何日か前の読売新聞に
絵本に親しむシニアが増えているという
記事が掲載されていました。
同世代で読み聞かせの会を催したりして
絵本を通して交流を深めるのだそうですが
とてもいい試みだと思います。
ここのところコロナ禍で
なかなか人の集まるところに
行く機会が得られないのが実情ですが、
絵本はひとりで家にいても
気軽に手に取って読んで楽しめますし、
高齢の方に読み聞かせをしてあげても
喜ばれるかも知れません。
その記事の中でノートルダム清心女子大の
村中李衣教授がこう述べています。
”子どもは物語から未来を想像するが、
高齢者は人生を振り返り、
経験を絵本の中に置いていくような
味わい方をしているようだ”と。
”魔女と森の友だち”
(文/湯本香樹実 絵/ささめやゆき)は
子どもから高齢者まで幅広い世代が
楽しめる味わい深い絵本だと思います。
あらすじを書いてしまうと
興味が薄まってしまいそうなので
ここでは割愛させていただきますが
以下は私が読んで感じたことです。
たった一冊の薄い絵本の中に
ずいぶん大切なことが書かれている。
数えてみたらたった30ページ。
奢り、不満、失敗、後悔、
壊れたものはもう戻らないこと、
幻覚、孤独、慈しみ、願い、寛容、
あきらめない気持ちの強さ、献身、達成感、
自分の笑顔が誰かを明るくすること、
労わり、そして友情・・・
これらの要素が物語の中に織り込まれ、
小学生にもわかる平明な言葉で紡がれていく。
いままで出会った絵本の中で
確実にベスト10に入る秀作。
有名な絵本ですがなにしろ初版が15年も前なので、
図書館で探せばおそらく見つけられるかと。
※本にしても音楽や映画にしても、
人の好みや感じ方はさまざまなので、
本当はこれがオススメですなんて
声高に言えないんですけどね。