エンジョイクラス

サッカーのことを中心に、基本的になんでもあり。

ロビーニョ

2006-02-08 21:02:49 | Weblog
 風邪をこじらせて、ブログの活動が止まっていたが、復活!

足を引きずるようにボールを触る。普通、ボールを蹴りだしてから体も移動する。ロビーニョの場合、体を先に移動して残った後ろ足でボールを引きずるように自分の足元に運んでくる。

 レアルでは、左サイドにポジションを取ることが多い。中央でポストに入り、タメを作るのではなく、サイドに開いてボールを受け、そこでボールキープしながらタメを作る。FWがタメを作るプレーとして変わりはないのだが、その後の展開に大きな違いがある。中央でのポストの場合、ディフェンスにはいるのはボランチが多い。敵は四方に満遍ないポジションを取っている。ボランチの後ろにDFが3人程度いる状況で、ポストプレーヤー自体が1人でゴールを脅かすのは、とても難しい。
 サイドでポストの場合、ディフェンスに入るのはサイドバックになる。局面としては、サイドバックとの1対1だ。このサイドバックを抜いてしまえばセンタリングするなり、中に切れ込むなりの大チャンスになる。さらには、サイドにいるということは相手DFも同サイドに寄っている。ボールキープしているロビーニョの横にジダンが顔を出し、ひとつ横パスが入る。ジダンはそのまま中にドリブルしていき、さらにオーバーラップしてくるグティや、右サイドを駆け上がったベッカム、ゴール前で息を潜めているロナウドへパスを出す。ジダンに選択肢は3つ生まれる。いや、4つだ。自分でシュートでもいい。
 ロビーニョの左サイドポストにより、左に意識しているDF。ロビーニョの横パス一本で、手薄な中央や逆サイドが脅かされる。ロビーニョが左でタメを作った時に、中央と右サイドへ選手が物凄い勢いで駆け上がってくる。まるで、波のようだ。しかもただの波ではない。ジダンにベッカム、最近はシシーニョという強烈な波だ。DFは右往左往かき乱される。
 
 前節のエスパニョール戦の1点目。サイドでキープしてたロビーニョから一気に逆サイドのベッカムへ展開。当然、左にDFが寄っていたわけだから、ベッカムはフリーに近い状態。ベッカムは中央を駆け上がってきているグティを見て、正確無比なクロスを上げる。グティも上手くあわせて先制。相手DFもベッカムに一生懸命寄せたが、少し遅れた分クロスを止めることができなかった。これこそ、ロビーニョサイドキープからの典型的得点パターンだ。
 さらに、もうひとパターン。同試合の2点目。左サイドでキープし、ペナルティエリア付近まで接近するロビーニョ。絶妙なボールキープを見せていた。っと、ロビーニョの背後を猛スピードで駆け上がったロベカル。独特の間合いでキープしていたロビーニョから絶妙なタイミングでロベカルに短い縦パスが出る。ロベカルにDF3人が集中する。中央には、「横パスを貰おうかなぁ~」ってな感じで上がってきていたジダンがそのままゴール前まで走って行く。それをロベカルは見逃さず、的確なパス。ちょっとバウンドがずれたが、ジダンが丁寧に処理してゴール。ロベカルのオーバーラップを使うという、レアルらしい展開。
 サイドから中央、逆サイドへの展開だけではなく、サイドから同サイドへ縦の展開もあるってことだ。

 中央でのポストの場合、移動域が広い(360°)。サイドでのポストの場合は立てか横か戻すしかない(180°)。そこを考えると狭いサイドでのポストは、中央のポストよりも難しい。この辺がデメリットだが、相手DFが一方に寄るので中央、逆サイドにスペースを作り出すことができる。決定的なシーンを演出する確率を考えると、サイドポストの方が有効だと思う。ただし、サイドでキープするのが最前列のFWであるというのが条件。サイドハーフがサイドでキープしても、相手のサイドハーフが対応するから相手DFのバランスは崩れない。FWがサイドでキープするから、サイドバックが対応することになり、どーしてもDFがサイドに寄ってしまう。
 
 さて、左サイドキープの達人ロビーニョ。ロビーニョ獲得により、レアルは得点力よりも展開力を手に入れた。まぁ、あの展開により得点力も上がっているのだが、ロビーニョ自身の得点が少ないことは問題ないくらい、あのサイドキープは強烈だ。
 まずは、ボールの受け方が上手い。相手のサイドバックにべったりとくっついて、ボールをもらう瞬間に相手から離れる。これで、相手との距離を取ることができるので、ボールを受けた時に正面を向くことができる。背中でDFを背負うのではなく、正面を向いて対峙するので、DFはうかつに飛び込めなくなる。この些細なプレーにより主導権はロビーニョが握る。そこから、「抜くぞ!抜くぞ!」ってな感じで、ボールをさわりながら、じわじわと仕掛ける。DFは後ろに下がりながらの対応となるので、どんどんゴールに近づいて行く。
 この時のボールの触り方が独特。「ボールを置いて行く」のである。ボールは動かさず体だけが前に進む。置いて行ったボールはロビーニョの体で唯一残されている“後ろ足”が「ボールを連れてくる」。言葉にするとこんなイメージだ。
 DFは「あっ!ボールを置いてった。ミスったな。取れる!」と思った刹那、ロビーニョの後ろ足(右足)がボールを連れて行くので、DFはすかされる。
 ロビーニョのやっていることをイメージするならば、例えば冷蔵庫のドアを足で開けるとして(行儀悪いが)、正面向いてあけるのではなく、冷蔵庫に背を向けて足を後ろに伸ばして開ける。これに近いイメージだと思う。これを無意識に、確実に行えるレベル。

 ボールの触り方が独特で、サイドキープが上手なロビーニョ。今後、ロビーニョがサイドでボールを持った時は注目だ!レアル戦はロビーニョのボールタッチとロビーニョからの展開を見逃すな!

 今年のビッグイヤーはレアルが取る気がしてきた。でもそうなると、今年もアーセナルパズルが解けないことになるのだが・・・。