~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

■『ソハの地下水道』■ ※ネタバレ有

2012-09-30 20:54:37 | 映画【ドイツ】


  『ソハの地下水道』:公式サイト

第2次大戦時にナチスが支配するポーランドでユダヤ人を地下水道にかくまっていた中年男の実話をもとに
ポーランドの女性監督アニエスカ・ホランドが映画化。

今年のアカデミー賞外国映画賞ノミネート作品。

冒頭で全裸の女性達が追われ森の中を駆け銃殺される場面は
「趣味悪い演出やなぁ。」と思っていたら
女性監督だと観賞後に知り、驚いてしまいました・・・。
本当にあった出来事なのかもしれないけど、あの場面何の意味があったんだろう?
髭を生やした男性が皮膚ごと髭を引っこ抜かれる場面もエグイだけだし・・・。
地下水道の場面までがちょい長い上に痛ましくて、その時点でひいてしまいました・・・
そこら辺を削って地下水道の出来事に焦点を絞って
上映時間二時間以内で
コンパクトに仕上げたら観やすかったのに。
(こういう重い題材で上映時間145分はキツイわ・・・。)

だけど、地位があり絵に書いたような善人が主人公のベタな物語ではなくて、
悪事も働いてきた庶民が主人公というのは『ヒトラーの贋札』を思い出しリアリティを与えていましたね。

 『ヒトラーの贋札(にせさつ)』・・・ ※ネタバレ有

最初は地下に避難したユダヤ人達からお金をもらっているのに
“シラミ”呼ばわりして卑下していたのが、
次第に情が移り、地下のユダヤ人達のお金が底を突くと実質無料でかくまったり、
地下で生まれた赤ちゃんを引きとろうとしたり、
赤ちゃんが窒息死してしまったら土に埋めてあげたり、
体調が悪くなった女の子がいたらマンホールを開け、外の空気を吸わせてあげたりしていた。
生活の為にコソ泥までしていた男がすっかり良心を取り戻していた。

地下の女性が水を浴び、偶然?それを見てしまった男性とのラブシーンが神秘的だったな~。

ようやく地下から出る事が出来たユダヤ人達。
その中の一人の男の子が「地下に戻りたい。」と言うんだけど、
幼い子供ってどんな劣悪な環境でも普通に順応してしまうのが怖いなと感じてしまった・・・。

何のためらいもなく銃声が飛び交う異様な緊張感・・・。
何が善で何が悪なのかが定かではなくなってくる中、
神が心の拠り所だったのでしょうか?
そんな事をふと考えてしまう余韻が残る作品でした。


P.S.
最近のドイツ映画はナチのユダヤ人迫害を題材にした映画が多いですよね。
逆に日本映画やハリウッド映画は戦争を題材にした映画は今では減ってきているような?
国が統一したドイツでは負の歴史を風化させない思いが強いのでしょうか?
私はどちらかというと
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』『ラン・ローラ・ラン』のような
ニュージャーマンシネマのほうが好きなので現代的なドイツ映画も観たいです。


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