実に、2年ぶりのブログ投稿です。書いて記録に残さずにはいられなかったので。
2020年東京パラリンピックに向け、障がい者スポーツ関係のイベントを目にする機会が急増しています。
そんな流れの中で、僕も先週の「ジャパンパラ ウィルチェアーラグビー競技大会」と今週の「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」の会場に行ってきました。その体験を通じて思いついた、障がい者スポーツを盛り上げる次の一手について書きます。
どちらの会場でも、目立ったのは2点。スポンサー企業が増えたことと、報道陣の多さです。
ウィルチェアラグビーの会場は「ジャパンパラ」というくくりにもスポンサーがついているため、こんな感じでした。
また、スポンサーシップアクテイベーションの一環だと思われますが、スポンサー企業の社員やその家族と見られる方々が集団観戦する姿もありました。車いすテニスの会場でも、保険会社と航空会社の方が、それぞれ揃いの格好で一角を占めていました。
それから、報道陣も30人くらいはいました。大きくはありませんが、新聞に記事が出たり、ニュースのスポーツコーナーで流されたりするのは当たり前になったと言えます。大手メディアにはここ数年で「障がい者スポーツ担当記者」というのが設けられました。また、以前から地道に障がい者スポーツを取り上げてきた専門メディアもあります。報道量の多さで、関心を持ち、会場に足を運んだ人は少なくないでしょう。
会場に集まる人たちは増えています。そこまではできつつあります。
この流れの中で、盛り上げるための次の一手とは、「観戦体験を楽しくする」ことだと僕は考えます。
メディアからつくられた人の流れの受け皿となるのが、競技会場であります。所謂リピーターを増やし、競技をもう少し深く知ってもらうこと、また、そんな人たちに口コミでさらに広めてもらうことが、競技を支える部分をしっかりすることにつながります。
では、どうするのか。3点あります。
(1)素人質問OKの環境づくり
競技を知ってもらおうと、会場では競技のルールや選手などを簡単に紹介したリーフレットが配布されています。また、ウィルチェアラグビーでは、場内放送でアナウンサーと解説者のやり取りが終始流されていて、初心者にもわかりやすく伝えようと努力していました。これらに加えるとすれば、競技を見ている人が思う「え、今の何?」というような質問にリアルタイムで答えてあげることでしょう。方法としては、ツイッターを使うこと。それから、正統派の実況・解説ではなく、副音声的なゆるい実況・解説を行うことが考えられます。場内FMラジオを使えば、競技進行のじゃまになりません。どの競技にも、話の分かりやすい人は一人くらいはいるものです。
(2)応援マナーをさらりと教える
車いすテニスに限らず、テニス観戦のマナーとして特徴的ものが2つあります。①スタンド内を移動するのは、選手がベンチにいる時(チェンジエンドの時など)に限る②選手がサーブの準備に入ったら、静かにする、です。テニス関係者にはごく当たり前のことすぎて、わざわざリーフレット等に書いていないんです。でも、初心者からすれば驚きですし、選手と観客の良好な関係づくりにも大事なことですので、徹底したいところです。日本人は特に、迷惑を掛けないというのに敏感ですから。
(3)応援している人たちに一体感をつくる
僕もウィルチェアラグビーは今回初めて生で見たのですが、点が入った時にパチパチと手を叩くだけで、応援体験そのものがちょっと楽しくなかったです。もっと盛り上がれる動きがあって、「また、やりたいな。あれ」というふうになれば、再び会場に足を運んでもらえる確率は上がるはず。車いすテニスの方は、テニスの団体戦の応援スタイルをリードする一団がスタンドの一角にいて、「ニッポン、チャチャチャ」のような比較的なじみのあるものを一緒にするよう促していました。そういう応援の型をつくると、参加している気持ちになりますし、一体感の醸成には大事です。もっと簡単なことだと、「日本代表を応援するので、赤い服を着て会場に来てください」でもいいと思います。一体感を味わうことがいかに大切かについては、過去にこのブログの記事の「フットボール初心者向け観戦会を開く(2)」で、しっかり書いていますので、そちらもご参照ください。
これらの考えをまとめていた時に、ふと友達から関連する話題が入ってきました。「ほぼ日刊イトイ新聞」という有名サイトのスポーツ観戦企画です。昨日、5月28日に「ものすごく気軽にラグビーを観にいこう」というのが実施されたようで、詳細はこちらです。言葉遣いやサイトのつくりからして、すごく初心者フレンドリーで、いいですよね。
あと一つ、障がい者スポーツに関心を持つ流れについて、気づいたことを補足します。僕はこれまで、テニス好き→車いすテニスに関心、というような流れかと思い込んでいたのですが、現場を見た限り、これ少数派かもしれません。一つの障がい者スポーツに関心→他の障がい者スポーツにも、という流れの方がより大きいようです。もし、前者なら上記(2)のようなことは必要ないはずですが、実際はそうではなかったので。
2020年東京オリンピック・パラリンピックが決まって、役所→企業→メディアの順番で変化が進んできている印象を持っています。次は、専門家や仕事で携わっているわけではない、一般の人の変化というフェーズに来ていると見ています。観戦が楽しかったという人が増えてくれば、障がい者スポーツ、そして障がい者への距離感が変わってくるはず。それは、パラリンピック後の大きなレガシーになること間違いありません。