写真をご覧ください。
べびたんの背中です。
なかなか、潔い背中ですね。
べびたんの背中には、いれずみがあります。
せやけど、これは、悪いことのためのではありません。
これには、深い訳があるんです。
それは・・・べびたんが、初めてみぃみぃと出合った時のこと・・・。
みぃみぃが、まだ、幼稚園にも行ってないころのこと。
べびたんの前に、一号機のべびぃちゃんがおった、いうお話です。
そう、べびたんは、二号機なんです。
べびぃちゃん一号機は、どっから来てどこへ行ったのか・・・。
べびぃちゃん一号機は、みぃみぃのお母さんのお母さん、
おばあちゃんがみぃみぃに、とくださったべびぃちゃんです。
だいだい色のお洋服に、金色のボタンでした。
みぃみぃは、一号機のべびぃちゃんが大好きになりました。
そして、くる日ぃもくる日ぃも一緒でした。
ある日のこと、みぃみぃは、べびぃちゃん一号を、近くの公園に連れて行きました。
そして、ブランコに座らせ、自分もブランコを始めました。
しばらくすると、お母さんが呼びにきました。
「ご飯やで~~。」
みぃみぃは、「はあ~い!」と元気良く、お返事をしました。
そして、駆け出してしまったのです。
なんということでしょう。
忘れ物の横綱の異名を取ったみぃみぃ。
みぃみぃは、べびぃちゃん一号を忘れてきたのです。
ご飯の後になって、みぃみぃは気がつきました。
べびぃちゃん一号がいないのです!
みぃみぃは、お母さんにわけを話しました。
そして、一緒に公園に行ってもらいました。
辺りは暗くなっています。
それでも、みぃみぃは、お母さんと一緒にべびぃちゃん一号を探しました。
・・・・・・・・・・
べびぃちゃん一号は、影も形もなかったそうです。
「誰かが、連れて帰ってしもたんやろか・・・。」
その日ぃは、諦めて帰りました。
みぃみぃは泣きませんでした。
べびぃちゃん一号は、いなくなったとは思わなかったからです。
くる日も、くる日も、みぃみぃは公園に行きました。
誰か親切な人が、連れてきてくれるかも知れません。
べびぃちゃん一号が、ひょっこり帰ってきてるかもしれません。
みぃみぃは、お母さんに毎日、お出かけする先を伝えました。
「公園行ってくる。」
「べびぃちゃん探しに行くんかぁ?」
「うん」
「帰ってきとったらええなぁ。」
「うん」
そんな会話が毎日続きました。
何日続いたのか、みぃみぃは覚えていません。
その内、帰ってくるとみぃみぃは思っていたようです。
べびぃちゃんが帰って来た時に、みぃみぃは公園に居らななりません。
みぃみぃは、毎日公園に通いました。
公園が近づいてくると、べびぃちゃんがブランコに座っているような気がしてきます。
ブランコに座って、いつものようにみぃみぃにニコッと微笑むような気ぃがします。
せやけど、そんな影はすぅ~っと消え、ブランコには誰もいません。
みぃみぃは、長いこと、ブランコに乗って待ちました。
そのうち、お母さんの返事が変わってきました。
今日もみぃみぃは、準備をして出かけます。
「公園行ってくる。」
お母さんは、「そうか・・・。」
と言いました。もうべびぃちゃんは、帰って来ない、とは言いませんでした。
せやけど、こうも言うようになりました。
「誰か親切な人のところで、幸せに暮らしてるかも知れへんでぇ。」
みぃみぃは、信じませんでした。
そうかも知れませんが、そうでないかも知れません。
幸せに暮らしているのなら、良いことです。
せやけど、みぃみぃのところに帰ってくるかも知れません。
べびぃちゃんとみぃみぃは大の仲良しやからです。
みぃみぃは、その日ぃも公園へ出かけて行きました。
お母さんは、ついにお父さんに相談しました。
毎日、毎日、公園にべびぃちゃんを探しに行ってる・・・という話をお父さんに伝えたのです。
みぃみぃには、なんとなくその話がわかったようです。
お父さんがこう聞きました。
「なんぼや?」
「??????円やねん。」
「・・・買うたれ。」
世間で言うところの「根負け」です。
お父さんは、この頃から、みぃみぃには、あまあまでした。
みぃみぃには、金額はようわかりませんでした。
なんとなく、3600円やったように思うらしいです。
当時としては、高価です。
べびたん一族は値打ちがありました。
その次の日。
みぃみぃは、公園には行きませんでした。
おかあさんに誘われて近所のおもちゃ屋を尋ねたのです。
そこには、べびたんがおったんです。
べびたんらぁは、当時、おもちゃ屋さんで、待機していました。
お使えする人を待ったのです。
べびたんは、「この子ぉの所にいくんやろか?」
そんな風に思た気ぃがします。
みぃみぃは、べびたんをみつめました。
これは、べびぃちゃん?
お洋服の色がピンクです。ボタンが赤です。
違う気ぃがします。
べびたんは、みぃみぃに、ニコッッと微笑みました。
べびぃちゃんと同じ微笑みです。
みぃみぃは、べびたんを連れて帰ることにしました。
その日ぃは、雨が降っていたように思います。
みぃみぃは、片手に傘を、もう一方の手ぇでべびたんの入ったお箱をぶらさげていました。
小さい子ぉには、傘も重いもの。
みぃみぃは、肩に傘を柄を乗せていたそうです。
べびたんは、箱の中でゴトゴトしました。
ゆらゆらもしました。
みぃみぃの足に何度も、べびたんの箱がゴトゴト当たったのです。
いつもは、遠い坂道。
途中でへこたれてしまいそうな坂道です。
せやけど、その日ぃは、ぐずぐず言わずに歩きました。
途中、うどん屋のおばさんに、自慢していました。
べびたんのことを話したのです。
べびたんは、気になりました。
べびたんの話をしているとわかったからです。
髪の毛ぇがくるっとなってる、とか、目ぇをつぶるとか・・・。
おばちゃんは、ようわからんまま、「そう、良かったね~。」と言うたようです。
みぃみぃは、「あ、ようわかってないな。」と思ったそうです。
せやけど、みぃみぃは気にせず、スタスタ帰りました。
お家に帰るとお母さんは、べびたんを取り上げました。
べびたんの背中に、いれずみを入れたのです!
べびたんは、いきなり、いれずみ入りになりました。
それは、みぃみぃのお家の場所、そして、みぃみぃのお名前でした。
もし、みぃみぃがべびたんを置き去りにしても、
帰って来れるように・・・・。
そして、みぃみぃによぉく、言い聞かせました。
お父さんが、無理をして買うてくれたこと。
もう、失くしたらあかん、言うこと。
みぃみぃは、早くだっこしたくてたまらんかったので、
「うん、わかった。」「うん、わかった。」と言いながら、
手ぇをのばしました。
そして、ついに・・・・・!
べびたんは、みぃみぃの元に来たのです。
あれから、40数年。
ここまで長いつきあいになるとは、思いませんでした。
人形の人生もどうなるか、いろいろです。
☆べびぃ☆