内田樹の本やブログはときどき読んでいて、
いやー面白いな、すごいな、と思っていたんだけど、
ひとつのテーマをまとまった形で論じたなものは読んでいなくて、
今回数冊まとめて買ってみた。
ユダヤ論、レヴィナス論はあとに回して、
フェミニズム論である「女は何を欲望するか」の文庫版をまず読んでみている。
とてもおもしろい。
フェミニズムの目指したもの、落ちてしまった穴を丁寧にたどり、
そこから何を承継すべきかを伝えようとしている。
こういう作業は今まであまりされていなかったんじゃないのかな。
まだ最後まで読んでいないのだけれど、
ボーボワールが、すでにフェミニズムの根本的な問題を意識して迷いを抱えていたということを初めて知った。フェミニズムは女性への社会的なリソースの公平な配分を求めるという形で展開する以上、リソースの配分をめぐる自由競争を前提としており、そうであれば、フェミニズムが進展すればするほど競争社会の激化を生む結果になる。長期的な戦略としては競争社会を変革するべきなのだけれど、その短期的戦略としてまずはフェミニズムを進めるしかない、というのが彼女の考え方だったらしい。でも、その戦略はうまくいかなかった。
また、中盤の表現論の部分を読むと、内田氏の言いたいことは、
「フェミニストが見出した「表現の主体と実態との乖離感覚」という問題は、実は女性だけの問題だけでなく男性も含めたすべての人間のかかえる問題なんですよ。
その問題を表出させてくれたこと自体はすばらしいことなのに、それは女性だけの問題だと言い張ることがまちがっていたんです。」という感じかな。
「女性だけの問題ではない」という男性側からの主張は従来からもあって、それはたとえば男性も含めてワーク・ライフ・バランスをというような流れになってきているかなとは思うけれども、そのような「女性の抱える問題の主流化」というようなことをもっといろんなレベルでやったほうがいいということなんだろうか。
近著の中で彼はこれからの日本の進むべき道は「フェミニンな共産主義」というようなことも言っている。
共産主義もフェミニズムも過去のものとなりつつある中で、そのエッセンスを再抽出して活かしてみましょうという提案をしているのですね。
これからもこの人の本は読んでいこうと思います。
いやー面白いな、すごいな、と思っていたんだけど、
ひとつのテーマをまとまった形で論じたなものは読んでいなくて、
今回数冊まとめて買ってみた。
ユダヤ論、レヴィナス論はあとに回して、
フェミニズム論である「女は何を欲望するか」の文庫版をまず読んでみている。
とてもおもしろい。
フェミニズムの目指したもの、落ちてしまった穴を丁寧にたどり、
そこから何を承継すべきかを伝えようとしている。
こういう作業は今まであまりされていなかったんじゃないのかな。
まだ最後まで読んでいないのだけれど、
ボーボワールが、すでにフェミニズムの根本的な問題を意識して迷いを抱えていたということを初めて知った。フェミニズムは女性への社会的なリソースの公平な配分を求めるという形で展開する以上、リソースの配分をめぐる自由競争を前提としており、そうであれば、フェミニズムが進展すればするほど競争社会の激化を生む結果になる。長期的な戦略としては競争社会を変革するべきなのだけれど、その短期的戦略としてまずはフェミニズムを進めるしかない、というのが彼女の考え方だったらしい。でも、その戦略はうまくいかなかった。
また、中盤の表現論の部分を読むと、内田氏の言いたいことは、
「フェミニストが見出した「表現の主体と実態との乖離感覚」という問題は、実は女性だけの問題だけでなく男性も含めたすべての人間のかかえる問題なんですよ。
その問題を表出させてくれたこと自体はすばらしいことなのに、それは女性だけの問題だと言い張ることがまちがっていたんです。」という感じかな。
「女性だけの問題ではない」という男性側からの主張は従来からもあって、それはたとえば男性も含めてワーク・ライフ・バランスをというような流れになってきているかなとは思うけれども、そのような「女性の抱える問題の主流化」というようなことをもっといろんなレベルでやったほうがいいということなんだろうか。
近著の中で彼はこれからの日本の進むべき道は「フェミニンな共産主義」というようなことも言っている。
共産主義もフェミニズムも過去のものとなりつつある中で、そのエッセンスを再抽出して活かしてみましょうという提案をしているのですね。
これからもこの人の本は読んでいこうと思います。