杉山くん、丸川くんの旅物語第五話
再び船へ乗れるのか? の巻

「ちょっと あんちっしゃ おっが場所に勝手に立っちょっけん クラしてくって

」

「丸川よ あがパーか? くるくるパーか?」

「どら 止むんなさ なんかイサってかんに すかして立っちょっけんさ」

「あら、エロカッチが置いてくれたお前のダミーたい。もう忘れたっか? おっだ、またアーケードに戻ってきちょっとよ。」

「・・・・・そうね。

」

「よい 急いで港に戻ろうや。たぶん、あんアメリカ行きっち思うちょった船が長崎行きばい。」

「あんデカか船がや

」

「丸川・・・もしかしたら 世界はざぁまなデカかとかもしれんぞ・・・」

「福江島の何倍ぐらいっちか? 10倍とかか

」

「丸川 そんなもんじゃなかよ。

」

「そがんデカかとか世界は

?」

「そうね・・・俺の推測では・・・」

「推測では・・・・

」

「20倍から30倍よ」

「ざぁまん大きく出たね 杉山

」

「俺の勘やばつてんね。

」

「でも、五島で偉そうにしとる連中の態度はその割にデカかじゃん」

「よい

丸川

また電話のカバーの外れちょっぞ。 お婆ちゃんのあがん受話器ば持ってかんに、勝手にダイヤルしよっぞ

」

「なんち

よい 婆ちゃん

、こらおっが携帯やけんさな。よい婆ちゃん 聞こえんとかよ

耳の遠かっちゃんね・・・

」

「丸川 よかたい もう電話して話しよんもん。使わせてやれ・・」

「およ こん婆ちゃんは いつもおっば使ってくれよったっさね・・・ そしてかんに、東京におる子供に 何はいらんとか かんはいらんとか 送るぞっち電話ばようしよったっさ。」

「アーケードでなんかヨカとば見つけて、いても堪らず、すぐ電話しよったっじゃんね。幾ら年とっても息子ん可愛かっさ。」

「おー、トミオか

? 一夜干しば送ってやろうかっち思うたとばってん いんな?

」

「遠慮すんなっち

ジンジも死んでひとりやけん 知り合いん店で たくさん買ってしもうてかんに そん余りたい。 いんな?」

「およ 今日送ってな。 いまは家じゃなかよ アーケードたい。巡回バスのできたけん 利用しやすくなったっよ。
でさな、ちゃんここの公衆電話が移動式になっちょっよ。
スズヤ衣料んとこまで移動してきちょっとよ。かんむりば外したとの二台もあっよ。

」

「なんでバレたっかな?」

「ずっと、こん婆ちゃんな おっどんば利用しよったけんね・・・で、腰の曲っちょっけん、足元ん傷まで知っちょっとよ。」

「太鼓ばショルダーバックみたいにして ごまかしても常連にはバレるとね。」

「よし、港まで急ごうや。」

「三便に間に合うよ。急ごうや。」
さて、今度こそ 長崎へ行けるのか 乞うご期待