犯罪の心理 ２

「わたし、トイレットペーパーって、買ったこと、ないよ？」


えっ？！？！？

どうして？


じゃぁ？どうしてるの？



「うん？　職場のトイレから、いつも、持って帰ってるの。」


え～～～？！？


私は、彼女の、ちょっと、ゆるやかに大きめなバッグ。。というより、

カバンに目をやりました。



こ・・　こんなに、身近に・・


そ・・　そのようなひとが・・



そんな。。そんなことって・・



ある意味、カルチャーショックというか、

こういうの、カルチャーショックって、云うのかしら？とか

一瞬のうちに、いろいろなことが、頭の中に、思い浮かびました。



彼女の名前は、Ｎさん。



お付き合いしていた男性と、別れようかとおもっていたとき、

おなかに。。赤ちゃんの命が・・



そのことを、彼に伝えたら、

彼は、「それっきり」　だったのだそうです。



でも、どうしても、どうしても、産みたかったＮさんは、

赤ちゃんを出産しました。



女の子

Ｆ子ちゃん



当時は、４歳？５歳？


Ｎさんは、Ｆ子ちゃんを保育園に預けて、がんばって仕事をしている、

シングルマザーでした。



知り合ったのは、生命保険会社。


私も、Ｎさんも、生命保険の外交のお仕事をしていました。

（ちょっぴり、損害保険も）



私が入った 営業第２課は、その保険会社（大手）の中でも、

１位とか、２位とかの、売り上げの成績を持つ大先輩がいらっしゃり、

課長と、課長代理以外は、全員が女性。



ウワサ。。でしかありませんでしたけれど、

その、１位とか、２位のかたの年収は、〇千万円だとか、耳にしたこともありました。



その一方で、Ｎさんのように、あまり成績が良くなくて、

営業で外回りをしている合間を縫って、バイトをしているひとも。。いました。



恐らく、会社には、内緒のバイトだったとおもうのですけれど、

シングルマザーであるＮさんの、生活って…


　　＊　　＊　　＊


そんなＮさんとの帰り道。


私が、つい、「あ。　今日はトイレットペーパー、買わないと。」と云った言葉を受けて、

彼女は…　Ｎさんは、顔つきをひとつも変えずに、

まるで、「Rayさんも、職場のを、持って帰ったら？」　とでも、云いたげな表情だったのでした。


　　＊　　＊　　＊


わずか、半年程度しか在籍しなかった職場ですけれど、

（最初から、半年、ということで、入社していました）・・


あの職場を思い出すたびに、Ｎさんと、その会話をしたときの、情景が思い浮かびます。


それは、なつかしさ、、とは、ちょっと、異なる。。なんとも云えない気持ちなのです。

Ray