ぶるぐ協会ブログ

~ブルグミュラー研究のための~

嗚呼!永井さん!

2006年06月07日 | 日本ブルグ受容
画像小さくて恐縮ですが、これ、レコードです。永井進さんの。明治44年生まれ、東京音楽学校卒。演奏、解説、ともに恐ろしく素晴らしい。演奏は押しつけがましくなくおシャレ、解説は思いやりに溢れた優しい言葉で満ちています。復刻版のCDもありますが、レコードを発見でき、うれしい次第。状態も良好。LPの世界にひきこんでくれたPTNA・J氏、こころから、ありがとう。いつかLPネタで連載作りたいと思います。

この日は永井さんの「ソナチネ・アルバム 下」のLPも入手。あまり状態は良くなかったですが、解説の「ソナチネと私」は涙ものの名文。音楽の道を志すも、幼い頃自分の耳のよさを友人たちに自慢していた父からの反対をうける。ようやく家族の協力があって認められ、ピアノが運ばれたその日、永井氏はすでに15歳・・・。そのスタートの遅さが信じられないほどに、氏の後年のすごさに言葉を失ってしまう。。。こういう人の音は本当に優しい。

ソナチネ録音の解説はこう結ばれている。この言葉はまさに、われわれ「ぶるぐ協会」の提唱する「ブルグ愛」そのものじゃあなかろうか?!どうにもこの永井さんの感情と、私が元「昭和ピアノ少年少女」の感動として捉えているものとが近しいように感じてならない。あつかましいことながら・・・。

「ソナチネ集と聞けば手ほどきの教材かと思うのは実際だし一般だが、今改めていわゆるおとなの目からこれらの作品を見ると、作曲者たちの顔ぶれをみただけでも当然のことながらなかなか立派で美しい音楽である。私は無論こんな気持ちで楽しくこれらをひいてみた。遠い少年の頃のなつかしみも感じながら・・・。しかしながら今さらのようにその真価の高さに驚かされ、新たなものを数多く学ぶことができた。旧友は私を見捨てなかったようである。」

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