テニスと読書とデッサンと!

永遠。




「ねぇジュリア、一緒に水平線の

向こうまで永遠を探しに行かない?」

「キャー!なんてステキな提案なの、ロバート。

あなたと一緒だったら

いつだってどこまでだって行きたいわ」

「あっ、ちょっと待って。

ぼく、泳げないんだった。

やっぱ地平線の向こうにしとこ。いい?」

「べつにいいけど、永遠って

どっちにしてもすごく遠いところにあるのね」

「そうとも限らないよ。

ぼくのおじいちゃんは買った盆栽の

鉢の上で見つけたらしいんだ」

「えー?そんな身近なところで?

ロバートのおじいさまは運がいいわ」

「遠出はよして盆栽、買ってみる?」

「あたしはぜったい遠出!

地平線の向こうまであなたと、よ」

「そう言ってくれてとっても

うれしいよジュリア。じゃあ出発だね」

「待って。長旅でしょ?途中でお腹空かない?

喉だって渇くかも知れないわ。

30分だけ時間をちょうだい。すぐに用意するから」

「ああ、いいとも。

じゃあぼくは懐中電灯の電池を入れ替えたり、

虫除けスプレーを買ったりしておくよ」


「ロバート、もうずいぶん歩いたけれど

なかなか出会えないわね。

やっぱり盆栽を買いに行った方が

よかったと思ってない?」

「そんなことはないよ。

ぼくはジュリアと一緒ですっごく楽しいよ。

どお?少し疲れたんじゃない?」

「あっ、そうだ!あの大きな樹の下で

ランチしましょうよ。

時間がなかったから余ってるものだけで

サンドしたからロバートの口に合うかどうか

わかりませんけど」

「大丈夫だよ。ぼく、好き嫌いないし

ジュリアが作ってくれたものなら

なんだって美味しく食べられると思うよ」

「まぁ、なんてうれしいこと言ってくれるの。

はいどうぞー」

「ありがとう!モグモグモグ・・・ん?

かなり瑞々しいけど、これ、中身なに?」

「あーっ、それアタリ!スイカよ、三浦の。

ロバートの運がいいのはおじいさま譲りね、きっと」

「えーっ、スイカ・・・なんか種がアクセントになって

インパクトがある味わいだね」

「美味しい?」

「うん、とっても。おかわりはある?」

「ザーンネン、スイカのはひとつしかないの」

「ふーっ!」

「なによ、そのふーっていうのは」

「いや、ジュリアの方はなにをサンドしてあるの?」

「コンビーフとレタスよ。あたしの方はハズレね。

だってフツーなんですもの」

「ぼく、フツーも好きだよ。それ、まだある?」

「あるわ!でもコンビーフとレタスじゃなく

・・・はーい、特製オージービーフカツサンド!」

「なんだい、さてはこれを美味しく食べさせようと

仕組んだイタズラだったのかい?」

「へへーっ。バレちゃったわね。

・・・ロバート、傷ついちゃった?」

「ぜーんぜん!だって言っただろ?

ジュリアの作ったっものなら

なんだって美味しく食べられるって。

・・・どうしたんだい急に泣き出しちゃって」

「ごめんなさい。ひどいイタズラしちゃって」

「・・・ジュリア・・・」

チュッ!

・・・・・・・・・・

「ロバート、あたし、たったいま

永遠を見つけられた気がするの」

「・・・ぼくもだよ」

「永遠って少しだけスイカの匂いがしたわ」

「あーよかった、ついに見つけたんだね、ぼくたち。

じゃあカツサンドをふたりで分け合って食べたら

戻って映画でも観に行こうよ」

「まぁ!またまたステキな提案。

映画館でも永遠、見つかるかしら?」

「映画館は人の目があるから

そっと目立たないように見つけようね」



ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメントを投稿するにはgooブログのログインが必要です。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「diary」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事