先日、以前ご紹介した「小さな顎」の友人と九州湯布院への旅を楽しみました。2晩蒲団を並べて寝たのですが、図らずもそこで舌根沈下に関する興味深い状況を観察する機会に遭遇したのです。
最初の夜は美味い料理に芋焼酎がすすみ、さすがに酒の強い彼もかなり酔っ払った状態で10時過ぎに先に床に就きました。もちろん365日イムニタス・マスクを欠かしたことのない彼がいつも通り少し強めの調整で装着したことは言うまでもありません。
間もなく、まだ居間でテレビを観ていた私の耳に隣の寝室から激しいいびきが聞こえ始めました。「激しいいびきにはイムニタス・マスクではやはり無理か?」とやや不安を覚えたものです。
11時を過ぎて私も床に就いたのですが驚いたことに1.5m離れて仰向きで寝ている彼の状況は単なる激しいいびきではなくまさに無呼吸症状態だったのです。10秒程の無呼吸の状態から息を吹き返す際の苦しげな様子が何度も繰り返されるのを見て大いに心配させられたものでした。
そんな訳でなかなか寝付けなかったのですが、いつの間にか眠りにつき気がついたら2時過ぎになっていました。その時隣の彼はいびきを全くかいておらず、気持ちよさそうな寝息をたてていました。ただし横向き寝の状態です。朝6時に目覚めたときも同じ状態でしたので、酒が醒めた後は問題なかったのだと感じました。
朝食をとりながら事の顛末を話すと以前から思い当る節があるようでした。
そこで2日目の夜は酒を控えめにし、床に就く頃にはすっかり素面(しらふ)の状態でした。横向き寝でスタートしたのですが、途中仰向け状態になっていた時を含め少なくとも何度か目覚めて観察した限りでは朝まで全く問題がありませんでした。
ただ今後のこともあるので早急に睡眠外来で相談することに。
これらの結果から、素面の状態の時にはイムニタス・マスクの装着によって何とか舌を上顎内側の正常な位置に来させることができても、多量の酒を飲んで舌自体が麻痺した状態になってしまうとたとえ歯茎に口唇圧がかかっても舌の筋肉がそれに対応できなくなると理解せざるを得ません。これまで飲酒によって口輪筋が弛緩するだろうことは容易に推察されましたが、舌の筋肉までがこれほど影響を受けるとは予想外でした。
そしてお酒を飲まなくても舌の筋力が弱ってくる高齢者の方の場合も、口呼吸やいびき対策を考える上で今回の観察例がご参考になれば幸甚です。あらためて舌の体操やうつ伏せ寝等もご検討されてみてはいかがでしょうか。