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社長様、かく語り記

東北のとある社長の名言・行動から、人としてあるべき姿を探していきたいと思います。

拝啓、稲盛和夫様

2012-12-12 16:30:19 | 日記
今朝のトピックスにて、「社長が選ぶ今年の社長2012」の第1位に稲盛和夫さんが選ばれたとの記事がございました。

かねてより尊敬の念を抱いておりましたので、心よりお祝い申し上げます。


わたくし10年以上前に勤めておりました会社にて、プラスチック成形工場における生産管理を任されたことがございました。

当時のわたくしは生産管理について全くの門外漢であり、パソコンすらまともに使えない状態でしたが…他になり手もおらず任命されたのでした。

ワープロは若い頃にたしなんでおりましたので、パソコンは何とかなるかぁ!と思いましたが、「生産管理」は…全く要諦が見えません…。

さて…迷った時は書店に赴き関連書籍を探してみます。

しかし…書店で
「生産管理…云々」
と云う書籍を手に取りましても、どれもごく当たり前な理想論を並べ立てるのみで、当時のわたくしが直面していた状況にマッチするモノなどは、ある訳はございません。
(全ての面においてだらしがない工場を救済するための書籍なんざありゃしないってことっすね


当時の状況とは?

1.毎日夕方になると、客先から納期遅延品の状況確認及び督促が入り、そこから工場内の進行状況と製品在庫を調べに掛かります。

2.誰にも管理されていない製品在庫は、全く同じケースに収納されて広い倉庫の中に何の脈絡も無く積み重ねられております。

まずはその製品在庫のジャングル巡りから始まります。

このジャングルの中からお客様がご所望の製品を探しだす訳です。
(あるかどうかも判らない状況で、ほぼ毎日全ての収納箱のフタを開けて中身を確認…前日まであったモノが消えることも多々ありました。)


3.探している製品が見つからない場合、お次は工場内で製作指示書を確認するのですが、全ての成形機を回って確認しなければなりません。
(たま~に、指示書が床に落ちて油にまみれていることもありましたねぇ…)


4.製作指示が出ていればマシな方、出ていない場合が多いので、この時点に至り作業者に特急生産を頼むこととなります。
(現場の方は定時過ぎに特急作業が入るので、毎日夜の11時過ぎの帰宅でした。)

この段で良く発生するのが、
「材料ないよ~…」
との連絡。


5.さて今度は材料在庫のジャングルへと分け入ります。
一袋25㎏入りの袋が大型車のガレージと同等の広さの倉庫に山積みとされています。
(狭いので山が高い…)

使用する材料が作業者によって出庫され・かたや運送屋さんが毎日入庫(適当に空いてる場所に置いていかれます)、の繰り返しなので日々材料在庫置き場の景色が変わります。

全ての袋を避けながら積み重なっている下の方まで確認するも、やはり無い…
無駄に汗だくとなります。


6.督促の連絡から2時間程が経過してから、ようやく客先へ材料発注の連絡を入れます。
(ここの会社では、客先から材料を購入しておりました。)

前任者に教わった通り、
「特急で手配をお願いします。」
と注文書に書き込みFAX。


7.すると…
「またですかっ!急ぎと言われても2週間掛かりますよっ!」
と、お叱りのお電話を頂戴致します。
(前任者に言われた通りやっただけなのに…ションボリ…


8.成形機の作業者、出荷の作業者は夕方になり急ぎの仕事が入るので…

工場長は毎日客先からお叱りの電話を受けるので…

皆様うんざりの毎日ですが、底なし沼の如く這い上がる足掛かりもありませんでした。


9.更に、そのような毎日なので客先に不良品を送りつけるケースも度々ございました。
忙しさの中に金にもならない不良品の代替品手配も加わります。
(しかも不良ロット全数交換なんでね…普通に時間をさ浪費するんだよねぇ~…


10.状況を複雑化させていたのが、取り引きしている客先の多様性でございました。
取引先は当時で8社、注文書の様式から注文の体系、製品の種類が約400品目、材料の種類が約70品目と製品&材料の在庫がジャングル状態、情報もジャングル状態でありました。


