~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

■『許されざる者』(2013年の日本映画)■ ※ネタバレ有

2013-09-19 00:56:26 | 映画【日本】


  『許されざる者』:公式サイト

刀と銃

クリント・イーストウッド監督&製作&主演で
第65回米アカデミー作品賞で監督賞ほか4部門を受賞した西部劇『許されざる者(1992)』を
李相日監督が日本映画でリメイク。
江戸幕府崩壊後の明治初期である北海道開拓時代、
釜田十兵衛〔渡辺謙〕は昔“人斬り十兵衛”と恐れられていたが、今は妻に先立たれ貧しいながらも
子供達と穏やかな生活をおくっていた。
だがある日、昔の相棒である金吾〔柄本明〕に賞金話をもちかけられ、
道中で出会った青年五郎〔柳楽優弥〕と共に町へ出て行く姿を描く。

 五郎はどうやって馬を調達したのか?
 顔を傷めつけられた十兵衛は五郎と金吾が先に逃げた小屋の場所がどうしてわかったのか?
素朴な疑問はあったなぁ~。

 十兵衛=黒馬 金吾=茶馬 五郎=白馬
馬の色のバランスは良かったね。

設定が日本の明治初期の北海道になっていたり、
賞金話を持ちかけるのは青年ではなく相棒になっていたり、
多少違っている部分はあったけど、大筋はほぼオリジナルに沿っている。
台詞も数々オマージュ。
特に、五郎が「5人斬った事がある」と十兵衛と金吾に吹聴するけど、
実は五郎が人を斬ったのは初めてで、トラウマを抱えてしまうのはそのままだったし。
ただ、やっぱオリジナルのように賞金話を持ちかけるのは青年のほうが良かったですね。
相棒だとお金の話もちかけときながら一抜けするのは身勝手なので
拷問を受けてしまっても自業自得にしか思えないのよ・・・。
オリジナルでは誘われて仕方なくという感じだったからこそ、哀れでせつなくて、
映画としては情感があったからね。

五郎役の柳楽くんは今までの作品では横顔や佇んでいるだけでOKなおとなしい役が多かったけど、
今回の役は風貌からも野蛮で強がりで時に感情をむき出しにする役。
大先輩達を前にしても臆せず、泣く場面は青臭さが残るものの懸命に頑張っていたと思う。
一皮むけて子役から大人の俳優へ一歩前進した感じ。

なつめ役の忽那さんはオリジナルの女優さんと比べると美人すぎる感はあったけど、
肌がキレイな分、傷メイクに刹那的な雰囲気が出ていた。
着物も似合っていたし、雪景色に映える透明感あったね。

渡辺謙、佐藤浩市、小池栄子は安定感あってさすがに上手かったけど、
個性が強すぎて役というよりも本人に見えてしまったんだよね。。。

オリジナルのハリウッド版は台詞の間の取り方から暴力の虚しいやるせなさを浮き彫りにしていたけど、
このリメイクの日本映画版は荒っぽい台詞と動作から暴力の惨さを強調しすぎていたような?
どちらも暴力の非情さを描こうとはしているんだけど、
リメイクのほうがインパクト狙いな感じがしてしまってね・・・。
お国柄の違いなのか?単に見せ方(演出)の違いなのか?私にはよくわからなかったけど、
明らかに暴力描写の意図が似て非なるような違和感を覚えた作品でした。


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