君が代の歌詞にもなっている『さざれ石』は伊吹山の麓、岐阜県揖斐川町春日が主要産地であり、岐阜県の天然記念物になっています。
その春日にある、さざれ石公園に行ってきました。

駐車場から、登山道のような急な坂道を登っていくと、当たりの雰囲気とはおよそ似つかわしくない芝生広場が開けています。

更にその奥の砂防堰堤を登ったところに、二つの大きなさざれ石が祭られていました。
-さざれ石前の看板より-
さざれ石(岐阜県天然記念物)
この石は、学名、石灰質角礫岩と言い、石灰石が長い年月の間に雨水で溶解し、その粘着力の強い乳状液(鍾乳石と同質)が、次第に小石を凝結、だんだん巨巌となり河川の浸食により地表に露出、苔むしたものである。
この石にまつわる郷土の伝承として 平安時代、文徳天皇(在位850~858年)の皇子惟喬親王(木地師の祖神)に仕えた藤原朝臣石位左衛門(歌人)が、江州(滋賀県)君ヶ畑から木地椀の良材を求め春日村に移り住み、江州の君ヶ畑へ通う途中、自然に凝結、苔むして巨巌になっている珍しい石の状態を見て、ありのまま、「わが君は、千代に八千代に さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで」と詠んだのが、この石であり千代に栄えることを希った、めでたい石であるという。
更にこの看板には、昭和37年に当地のさざれ石が皇室、明治神宮をはじめ、文部省、池田隼人元首相等に献上されたと記録されていました。
国歌歌詞になっているさざれ石が県内春日村のものであり、その歌詞の原文も春日村で詠まれたとは驚きでした。小石が凝結して巌になったうえ、地表に露出して苔がむすまでにどれだけの時間がかかるのだろうと考えると、自然の神秘に改めて敬服の思いがします。

石灰質の岩で雨水による浸食がされやすいのでしょうか、さざれ石の奥の谷は新しい砂防堤があり、手前の小屋は今年の雪によるものか、みごとにひしゃげていました。

見上げるとドライブウェーが見え、はじめてその山が伊吹山だとわかりました。

通り道から見える谷間の集落。まさに山里。こういう光景に癒されます。許されるのであれば住んでみたいとも思うのです。