド神戸SSでバットを振るイチロー選手が映る。上衣はマリナーズのロゴ入りのハイネックのアンダーウェア。下はホームジャージの白のパンツ。)

タイミング、バランス、バット・コントロール。その三つが揃ってはじめてパワーが生まれる。
シスラーのバッティングを見ることはもう適わない。

インタビュアーの声 「シスラーのバッティングを見たことは?」

イチロー選手 「(手にシスラーのバットを持ちながら)う~ん、打ってるとこは、ないなあ、、、。このあたりかなぁ(と構えてみせる)。どんな感じだろうねぇ・・・。」

インタビュアーの声 「シスラーのお孫さん達がね、イチロー君のバッティング・フォームを見て、こう、手がすっと最後に離れる、”あぁ~、これは、あのおじいちゃんと一緒だ”って騒いでたらしいんだけど・・」

イチロー選手 「へぇ~、いや、それは聞いたことがないですけどねえ。あ、でも、面白いのは、ボディサイズもほとんど僕と同じらしいんですよねぇ。・・・な~んかねぇ、ゾクゾクしますね。」



 ********** < つづく > ******************