偏平足

里山の石神・石仏探訪

里山の石神端書122 磨崖不動明王(茨城県つくば市小田)

2022年09月30日 | 里山石神端書

つくば市小田・不動尊の磨崖不動明王

 登山道が整備されている宝篋山、その一つ小田城コースの入口に小田不動尊、八幡宮、愛宕神社があります。いずれも山を背にした寺社で、ここでは愛宕神社の磨崖不動明王を案内します。


 八幡宮手前に案内があり、右手の露地を進むと不動尊の入り口に出ます。

 石段脇の石仏、石段途中の不動石仏を見ながら登ると不動堂。境内につくば市教育委員会の磨崖仏案内があるので引用します。
「本像はほぼ等身大で、上体をやや左に傾けて、崖面に露出した花崗岩に彫り込まれている。県内の磨崖仏は線刻的な薄肉彫が多く、本像のような本格的な高浮彫は珍しい。全体的に風化、剥落が激しく、顔貌、体躯、あるいは右手の剣、左手の検索等はほとんど原型をとどめていない。しかしながら、像の奥行が8~16センチあるため、不動明王の憤怒と力強さと古様の風格を今に歴然と伝えている。(略)造立時期は十二世紀前半と考えられている」
 宝篋山と山麓の小田は、鎌倉時代に大和西大寺の忍性(1217~1303)が留まって律宗の布教拠点としたところですが、この磨崖不動明王はそれ以前にも仏教文化が栄えていたことの証といえるものです。


 ところでこの不動、不動堂裏の岸壁の中程に彫られた龕の中に彫られてあり、見るには上から吊るされた一本の鎖をたよりに登るしか方法がありません。なんとか登っても龕には竹すだれがあって、これを持ち上げてやっと磨崖不動明王とご対面となります。しかし足元が悪い岩場の途中で、左手で竹すだれを持ち上げ右手でカメラのシャッターを押すのは大変な作業です。それに案内にもあるとおり風化剥落が激しいため、対面した感激はゼロ。〝骨折り損のくたびれ儲け〟という感じでした。
(地図は国土地理院ホームページより)


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