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熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

よさこい鳴子踊り in 高知

2002-08-12 | Miscellaneous(オペラ等)
久し振りに鳴子の乾いた音と踊り子隊の熱気に包まれて、8月9日からの4日間、「よさこい祭り」を満喫した。少年時代に慣れ親しんでいたヨサコイは、女性は編み笠・けだしを覗かせた着物に下駄履き、男性は尻っぱしょりの浴衣という、日本の伝統的な祭りファッションで、音楽も正調「よさこい節」に合わせた画一的な振付であった。来年で50周年を迎える(1954年スタート)この祭りも年とともに変化し、進化して、今年は157チーム(内、県外から22チーム)、約1万7千人の踊り子が参加している。北海道の「よさこいソーラン」はじめ、各地に伝播しているのも、なるほどと肯ける理由がある。そのワケは、他の祭りと違いその≪自由≫さにある。決まり事と言えば、

① 両手に鳴子を持って踊ること

② 音楽の1節に「よさこい」のフレーズ♪♪土佐の~ヨイヤサノサノサノ~高知の~はりまや橋で~坊さん~かんざし~買うを見た~よさこい~よさこい~ヨッチョレヨ、ヨッチョレヨ、高知の城下へ来てみいや~ジンマもバンバもよう踊る~鳴子両手に、よう踊る~よう踊る~土佐の~♪♪が一部でも入っていること

③ 踊りながら前へ進むこと

以上の三つだけで、それ以外は全く自由である。この自由さが若者達の支持を受け、自己表現の絶好の場として人気を博している所以であろう。各チームが独自のオリジナリティを競い合うのは、

① ユニークな衣装

全体的に、和風ないし、オリエンタル・テイストの無国籍風が主流。今回、私の眼を惹いた一押しは、「スターウオーズ」ジェダイの騎士風コスチューム。鳴子もビーム・ガンを模していた。

② 伴奏音楽。地方車(じかたしゃ)と呼ばれる囃子方(アンプや演奏者)を載せた装飾トラックが大音量で音楽を流し、踊り子隊を先導して行く。音楽はまさしくノン・ジャンル。ヒップホップ風あり、奄美の島歌風、アフリカン・ビート風、フュージョン、エアロビクス風、クラブ系、etc.要するにリズムもメロディも「なんでもあり」で、乗りのいいオリジナルのダンス音楽をどのチームも自由に作曲している。

③ ショーアップされた振付

踊りながら前進しなければならない、正にShow must go onだが、音楽同様に振付も各チームのオリジナリティをアピールする魅せる振りが主流となっている。私の個人的な見解としては、余りにショーダンス的な傾向の強い振付になっていくと、ストリートを前へ進み続ける本来の主旨から遠のき、ステージ・ショーの如きものとなる危惧がある。それは、本来在るべき大衆の祭りの姿から外れてゆくことでもある。現に、高知市内数か所にある、競演場、演舞場の内、唯一ステージである本部会場での踊りを見ても少しも迫力がなく、つまらなく感じた。大衆のエネルギーの発露としての「祭り」。過度のショーアップは宝塚やジャニーズ事務所のステージ・ショーに任せておいて、♪♪ジンマもバンバも(おジイちゃんもおバアちゃんも)よう踊る♪♪、、、こんな昔ながらの「よさこい鳴子踊り」も残しておいて欲しい。
(2002-8-12 butler)


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