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【本】『13階段』

2018-04-23 23:09:42 | コラム
こんばんは
hanayuです。

同じオフィスで働く営業女子が
ここ最近、読書に目覚めたそうで
読んだ本を貸してくれました。

『13階段』です。

13階段 (講談社文庫)
高野 和明
講談社


久しぶりに読んだ感想でも。

死刑制度、罪に対する償い
背負っていく被害者、そして加害者の想い。

そういったものがテーマのお話。
深いよね。

冤罪による死刑執行が執り行われるのかどうか
その真実に向かうストーリー展開に魅了され
終盤にはこの次が気になって仕方ない。

そして、最後の最後に
最終のネタばらしがあるのだが
それが深いテーマとして心に残る。

ミステリーって
スカッと快適な末尾があるものだという
固定概念を覆していると思った。

結末に向けての展開は目まぐるしく
それだけでも大きなドラマティックをうんでいるのに
伏線となった、でも事のきっかけが
ようやく姿を現した時に
人の心をこれでもかと掴み取る。

そんな感覚に陥り、しばらく本の世界から現実に戻れなかった。
ばらし方のタイミングがうまいね。
映画で例えると
昔のフランスシネマを少し彷彿するような感覚。

先に読んだ彼女からは
「終わり方の感じ方は人それぞれだと思います」と
なかなか的を得てるね。


さて、人が人を殺すという狂気についてどう思う?
誰にでも持ち得ている感情なのかもしれない。
ただ、モラルの中でその感情のスイッチは
やる気スイッチ同様、いったいどこにあるのか分かりっこない。
だけど、潜在的な意識の仕業なのか
状況と事件、一つの出来事だけで
その眠っていた意識が急激に目覚める事があるのかも。
罪の意識と自分の中のそういった感情については
南郷の心理描写で書かれているので
そこも注目して読むとおもしろいと思う。

しかし、凶悪卑劣な事件はいつまでたってもなくならない。
でも、それって
小さくとも何かしらの『きっかけ』が必ずあると思う。
と、考えさせられるんだ。

育った環境は言うまでもなく大きな影響を与えるし
出会った人、起きた出来事
人の『悪』に触れ、関わってしまった運命の悪戯という事もある。

死刑判決に関する法制度にも大きな問題があるのだろう。
それはそれで
人が人を制するという事だから、簡単な話ではない。

日常生活の中で、ありふれた内容であるとは言えないけれど
どこで自分が13階段を登る事になるかも
被害者として深い悲しみを背負って生きる事になるのかも
100%の否定はできず……
それは誰にも分からない。

対岸の火事ではあるが
実は自分の中にも『スイッチ』はあるのかも。


やっぱり本は面白いね。
自分が気づかない事を、そして知識を教えてくれる。

さ、次はどんな世界を知る事ができるかな?
そんなワクワクをくれるもの、それが私にとっての本だと思う。


ちなみに、この作品は15年前に反町隆史さん主演で映画化されてたようで。
ネタバレサイトを見ると
ふーん、そうなるかって感じ。
やっぱり仕方ないよねぇ。

原作を読んだ映画ってあまり観ない。
特にテーマが重いものはね
ガリレオ的なエンターテイメント色が強いものは
抵抗ないけど
たかが2・3時間でまとまるような内容じゃないって分かっていたら
必要以上にガッカリしたくないものね。
あと、原作先行だと
勝手に自分の中で役のイメージ=配役が決まってるから
その違和感が邪魔になったりする。


とはいえ
何かしら(深夜の映画なんかで)放映を見つけたら
きっと録画してしまうんだろうけど。。

そんなもんだ。笑

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