偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏832伊豆・益山(静岡)唯念名号塔、百番観音

2019年01月18日 | 登山

伊豆・益山(ましやま) 唯念名号塔(ゆいねんみょうごうとう)、百番観音(ひゃくばんかんのん)


【データ】 伊豆・益山 390メートル(国土地理院の地図に山名なし。益山寺の北東のピークを益山とした)▼最寄駅 伊豆箱根鉄道駿豆線・大仁駅▼登山口 静岡県伊豆の国市の大仁駅▼石仏 益山寺の参道と境内。地図の赤丸印は唯念塔、青丸は伊豆型道祖神▼地図は国土地理院ホームページより

【案内】 益山の中腹にある益山寺へは、西国三十三所観音の石仏が道標がわりに置かれている小山田川沿いの道が参道。いよいよ境内に続く登りが始まるところに「延喜式内伊加麻志神社 明治三十八年」の石柱が立つ。脇の道標には「右式内伊加麻志神社 千手観世音空海作ニ至る是与里八丁」とある。益山寺は真言宗の寺、境内の奥に建つ三島神社の別当だった。その神社が延喜式内社・伊加麻神社と名を変えたのは明治になってからだという。それを大々的に表明したのが石柱と道標であった。

 益山寺は石造物の寺でもある。そのなかから唯念名号塔を案内する。本堂入口の石段左に立つ約2メートルの「南無阿弥陀仏」と、独得の書体で彫られた石塔が唯念名号塔。供養塔左下にある唯念(1791~1880)の花押=上写真=がある。側面に「文久二壬戌(1862)」銘。唯念が念仏布教をしたのは富士と箱根の山麓。拠点としたのは丹沢山麓の西にある明神峠の山中の奧の沢開山堂。その様子はこのブログの明神峠(静岡)で案内、また唯念については足柄峠(静岡)、鷲頭山(静岡)で案内した。

 他にも境内には読誦塔、種子塔ほか石造物が多い。読誦塔は読経した経典とその回数などを記した石塔。普門品は法華経第25品の観世音菩薩普門品を指す。これを3万3千回の読誦を成しとげた記念の石塔である。高さ190センチ、「寛保元年辛酉(1741)」の造立。種子塔は仏教でいう発心・修行・菩提・涅槃の各門にうちの発心門の「キャ カ ラ バ ア」を刻んだもの。


【独り言】益山寺は百観音の寺でもあります。その一つは参道に立つ西国三十三所観音で、船形光背の観音が境内まで導いてくれます。本堂の左に並ぶのが坂東三十三所観音、右に並ぶのが秩父三十四所観音、合わせて百観音です。ただ、参道に立つ西国の石仏は素朴なうえ、本寺の観音と合わない像容もあり、なかには「横道」(伊豆横道三十三所観音か)銘もあったりします。これに比べ、坂東・秩父西国は細部まで彫られた観音です。西国の一つに「弘化四年(1847)銘がありま、坂東の一つに「文久二年(1861)」銘がありました。
 次ぎの写真は、百観音のなかから西国十一番とその脇にある、笏を持つ伊豆型道祖神です。


 そして、坂東24番楽法寺(雨引観音)の延命観音、秩父5番長楽寺の准胝観音、秩父28番松尾寺の馬頭観音です。



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