一陽来復~近藤聡彦のファゴットブログ~

ニューヨーク帰りのファゴット奏者が綴る下関音楽日記

何分浸ける?

2016年11月17日 | リード
最近何人かから「吹く時にリードをどれくらい水に浸けますか?」と聞かれました。
ファゴット&オーボエのダブルリードは、楽器を吹く前に、リードを水に浸けます。
リードのケーンは、水を含ませると少し柔らかくなり、
乾燥時に比べると張力も下がって、振動し易く、吹き易くなります。
だからどこへ行くにも、ダブルリード奏者は「水入れ」必携です。

でもリードは、あまり長く水に浸けると、繊維が膨れて反応が鈍くなり、口の開きも大きくなって、
ベストな状態から大きく変化してしまい、とても吹きづらくなってしまいます。
レッスンに来たある人が、学校の先輩から、
「新品は吹く前に、毎回5分は水に浸けてから吹くように」と言われたそうですが、
新品リードは水もどんどん染み込むので、5分も浸けたら浸みこみ過ぎて鳴りづらいです。
古くなると浸み込む早さは遅くなりますが、それでも5分はちょっと長過ぎだなあ

漫画「のだめカンタービレ」で、オーボエの黒木君がコンクールの時に、
リードを水に長く浸け過ぎて、ピンチになる話がありましたよね。
あれなんか当時読みながら「よくリサーチしてあるなあ」と感心したもんです。

で、よくよく聞くと「全然水に浸けない」という人や、
「ブレード部分(口にくわえる部分)だけ浸ける」って人もいるんですよね。
これって「水に浸けずに舐めるだけ」のクラリネットや、
「リード部分は浸けるけど、コルクと金属で出来たチューブは浸ける必要が無い」オーボエの話から、
転じてきているんじゃないのかなあ?と思います
全然水に浸けなくとも、口内の水分も、そしてブレードだけに浸けた水も、
毛細管現象によって、いずれはチューブ部分まで水が浸みていきますが、
リードがベストな振動になるまでには、結構な時間がかかります。

オーボエと違って、ケーン自体を丸めてチューブを作るファゴットのリードは、
ブレードとチューブ全体で1つのケーンなので、どちらにも水が浸みる事で、
はじめて全体が一体となって均一に響き、振動もボーカルにきちんと伝わってるように思います。
上はファゴットのリード。下はオーボエのリード。

更にアメリカに居た時は「常に水に浸けっぱなし」な人にも出会いましたが、
これはリードがなかなか安定しないようでした。

というわけで、僕はコップの水にリードを丸ごとボチャンと入れるけど、30秒も浸けない位かなあ?
僕の恩師、元ニューヨーク・フィルのレナード・ヒンデル先生も、
「歌を歌う前には、少し水を飲んで喉を湿らせるだろう?
でもバケツでガブガブ飲む必要はないよね?」と言っていました。
例えが上手いよなあ



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