口呼吸研究所 E&E

    口呼吸/口唇圧/いびきのメカニズム探究

口呼吸と免疫力

2008-03-28 12:21:21 | 健康・病気

 臼田先生の「ぬれマスク先生の免疫革命」を読ませていただき、風邪に対する免疫力の理解においてとても参考になりました。

 風邪を惹き起こすウイルスとそれを防御する免疫システムとのせめぎ合いにおいて、免疫組織を内部から脅かす要因と外部から攻勢をかける要因に分けて考えることでかなりスッキリ理解できることが分かりました。

 内部から免疫力を低下させる要因としてはストレス、疲労や栄養面での問題、あるいは体温低下や冷たい飲食物による腸機能の低下や加齢などが挙げられています。

 他方、外部からの要因の最たるものは何と言っても睡眠時の口呼吸と嚥下の問題(睡眠中は嚥下をしないという不利)でしょう。これらは鼻呼吸の場合と比べると喉の扁桃リンパ組織(免疫組織)に対して圧倒的多数のウイルスに攻撃をかけさせ、また扁桃リンパ組織を乾燥させることによってウイルスの増殖を促しますので、チョットでもこの免疫組織が弱みを見せると一気に前線を突破されてしまいます。

 生まれつきこの扁桃リンパ組織の弱い人や加齢によって弱くなってきている人はその影響を顕著に受け易くなります。

 もちろん鼻呼吸の場合でも睡眠時の吸入空気が著しく冷たくて乾燥していると、鼻通過時の加湿・加熱処理能力が追いつかず、扁桃リンパ組織の状態によってはウイルスとの戦いに敗れることも充分あり得るわけです。

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 しかし納得しかねるところもありました。

 睡眠時に副交感神経が優位になるとリンパ球の活性が増し却って風邪が進行しやすいという部分と、口唇圧を付与することのできない濡れマスクが口呼吸を抑制してラクな鼻呼吸へ誘導してくれたり15g程度の保水量で口呼吸に対しても充分な水分補給が可能という点です。

 


濡れマスク

2008-03-20 12:32:48 | 健康・病気

 この冬は喉の乾燥対策や風邪の予防に濡れマスクタイプのマスクが良く売れたそうです。

 前にも申しましたように鼻呼吸の人にとっては冬の冷たくて乾燥した空気に対する鼻の加湿・加熱能力を補完するという意味で濡れマスクはとても効果的だと思います。

           

 しかし濡れマスクが口呼吸も抑制してくれるというのは疑問です。鼻の部分を開放して口だけを覆えば口で息をしにくいので自然と鼻呼吸になるという説明ですが、そもそも口呼吸の人は睡眠中口が開いて唇が歯茎から離れ歯茎に対する口唇圧がかかっていませんので弛緩した舌や口蓋垂が重力の影響で気道を狭くしています。したがって鼻呼吸をしようにもラクにできにくいわけです。その上水で湿らせたマスクで口まで塞がれるとかなり息苦しい状態になってしまうと思われます。

         

 さらに、濡れマスクの15-20g程度の保水容量では、口呼吸の人が湿度100%の空気を肺に送るため(7時間の睡眠で)必要とする約100gの水分量には程遠くあまり意味をなさないと考えます。

 口呼吸を惹き起こすメカニズムの本質が口が開くかどうかではなく歯茎に対して口唇圧がかかるかどうかであるということの理解なしには、口呼吸に関わる種々の問題の根本的解決は難しいのではないでしょうか。


口呼吸といびき-その共通点と相違点

2008-03-01 18:59:27 | 健康・病気

 ネットで調べてみると昨年秋NHKの「解体新ショー」という ”解っているようで意外と知られていない身体の仕組み” を紹介する番組でもいびきが取り上げられていました。そこではいびきの主原因は口呼吸と結論付けています。このように口呼吸もいびきもそのメカニズムについての掘り下げた考察や分析の議論がなされないまま単に現象論的そして一面的な観察だけで処理されてしまうことが少なくありません。この結果、誤った対処に繋がらないかと懸念いたしております。

       

 いびきが発生する主な原因は 1)口が開くことによって舌や口蓋垂の筋肉が弛緩して吸気の通る気道が狭くなり空気の流速が速くなること 2)空気の通り道近くにある口蓋垂や舌根が弛緩して振動し易い状態にあることです。

しかしながら口が開いていなくても、睡眠中は起きているときより口唇圧が小さくなって口腔筋(舌や口蓋垂等)が緩み気味なので、枕が高すぎるために気道が折れ曲がって狭くなる等他の原因で吸入空気の流速が速くなることによるいびきの発生も多くの人に見受けられます。したがって開口が必ずしもいびきの必要条件とは限らないのです。

            

 これに対して口呼吸になる原因は 1)何らかの疾患によって鼻が詰まってしまう。この場合は専門医に相談されることをお奨めいたします 2)口が開くことにより歯茎に対する口唇圧がかからなくなって舌と軟口蓋が弛緩しこれらの間隙が開いてしまうことが原因となります。したがって横向き寝やうつぶせ寝は舌根や口蓋垂(ノドチンコ)が弛緩しても気道の閉塞は回避できるのでいびきはかきにくくなりますが舌と軟口蓋の隙間は開いたままで口呼吸を防止することはできません。

           

 以上のように口を閉じていてもいびきをかくことがあるし、口が開いても歯茎に口唇圧さえかかれば口呼吸にならないことも起こり得ます。口呼吸といびきの共通点と相違点の受け止めにはまだまだ誤解や混同が多く、このため間違った対処法が採用されている場合が少なくないように思われます。