~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

□『起終点駅 ターミナル』□ ※ネタバレ少々

2015-10-08 01:22:30 | 映画【日本】


  『起終点駅 ターミナル』:公式サイト

保険証

桜木紫乃の短編小説の映画化。
判事だった頃に出逢った女性との哀しい出来事を背負った55歳の弁護士:鷲田〔佐藤浩市〕が、
孤独な25歳の女性:敦子〔本田翼〕との出会いを経て再生していく様子を描く。

主題歌はMy Little Lover の『ターミナル』。
篠原監督は『深呼吸の必要』でもMy Little Loverを主題歌に起用していましたね。
監督はMy Little Loverの楽曲が好みなのかしら?

心に重荷を背負い、自らを戒めて北の地で生きてきた熟年男性と
家出し、保険証ももたずに生きてきた若い女性。
大筋は辛気臭い感じなんだけど、不思議と重さはなかった。
かと言って、決して軽くはないんだけどね。

佐藤浩市は落ち着いた渋い演技でさほどイメージに変化はなかったんだけど、
尾野真千子と本田翼の配役は少し意外性ありました。
尾野真千子は朝ドラ以降は強気な役を演じる事が多かったけど、この作品ではうらぶれつつも儚げな役。

本田翼は明るい役が多いらしいけど、この作品では過去を背負った陰のある役。
本田翼は演技に関しては酷評される事が多いみたいだけど、この作品ではわりと良かったと思う。
文芸系?の作品だと平成生まれの女優さんでも古風な顔立ちの人を起用するけど、
スラッとした脚線美の現代的なスタイルの彼女を起用したからこそ、
泥臭くならなかったし、少し空気が和らいだ感じもした。
本田さんは台詞の間が多少ずれている箇所もあったけど、
浩市さんが受け止めて間をさりげなくコントロールしてカバーされていた。

最果てにとどまっていたら永遠に終着駅だけど、
進んでいく勇気を得たら未来への始発駅になるのでしょうね。
駅は人間の指標を照らす場なのかも?

登場人物の状況説明を端折っているし、心理も事細かには描いてはいない。
台詞少なめで行間を読み取る静謐なタッチ。
大衆受けはしないだろうから、シネコンよりもミニシアター向けの映画のような気もするけど、
説明的な台詞が多い作品が苦手な私はこういう作風は心が落ち着きました。
ただ、その分ラストの高揚に欠けたので、
物語運びにもう一捻りほしかった気もした作品でした。


P.S.
上映前に主演の佐藤浩市と本田翼の舞台挨拶が20分程ありました。
浩市さんは冒頭「有料試写なので、長く喋ろうと思います。」と言っていたな。^^

浩市さんは1ヶ月間ロケ地の釧路に滞在されたそうです。
料理を作る場面は全部ご自身で料理されたと。
普段でもお酒のつまみはご自身で調理したりするそうです。

リハーサルに時間かけたらしいし、浩市さんが本田さんに
「(役が)育った場所を見てくるように。」とアドバイスしたそうです。
その地に溶け込ませる雰囲気作りも功を奏していた感じでした。

本田翼は溌剌とした声でサバサバ話していた。素直で感じが良かった。
佐藤浩市は映画やドラマで観るよりも細身だった。
姿勢が真っ直ぐでスラッとした長身で足も長くてスタイル抜群でした。

浩市さんは淡々と話していたんだけど、
本田さんが浩市さんとの共演するこの作品のオファーがきた時の事を
「日本を代表する俳優さんなので、
これを逃したらもう共演する機会がないかと思って。」という旨を爽やかに仰ってました。
特に、“日本を代表する俳優さん”と本田さんが言った瞬間、
浩市さんは照れたのか明るくコラッみたいな動作したのがお茶目で微笑ましかったです。^^
年齢差はかなりありそうだけど、フレンドリーな感じで好印象でした。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。