~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

■『殺されたミンジュ』■ ※ネタバレ有

2016-01-31 00:43:41 | 映画【韓国】


  『殺されたミンジュ』:公式サイト

真実

謎の集団がある少女殺人事件の容疑者である組織のメンバーを次々と誘拐し、
拷問にかけ、真相に迫っていく群像サスペンス。
キム・ギドク監督がその事件を発端に渦巻く暴力の連鎖をスリリングに描く。

肩撃たれただけであっさり死ぬものなのかしら?
肩は急所ではないので、連打しない限りは死ぬ事はないと思うんだけどな。。。

ギドクにしては珍しく台詞が多かったね。
ギドクは言葉の概念に頼らないから『メビウス』では台詞が皆無だったり、
『悲夢』ではオダギリジョー演じる主人公は日本語で
イ・ナヨン演じるヒロインや他のキャストは韓国語で言語がまちまちだったりしたけど、
この作品はいつもとは逆のスタンスで言葉をも凶器にしている感があった。
宗教観は滲ませてはいるけど、小さい仏像?以外は美術面でのこだわりは抑えた印象。

ヴァイオレンスな集団劇(群像劇?)なんだけど、拷問は一人づつ。
拉致する時の扮装を話し合ったり、拷問方法も変えて、ある種のゲームのように試みている。

結局は怨恨の復讐劇なんだろうだけど、発端となった殺人事件の起因や事情の描写はなく、
投げかけるのは国家・組織・社会について・・・。
何が正しくて何が間違えているのか?明確な答えを断定出来ない問いかけ・・・。
対立はしているんだけど、敵対しているというよりかは無謀な議論。。。
復讐する集団も復讐される組織も全員が統制とれているわけではなくて、
良心が咎めているものもいれば、忠誠心で服従している者もいる。

全てにおいてちぐはぐでまとまりのないサマは時に滑稽なんだけど、
笑えるというのも違うし、だからと言ってせつないというのも違う・・・。
飄々としている感じ。
それがギドク節なんだろうな。

そういった“人間のおかしみ”がなぜか愛おしく感じた作品でした。
 


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