goo blog サービス終了のお知らせ 

偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏866赤岩(埼玉)金剛界・大日如来

2019年08月09日 | 登山

赤岩(あかいわ) 金剛界・大日如来(こんごうかい・だいにちにょらい)

【データ】 赤岩 500メートル▼最寄駅 秩父鉄道・皆野駅▼登山口 埼玉県秩父市(𠮷田町)下𠮷田女部田▼石仏 観音堂の上の赤岩、地図の赤丸印▼地図は国土地理院ホームページより▼この案内は拙著『里山の石仏巡礼』(平成18年、山と渓谷社)から転載したものです

【里山石仏巡礼59】 秩父の山にある石仏を探し歩いているとき、赤岩の観音堂を知った。道を教えてくれた人は「何がでるかわからないから持って行け」と鎌を貸してくれた。沢沿いの道には石仏が三か所ほどあって昔の繁栄が偲ばれた。しかし沢から離れると踏み跡は怪しくなり、陽もささない薄暗い斜面が立ちふさがった。これをがむしゃらに登ると屋根と柱だけが残る家が現れた。大岩にもたれるように建つ廃屋、これが観音堂で大岩が赤岩だった。
 秩父札所三十四か寺で三十番から三十四番までは秩父盆地を離れた山の中の寺、寺と寺の距離もあり、歩き巡礼では体力がいるところ。このなかの三十一番・観音院から三十二番・法性寺へ廻る途中に、番外寺として赤岩の観音堂があったという。三峰神社の隠居寺だったともいわれるこの観音堂が、いつのころまで繁盛したかは分からないが、壊れ方からして雨露をしのげたのは昭和の初期までだったように見える。本尊があったらしい岩屋には赤錆びた観音菩薩が祀られていた。これは鎌を貸してくれた人が置いたもので、それもだいぶ昔のことだという。
 物音がしたので振り返ると狸の親子が出て来てドンドン近づいてきた。肝心の鎌は手元にない。手にしていたビデオのスイッチを入れると親狸が気付いてサッと姿を消した。残された子狸はこの異常事態を知ってか知らずか、ゆっくり戻って行った。
 気を取り直して赤岩に登ると、大日如来が祀られていた。智拳印(ちけんいん)を結ぶ金剛界の大日如来で、像容もさることながら、分厚い蓮華の台座と礎石が見事だった。大日如来は仏の中の仏で、如来のなかで唯一宝冠を戴いている。密教の中心にいる大日如来は修験者が信仰の基本に位置づけた仏でもあり、修行地とした山に祀られた。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 石仏865羅漢山(埼玉県)釈迦... | トップ | 石仏番外 塔ノ岳(神奈川)... »

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。