NOBUの独り言

暇にまかせて、つまらないことを呟いています。

雪の思い出

2023-01-03 14:20:06 | 日記

今冬の日本は雪が多い。北海道や日本海側では記録的な大雪で、死者まで出ている。そうした地域の人々にとっては雪は厄介なものであろう。

一方、私の住んでいる地域では、昔に比べ雪の量は少なくなってきているようだ。私の子供のころは、20~30センチ積もることも珍しくなかったが、最近は積もったとしても10数センチといったところだ。

 

私が小学校低学年のある朝、起きるとかなりの雪が積もっていた。私はひとりで小学校に向かった。通学路は歩くには問題なかったが、周りの田んぼは一面の雪の原になっていた。私は通学路を外れ、雪の積もった田んぼを横切ることにした。誰の足跡もない田んぼの雪は私の膝くらいまで積もっていた。歩きにくかったが、真っ白な雪の中を進んでいく喜びのほうが強かった。途中段差があり、危うく転びそうになりながら、なんとか数10メートルを渡りきった。再び通学路に出て振り返ると、田んぼの雪原は私の足跡を残したまま光輝いていた。

 

もう一つ、雪にからんで心に残っていることがある。何年か前のNHKの番組で70歳を過ぎた女性が車一つで各地に出かけ、軒先や空き地で「茶事懐石」を催し、近所の人にふるまうのを見た。四季折々、地元の食材を使った料理とお茶、それこそ一期一会の茶事懐石は、多くの人に茶事懐石を知ってほしいということのようだが、体の不調も顧みず各地を回る姿は修行僧のようでもあった。ある時は雪の野原に席を設け、客を待つ。来たのは女子高生だったと思う。主の女性はきちんと和服を着て、初めて茶事懐石を味わう姿をやさしく見つめる。その姿は凛として美しく、今も心に残っている。あの女性は今どうしているのであろうか。

 

坂本好一の銅版画です



コメントを投稿