歪 （お題：歪 X 小ネタ）

ずっと気になっていた開かずの間に押さえきれない好奇心と供に入り込んだのが、そもそもの始まりだった。

厳重に保管されていた箱を開けると、自身の名を記した調査文書が入っていた。
開いたそれに記された内容は、XANXUSに恐るべき真実を突きつけた。

＜XANXUS様の調査結果＞
DNA検査の結果、XANXUSは９代目との血縁関係を証明することが出来ませんでした。
確率99%で他人であると断定します。

＜結論＞
VONGOLAの血族である可能性も極めて低く、正統後継者と成り得る事は出来ないと判断されます。

幼い頃より信じてきた絆は全てまやかしだったのだと、突きつけられた真実が物語っていた。

秘められていた文書を持つ手が震える。

「じゃあ、俺は何だ？あんなカスどもより劣るってのか？」

巨大組織ボンゴレを統べるべく生まれてきたのではなかったのか？
母の言葉も、父の言葉も総てはまやかしだったと言うのか？

「クソジジイがっ！俺を謀りやがったのかっ！！」

では、何のために自分はここにいるのか？
幼き頃より唯一つ欲してきたその座をこんな文書一枚で諦めろというのか？
内包する怒りが身の内を焼き尽くす程に膨れ上がる。
両手の内にあった紙切れは、瞬時に灰と化し、その灰すらも風化するように消えていった。

「許さねぇ。俺を謀った奴ら全員ぶっ殺してやる。」

怒りを湛えた深紅の瞳が、ギラリと光を放った。

「血族しか継げないだと、そんな掟など、この俺が破り捨ててやる。」

裏切りは許さない。
高きプライドが、それを受け入れることはないのだ。

「そうだ、あのジジイを引き摺り下ろして、直接手に入れてやる。
　ぷはっ！ははははははっ！！
　実子かどうかなんて関係ねぇ！
　ボンゴレに相応しいのは、この俺XANXUS様だけだっ！！」

高笑いしながら、歪んだ決意表明を高らかに叫び、XANXUSはその部屋を後にした。