
america america by spinach
ヒットチャートというものには、たまに妙な曲が上がってくることがある。
今回取りあげる「アメリカ アメリカ」という曲なども、私にとってはそんな曲の一つであった。
歌っていたのは、スピナッチ。
「妙」と言っても、その「妙」は「斬新」だったり「衝撃」だったりすることもあるのだが、この「アメリカアメリカ」は、最初に聴いた時は、どうもコミカルで、文字通り「妙」で、更に言えば「ヘン」な曲にも思えた。
なんといっても、その出だしがインパクトがあった。
なんてったって・・
♪ アマママママ~ン インアメリカ~ アママママ~ン インアメリカ
だもの。
なんじゃ、この「アマママママ~ン」って?
何かの呪文かい?・・・と、最初は思った。
だが、呪文にしてはコミカルすぎた。
呪文というのは、たいがいいくばくかの神秘性がありそうな雰囲気があるが、この「アママママ~ン」というのは、何かをおちょくっているようでもあった。
また、この「アママママ~ン」の部分にからむ、ディストーションギターのリフも妙に面白かった。
この曲がヒットしたのは1971年のようだ。
思ったより古い曲だったんだね。
歌ってたスピナッチというユニットは、ジョルジオ・モロダーと、マイケル・ホルムというお二人のユニットだったようだ。
ユニットの形態としては、プロデューサー・ソングライターコンビということになるようだ。
ウィキによれば、ジョルジオはイタリアの音楽プロデューサー・作曲家・シンセサイザー奏者とのこと。70年代にはバブルガムポップス系のヒットを飛ばしており、映画音楽家としても有名な映画音楽を数多く担当している。「トップガン」や「フラッシュダンス」ではアカデミー歌曲賞を受賞した経歴の持ち主。
一方マイケルはドイツ人で、「クスコ」というシンセサイザーバンドなどの活動でも知られる作曲家・編曲家・プロデューサー。ジャンルとしてはニューエイジ風、南米のアンデス風の作風が特徴らしい。
「アメリカアメリカ」という曲に、どこか民族音楽っぽい雰囲気を私が感じたのは、マイケルのそんな傾向のエッセンスがあったのかもしれない。
実力派で、なおかつひとくせある2人のミュージシャンが「スピナッチ」という名のユニットを組んで、生みだしたのがこの「アメリカアメリカ」ということか。
決してパーマネントなバンドやユニットだったわけではないのだろう。
むしろ、潔い「一発屋」的なユニットとして、良い意味で「遊び」的な感覚で制作した曲だったのだろう。
で、狙った「一発」は、見事な一発になった。
曲調から察するに、お二人がけっこう楽しみながら作った曲のようにも思えるし、しかもそれがヒットになったという実績もあげたということか。
お二人にとっては「してやったり」的な気分だったのではないか。
この曲、けっこう日本でもヒットした印象がある。
特に「♪アママママン インアメリカ」のくだりは、かなりインパクトがあり、一回聞いたら耳に残ってしまうぐらいキャッチー。
私自身も、この曲を一回聞いただけで、思わず「アママママ~ン インアメリカ~」と無意識のうちに口ずさんでしまった覚えがある。
その部分は、どこかの原住民が、独自の風習の囃子言葉(?)みたいなものを、曲に盛り込んでいるようにも思えた。
こういう曲が、ある日急にヒットチャートに登ってくると、ヒットチャートが楽しくなる。
同じような傾向の曲ばかりがチャートを席巻するようじゃ、ちょっとつまらないから。
で、流行りの傾向の曲がチャートの上位にいる時に、こういう曲が、流行りの傾向の曲を蹴散らして上昇すると、けっこう痛快なのだ。
ちなみに、「スピナッチ」というのは「ホウレンソウ」のことだ。
また、この曲のシングルのジャケットが、かなり皮肉というか、おちょくったようなイラストになっており、曲の雰囲気とあいまって、相乗効果を高めている。
「 アママママ~ン インアメリカ
アママママ~ン インアメリカ
でっかい雲は空から 皆をあざ笑う
スモッグは重苦しく バーボンよりきつい
でも女どもは抜群 みんなガツガツ飢えてるんだ
ばっちり満足すること うけあいさ
ドルはどんどん安くなり 物価は天にも届くバカ高さ
奴らはガムを噛みながら 誰でも銃をぶらつかす
でも奴らのロックはご機嫌さ 君の魂をがたつかせ
真夜中までには フラフラさ 」
いやあ、痛烈(笑)。一筋縄ではいかない歌ではある。
まあ、こういう曲調で、歌詞が甘いラブソングだったりしたら、それはそれで困るかもね(笑)。
アメリカ大陸を侵略し、インディアンを虐殺し、彼らの文化を蹂躙した白色人種への皮肉の歌…?
おおよその歌詞内容を見ても、ただのコミカル・ソングとは考えられません(^^;;
いずれ、このブログで取り上げることがあるかもしれません。
この「アメリカアメリカ」という曲は、アメリカの世相へのかなりの風刺ソングなのでしょう。
アママママン、、の箇所は、少しおちょくったような響きがありますね。