偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏1003榛名・天狗岳(群馬)歳徳神

2022年10月22日 | 登山

榛名・天狗岳(てんぐだけ) 歳徳神(としとくじん)

【データ】榛名・天狗岳1179メートル▼最寄駅 JR高崎線・高崎駅▼登山口 群馬県高崎市榛名山町の榛名神社▼石仏 天狗岳の東ピーク。地図の赤丸印▼地図は国土地理院のホームページより


【案内】山頂に石造天狗を祀る天狗山へは榛名神社の山門脇の林道から登り、地蔵峠からの尾根道と、鏡台山の肩から直接天狗岳へ出るコースがある。これとは別に南山麓の下室田町大日影からの道もあり、こちらが天狗岳信仰の表参道になる。表参道からの道筋はじめ山頂一帯には神仏名の文字塔が多数造立されている。そのなかから山頂に立つ歳徳神を案内する。


 天狗岳は双耳峰で東の山頂に天狗をはじめとした石造物が立つ。その一つが「歳徳神/素戔嗚命/稲田姫命」銘の石塔。歳徳神は陰陽道でその年の福徳を司る神、正月さまともいわれている女神。また歳徳神は牛頭天王の妻頗梨采女(はりさいにょ)ともされている。素戔嗚尊と稲田姫命は日本神話に登場する夫婦神。どうして歳徳・素戔嗚・稲田姫が一つの石塔に並んでいるのか。
 考えられるのは、仏教(牛頭)・道教(歳徳)・神道(素戔嗚)の夫婦神が習合したものということ。それを説明するのは簡単ではないので省略するが、神道では牛頭天王を素戔嗚尊としている。最近では歳徳神がいる方位を恵方とし、恵方巻の行事が定着してきた。

 歳徳・素戔嗚・稲田には8の数の共通点がある。稲田姫は8人兄弟、頗梨采女は牛頭天王との間には子供が8人(八王子)、歳徳神にも子供が8人(八将神)いる。天狗山には八将神の石塔もある。

 天狗山の石造物は地蔵峠から天狗山への尾根にも神名が入った石塔がいくつも立っている。そのほとんどが昭和の初めの造立であり、こういう状況から天狗山の信仰を考えると、近世から盛んになった富士山や木曽御嶽に見られる山岳信仰のエネルギーに通じるものがある。それは強力な指導者を中心にした熱狂的な信仰組織の石塔造立の最後のエネルギーである。


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