ピアノ
中国映画の名匠チャン・イーモウ監督の最新作。
文化大革命後の70年代の中国を背景に心労から夫の顔の記憶だけを失くした妻と、
妻の記憶が回復する事を願いながらも他人を装い妻に寄り添う夫の夫婦の姿を描く。
1970年代後半にバレッタはあったのかしら?
この邦題は深いよね。
負の歴史に翻弄された家族の葛藤を淡々と描いている。
激しい感情をぶつけているのは夫が連れられていく場面とピアノの場面ぐらい。
そのピアノ場面、深読みすれば、
妻は本当は彼の演奏する曲を聴いて夫だと気づいたけど、認めたくなかったのかも?
それを認めてしまうと、現実を受け入れざる負えなくなってしまうから・・・。
毎月その日に帰ってくると信じて港まで迎えに行っている自分が自分の心を支えているから・・・。
そのタガが外れたら、自分が自分ではなくなってしまうから・・・。
文革によって夫と引き離され、収容所から逃亡してきた夫とも会えず
絶望を味わった彼女は誰も何も信じられなくなっていたんじゃないかな。
娘の事でさえも何が何だかわからなくなっている。
結局、人間は自分で自分の心の軸を支えるしかないんだけど、強い女ばかりじゃない。
弱いなりに自分を支えるしかなくて、傍から見たらイタイ女に過ぎないんだけど、
弱いなりに生きようとしている彼女の複雑な女心を感じてしまって、ただただせつなくてね・・・。
心を病んでいる妻役を演じたコン・リーの演技はさすがに凄かったな。
大女優オーラ消して庶民に徹している。
チャン・イーモウはキンキラとかド派手な色彩の大作も撮るけど、
私はこの作品のように地味だけど、人間の心象を見つめる作品のほうが好きです。
ちょっとご無沙汰で(汗)
この映画、僕も観ました。
打ち出しやメインはコン・リーでしたが、
実はそれを支える夫の献身的な愛を捉えた映画で、
男性陣は泣かされたでしょうねぇ(笑)
(女性はもちろんのこと)
僕も久しぶりにこの夫のひたむきさに
涙してしまいました。
イーモウ監督らしい映画でした!
コメントのお返事遅くなってしまってすいません。m(_ _)m
収容所から戻ってきても妻が自分の記憶のみ失っていて、
それでも自分を思い出してもらえるように一生懸命努力しても実らず、
それでもめげずに誠実に妻に寄り添い支え続ける夫の姿はけなげでしたね。
チャン・イーモウのヒューマン作品は地味だけど心を打つ秀作が多いですね。