少々脱線します。

当時の人材派遣は、時間当たり2,500円位(派遣会社への支払金額)が相場でした。
その中にとてもユニークな方がおりました。

正規従業員達がこの様な日々を送っているのに、
「明日の昼はカレーパーティをしましょう!」
と、勝手に仕切り翌日の午前中は、ずぅっ~とカレーを煮込んでおりました。

わたくしはたまらず、一緒に調理をしている品質管理の責任者の方に、
「あのぉスミマセン…時給2,500円も払って何をさせているんですか?
あらかた10,000円のカレーになってますが?ウチの会社はそんなに暇で儲かってるんでしたっけ?」

帰ってきた言葉が、
「しょうがないでしょう、勝手に作ってるんだから…」
でした。

今の時代ならば即解雇の人材様ですが、良い時代もあったものです。

脱線から復旧致します。


お前 日中は何してるん?と、思う方も沢山いらっしゃるでしょうが、日中は客先から入ってくる注文書の処理をしている訳ですが、その日入った注文書をベースに夕方以降とほぼ変わらぬ内容をこなすのですが、受注する品目が多くて一日があっと言う間に過ぎておりました。


そんな日常を改善する為に参考となる書籍が欲しくて書店へ行き探したのですが、このような特異な状況下から抜け出す方法が書かれた書籍なんぞ書店にある訳がございません。

ん~お手上げ~…となり、気晴らしに好きな歴史小説のコーナーへと向かいました。

なんか読みたくなる本は…と、視線を棚に沿って横に走らせていて飛び込んできたのがビジネス関連の棚にあった、

「稲盛和夫の実学」

と云うタイトルの本でした。


「実学」と云う言葉は、恐らくわたくしが敬愛する「河合継之助」様の小説で目にしていたので、興味が湧いたのだと思います。
確か…陽明学の下りで良く登場したように記憶しますがどおでしょう。

立ち読みしてみて、すぐに自分の疑問が解氷してゆくのが感じられましたので、買い求め自宅で読み漁りました。

今となっては当時の自分の気持ちは判りませんが、漠然としていた自分の考え方に自信が漲り、指標を指し示して頂いたのでした。


今日改めて本を開いてみました。

恐らくは、「完璧主義を貫く」や「採算の向上を支える」といった内容が、自分の漠然としていた考えのバックボーンとなり、自信へと変換してくれたのだと思います。

わたくし、仕事をしておりますと、
「そこまでやらなくてもいい」
とか
「時間の無駄だ」
と、云うご意見を度々頂戴します。

じゃあその方の仕事振りたるや如何に?

まぁ参考にすらならない、下らないお方ばかりです。


結局のところ、

「知恵が湧かない」
「手抜きをしたい」

方々が、

「お前がやるとこっちも色々やらなきゃなくなるから邪魔なんだよ。」

と、云う思考の下に発せられた発言ですので、聞くに及ばずです。

世の中、こういう方が上司だったり経営者である場合がとても多いですね。


そんな上司や同僚が多く、失いかけていた自信を取り戻すきっかけとなったのでした。

この後、約1年かけて、
納期遅延ゼロ・品質不良ゼロ
を達成し、その後1年間はその状態を継続することが出来ました。
(何故、継続した期間が1年間なのか?それは、他の部署に移され同様の作業に再び… )


全て稲盛和夫さんのおかげです。

それと、たまたま事務のプロのおばさまがその職場にいらっしゃり、色々と事務的な処理方法の常識をご教授頂いたのも貴重な知識積み上げとなりました。
(当たり前を知らないと云うのは、時間を無駄にしがちです。経験者に学ぶべきだと痛感しました。)


そうそう!スッカリ大切な社長様の存在を忘れていました。

稲盛和夫さんは いまだ現役で、現在JALの立て直しに尽力し、かたや社長様は いつも従業員たちに愛想を尽かされ去られてばかりで「徳」と云う言葉とは縁遠い人間性。

どちらが人間として宜しいのでしょうか?

人間の有り様の根幹に関わってきますので、またの機会に触れたいと思 ます。

本日は、稲盛和夫さんの今後の更なるご活躍を祈りつつ…締めさせて頂きます。