芸術
母親が少女である娘のヌードを撮影し、
物議を醸し出した1977年の写真集【エヴァ】の被写体で、
モデルや女優として活躍するエバ・イオネスコが、
写真集の発表から34年を経て、脚本&監督し、
写真家の母イリナとの実話をもとに映画化した作品。
三つ編み姿の野暮ったい少女:ヴィオレッタがステージママの影響で洗練されていく。
ある意味、『マイ・フェア・レディ』でもあるけど、サクセスストーリーではなく、
母娘の対峙がメインなので、趣はガラッと違う。
オフィシャルサイトでは『タクシードライバー』のジョディ・フォスターに例えられていたけど、
私はスーザン・サランドン&ブルック・シールズが母娘を演じた
ルイ・マル監督のハリウッドデビュー作『プリティ・ベビー』を思い出したりもした。
まるでお人形さんのようなルックスで類まれなる美貌の少女が
成熟した女を魅せなければいけなかったりするところがね。
イザベル・ユペールはこういうクセのある役実にハマるよね。
年齢不詳な雰囲気も魅惑的。
カラックス作品で知られるドニ・ラバンは逆にアクの強さを消して、
この作品の中ではわりと地味な役を演じていたのが印象的でした。
ステージママの心理は未知の世界だけど、
この作品の母親は子供に夢を託すといった感じではない事は確か。
かと言って、ビジネス一辺倒とも言いきれないような気もして。
芸術にこだわっていたみたいだけど、
娘がトイレしている時まで写真を撮るのは異常としか言いようがない・・・。
女の子なら誰でもキレイになりたいという願望は少なからずあるだろうし、
子供の頃は大人っぽく見られたいというのもあるだろう。
だから、当初はそういった自分も悪くないと少しは思っただろうけど、
子供もバカじゃないし、邪心がない分、大人を客観的に見られるのが子供。
だからこそ、反発する。
思春期にさしかかる年頃ならではの反抗ではなくて、人としての反発。
「ママは狂っているよ!」と叫びたい気持ちを出しきれず、
ああいう行動をとるしかなかったんだろうな。
ママが好きとか嫌いとかの次元ではなくて、
女子にとってママは永遠に超えられない存在だと思うから。
ゴシック調の衣装や光沢のある映像に魅せられた。
女性監督ならではの感性が光る作品でした。
これ、何ともいえない段階まで映画が到達していたような不思議さがありました。
ヴィオレッタ本人であるエヴァ・イオネスコが監督していたという風変わりな映画でしたね。
母を恨む本人の気持ちが急に噴出するおかしなバランスの映画で複雑な思いに駆られました。
や、面白くは見たんですけど…。
コメントのお返事遅くなってしまってすいません。m(_ _)m
試写会は司会者の作品紹介や監督や出演者の舞台挨拶があるのが定番だけど、
観客同志で感想を語り合うというのも有意義な試みですね。
映画祭のティーチインでは舞台上の映画関係者と観客の1対1なだけだから。
作品を撮る時は監督に徹しようとはしているだろうけど、
少女の頃に感じた母親に対する憎悪は大人になっても完全に消える事はないだろうし、
それでも母親は母親だから擁護心も沸くだろうし、
でも、それを取り繕うことなく撮った印象でしたね。